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いろいろと考えさせられる記事。


正義vs悪の構図にしたいのか?

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO45645120T00C19A6SHA100/?n_cid=DSTPCS001より一部引用:
新薬開発は成功すれば大きな利益を生むが、同等の効果を持つ後発薬が出てくることが多い。これは患者に恩恵をもたらすが、新薬の収益を直撃する。

 一部記事内容を引用させて頂いたが、これではまるでジェネリックメーカーが「悪」のようではないか。印象操作をしたいのか?

 こういうものを鵜呑みにした一部の人たちが、

「ジェネリックは先発のパクり!最低!」
「ジェネリックなんか無くなったっていいんだ!」
「ジェネリックは劣化コピーだから効かない!」

「大物タレントを使ってCMなんか流す金があるなら、
CMをやめてその分薬の値段を安くする努力をしなさい」

等と言い出す。
 そしてそれを見た人が影響を受けて染まる。負の連鎖である。

 プラシーボ(プラセボ)効果というのがあるんだから、本当に効くのかな?とか、効かないに決まっている!とか、変な雑念のある状態で薬を飲んだら、そりゃあきちんと作用するものも作用しなくなるって話で。

 そもそも副作用のない医療用医薬品など存在しないのに、「薬を変えたら今までに出なかった副作用ガー」「なんか調子悪いー。これだからジェネリックは嫌なんだー」「先生に言って先発に戻してもらうんだー」とかなんとか言い出して、ジェネリック医薬品への責任転嫁合戦が始まるのである。

足を引っ張るようなことをしている場合ではない

 言うまでもないが、製薬企業というものは利潤だけを追求するようになってはならない。
 一般的な企業とは成り立ちや、その存在意義からして違う。

 本来であれば業界内で潰しあいをするのではなく、手と手を携えるとまではいかなくとも、(机上の空論と一蹴されればそれまでだが)お互いの得手・不得手を認識して表面上だけでも仲良くやっていくというのが理想だ。

 それが、カネになる=儲かる薬は追いつけ追い越せで投資を惜しまず、特許が切れてジェネリック医薬品が市場に出回るようになる前に、まるでジェネリックの足を引っ張るようにして先手を打ち、自社製品の延命措置のために躍起になるのである。

 大体のやり口が、現場にMR(医薬情報提供者)を走らせ、既存製品と新発売製品を絡めたPRと情報提供を再度行い、

「ご存じの通り、うちのは安心ですよ~!」
「なんたって長年の実績がありますからね!」
「実際に使っていて、何の問題もなかったでしょう?」
「使い続けるメリットしかないですよね!」
「これからもよろしくお願いしますね!」

と、こうやるのである。

 聡い方ならお気づきだろうが、ジェネリック医薬品メーカーの足を引っ張ることに手を回す先発医薬品メーカーの、その精鋭の労力・時間・潤沢な資金を、新薬開発にさっさと回せばいいのである。

 特許が切れた医療用医薬品のその後に関しては特に、ジェネリック医薬品メーカーに任せておけばいいのである。

 中には子会社をわざわざ作ったり、既存のメーカーを吸収して後発医薬品を専門に製造する部門を新たに作ったりするところもあるほどで、その執念たるや凄まじいものがある。

社会貢献の一環として

 金の卵を産むニワトリを手放すのは惜しい。
 どんな大企業であってもそう感じるというのは、誰にでも容易に理解できるだろう。

 しかしもう一度考えてほしい。

 製薬企業に課せられた使命とは、一体何だったのか。

 創業者たちが描いた夢の続きと、自分たちの歩む道がどれだけ重なっているか。

 経営陣には胸に手を当てて、今一度考えてみてほしいものである。

医療機器に関する記事中に「薬価」の話は必要?

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO45645120T00C19A6SHA100/?n_cid=DSTPCS001より引用:
薬価が下がることは、高齢化が進むにつれ増大する医療費の抑制につながる。だからこそ日本は国の政策として安い後発薬を増やす。結果として医療用医薬品の市場は縮小する。米調査会社IQVIAは26年まで10年間、年平均で1%強ずつ縮むと予測した。縮小しすぎると開発の意欲をしぼませる問題もはらむ。

 Googleで記者の名前を検索してみると、フリーランスのライターではなくれっきとした新聞社の正社員であることがわかる。

 新薬メーカーの印象が良くなるような記事を書くように、接待でも受けているのだろうかと疑いたくなるほどのジェネリック“下げ”記事。

 日経の記者がこの程度の認識とは……と驚き呆れてしまった。

 オプジーボの件で身内が批判されたものだから、仲間内に飛び火しないよう不満の捌け口として用意された標的がジェネリック医薬品という寸法だろうか。

 引用した部分も、さも「後発(ジェネリック)薬を国が推すから、医療用医薬品の市場が縮小する」とでも言いたげな書き方である。

 薬価改正が2年に1回から毎年に変わったことについても、決してジェネリック医薬品メーカーが存在するせいではないし、不利益を被る結果になるのは先発医薬品メーカーもジェネリック医薬品メーカーも一緒である。

 ミスリードを誘うような書き方はいかがなものか。/2184文字

#COMEMO #NIKKEI

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