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【研修記録】UXデザイン研修 Day8 ペーパープロトタイピング

おはようございます。

Xデザイン学校のUXデザイン研修ベーシックコースの研修受講記録です。

第8回の研修を受講しましたので、振り返ります。

1. 最近考えていたこと

全10回に渡って行われるXデザイン学校も第8回が終わり、演習を通じて取り組むデザインプロセスもペーパープロトタイピングと、いよいよ終わりが見えてきた。

様々なバックグラウンドを持った受講生が一堂に集まって研修を受講しており、ともに演習課題に取り組むメンバーも、空間デザイナー、Webデザイナー、大学生と、様々なバックグラウンドを持っている。

その中で、私のバックグラウンドはソフトウェアエンジニアである。

「UX」という言葉がバズワードになり、多様な企業が「UX」に取り組み、多様な人材が「UX」を学び実践している世の中で、私という一個人が突出するためにはどうしたら良いかと考えると、ソフトウェアエンジニアという専門性を「UX」で活かすにはどうしたらよいか。につながる。

チームとして演習課題に対するソリューションが固まってきたこともあってか、演習課題そのものに対して悩む時間が少なくなった。

その中で、ソフトウェアエンジニア専門性を「UX」で活かすにはどうしたら良いか、どこのプロセスでどう活かせるのか。を考えてみて、1つそれっぽい考えが出てきたので記録に残そうと思う。

2. 私が働くメーカーにおける商品開発プロセス

前回の研修で取り組んだ構造化シナリオ、今回の研修取り組んだペーパープロトタイピング、ここら辺がソフトウェアエンジニアとしての存在価値が示せるプロセスなのではないかと考えた。

まず、私が働いている現場において顕在化している、商品開発プロセスに関する問題を整理する。

私は医療機器メーカーのソフトウェアエンジニアとして働いているが、開発部門に対して企画部門からくるインプットは「●●というユーザー要求を満たせる機能」「xxという問題を解決できる機能」くらいの粒度である。

ここから、具体的なサービスの形としてシステム要求要件→ソフトウェア要求要件→外部仕様と詳細化していくのがエンジニアの主な業務内容になる。

このプロセスを今学んでいるUXデザインのプロセスと照らし合わせると、アクティビティシナリオくらいまでを企画部門が検討して、インタラクションシナリオ作成、ペーパープロトタイピングあたりから開発部門が検討するという切り分けがされていると考えられる。

1つのサービスをUXデザインのプロセスを通して実現する中で、企画部門と開発部門が交わらないことが様々な弊害を生んでいるように思う。

3. UXデザインプロセスにおけるエンジニアの存在意義

弊社のように企画部門と開発部門である意味綺麗に切り分けがされている場合、経験的に以下のような弊害が生まれると考えている。

①開発部門がインプットに対して納得感を持ちにくい

この問題は、弊社で最もよくみられる現象であると考える。

企画部門からくるインプットに対して、本当にそんな機能に意味があるのか?と感じることが多々あり、同じようなことを発言する人をよく見かける。

競合他社の装置が持っている機能を搭載せよ、競合他社とのスペック競争に勝て、ここら辺のインプットは業務用装置であることから本当に必要な要求かもしれない一方、そんな機能使われないのではないか?そんなにスペック必要?とも感じる。

UXデザインのプロセスは、関係者が共に取り組むことで共通認識を持つことができる。同じ方向に向かって進むことができる。という役割があるが、その役割を果たすことができない取り組み方をしてしまっている。

②イテレーティブにプロセスを回せない

前章で話したように、「●●というユーザー要求を満たせる機能」「xxという問題を解決できる機能」というインプットが企画書という形で固まった状態で開発部門に降りてくる。

開発としては、そのインプットはユーザーにとって意味のあること、ユーザーが求めていること、という前提で設計開発を進めている。

ユーザー受容性評価はその後のプロセスであるにも関わらずだ。

開発部門が行う設計開発の流れとしては、インプットを元に構造化シナリオを実践してストーリーボードのような形でシナリオを作った後、システム要求、ソフトウェア要求と詳細化していって、プロトタイピングを行って初めてユーザー需要性評価を行う。

そもそも新サービスのリリース前にユーザー需要性評価やユーザビリティ評価をするということも、一部のチームで最近行われるようになったくらいだが。

ここのユーザー需要性評価でユーザーの評価がイマイチであっても後戻りできないのが現状である。

リリースまでの期間は決められていて大体この時期には後戻りできないスケジュール感であるし、企画書は承認されているのでそれを取り消すなんてことは、、、少なくとも前例はないように思う。

弊社の商品開発プロセスは、ほぼほぼ一方通行なのである。

③サービスを提供する製品が確定している

ここまで話した①②については、UXデザインについて学ぶ前から薄々感じていたことが、UXデザインを学ぶことによって言語化できたような問題である。

解決策としても、単純にエンジニアが商品開発プロセスの前半工程に携わるようにする。とシンプルなものになると考えられる。

が、この③については今回の研修を受講して新しく得た気づきであり、この問題を解決することこそ、エンジニアとしての役割を発揮する場なのではないかと思っている。

開発部門に対して企画部門からインプットされる企画書というものは、新製品の企画書であり、その新サービスを提供するものが「新製品」と決まってしまっている。

私はこのことが、企業の技術革新をストップさせてしまっている原因にもなっているのではないかと感じた。

UXが普及している背景として、技術が進歩しすぎ、技術で新しい価値は生まれにくいので、今ある技術でユーザーの体験をより良くしていくことが求められているためだと理解していた。

しかし、AIとか5GとかVRとか、他にも新しい技術は生まれ続けている。ここに対してちょっとした違和感はもともと持っていた。

これに対して私の中で生まれた答えは以下になる。

「UXと最新技術を結びつけることができていない。または、UXを元にした新しい技術の発明がされていない。」

今の社会、様々なものがIoTとして繋がっているのに、弊社の企画書は製品単体に対するものが多い。そして設計開発も製品ごとのチームで行われていく。

これでは製品同士をつなげることによるサービスや、新しい技術によって新しい製品を生み出すような状況は生まれないと思う。

この問題を解決するために、開発部門が積極的にUXデザインの前半のプロセスに携わって、UXの現状やユーザー要求を深く理解する。

そして構造化シナリオやストーリーボード作成のプロセスで、UXを元にした新しい技術発明を検討したり、最新の技術をどうやって新サービスに結びつけられるかを検討することで、UXと技術を結びつけられるのではないか。

新しい技術を発想する一方で実現可能性も考慮できるのがエンジニアの強みであると考える。専門知識がない人のみだと、奇想天外で実現不可能な発想が出てきてしまい、ドラえもんのような世界になってしまうというのも、実はよくあることなのではないかとも思う。

このように、新サービスを提供する製品を限定せずに、ユーザーの要求によっては今の世の中にはない新技術を発明していく可能性も考慮しながら、UXデザインのプロセスによって出てきたアイディアを現実のものにしていくのが、エンジニアの役割であり、エンジニアがUXデザインのプロセス全般に携わることの価値であると、今の私は結論づけた。

このXデザイン学校の研修を受講したことの成果報告会を今期末に社内で実施することになると思う。

それまでに、この考えをもっと上手く言語化して、開発部門だけでなく、企画部門も含めた社内メンバーに伝わるようにしたいと思う。

個人的にも、UXを学ぶ上で、ただのUXデザイナーにはなりたくないと思っており、ソフトウェアエンジニアとしてのバックグラウンドを持ったUXデザイナーとして存在価値を持ちたいと考えている。

なんなら主軸はあくまでソフトウェアエンジニアでいたいくらいだ。

今後、ソフトウェアエンジニアとしてのバックグランドがどこで価値を持つのかを、もっと見つけていきたいと思う。

それでは。


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