そらそうよ。
産前産後休業の「産前」期間がタイトすぎ問題
マタハラだのパタハラだの、やたらと声の大きい人(起業する夫の宣伝もカネての騒動カ?)の声にかき消されてしまいそうですが。
産前産後休業という制度が定める「産前」期間が、一体どのくらいなのかを皆様ご存じでしょうか。
労働基準法より引用:
産前においては、使用者は、6週間(多胎妊娠の場合にあっては14週間)以内に出産する予定の女性が休業を請求した場合においては、その者を就業させてはならない(第65条1項)。
正解は、「6週間」(双子や三つ子、あるいはそれ以上の場合は14週間)です。
どうでしょう。長いと思いますか?短いと思いますか?
ごく一般的な、健康な人であれば「6週間も休めたらバカンスに行けるレベルの長期休暇でしょう!」と思うかもしれません。
でも考えてみてください。
6週間休んでいいと言われても、身重なんです。
この法律は、「産前休業したいなら出産予定日の6週間前までは働けよ」と言っている。
一般的に妊娠~出産までは十月十日(とつきとおか)かかると昔から言われています。
ひと月大体4週間だとして、十月十日はまあ41週くらいという計算です。
ここで注意しておきたいのが、妊娠中の経過月数のカウントは少し特殊で、4週間ごとに妊娠1ヶ月、妊娠2ヶ月と増えていく……いうことにはなりません。
※詳しくはWikipediaの「妊娠」項目をご覧ください
産前6週間は妊娠何ヶ月に相当するのか?
ずばり、妊娠8ヶ月半ばです。
妊娠8ヶ月で、どのくらいお腹がせり出してくるか、法律を考えた人はわかっていたのでしょうか?
私は、絶対わかっていなかったと思います。
おかしいな、有識者会議とかしていたはずなんだけどな。
まあつまり、この法律を遵守するつもりのある勤務先企業の言い分としては
妊娠8ヶ月半ばまでは働けよ。
つわりだ何だと言われれば
早退や遅刻も大目に見るし、
妊婦検診がある日は休ませてやる。
更に時短勤務もさせてやるから、
ありがたいと思えよ。
ってことなんですよ。
世の中には「妊娠8ヶ月まで頑張れば産前休業に入れる~!それまで精一杯お仕事頑張ろう!」と思って、働ける妊婦さんもいます。
でも、みんながみんなそうじゃない。
妊娠8ヶ月のお腹で外回り営業とか無理でしょう。
デスクワーク中心のOLさんだって、よほどのホワイト企業でもない限りは自宅を出て勤務先のオフィスまで通勤しないといけないですよね。
お腹が大きくて動きにくいだけでなく、人や物にぶつかってしまったり、転んだりしたら当たり所が悪ければ大変なことになります。
「妊娠8ヶ月で仕事をするのなんて、長い妊娠期間のうちのたった半月でしょ」とか言われても困るんですが、お腹は徐々に前にせり出してくるものなので、妊娠7ヶ月でも傍から見たら似たようなものなんですよ。
他人(素人目)には妊娠7ヶ月と8ヶ月の差なんかわかりません。
妊娠後期に入るともう腰が痛かったり、四六時中何かを食べたい欲求に駆られたり(フライドポテトのケースが多いらしい)、妊娠初期~中期でもいつもと違うニオイに敏感になって嘔吐しやすくなったり、とにかく一日中眠かったり、わけもなく気分が落ち込んだり、いろいろあるんです。
さらに最大の難敵、流産のリスクと常に闘わなければならない。
ストレスなんか以ての外です。ストレスと無縁のワーキングマザーなんか存在します?(マタニティ・ハイ状態にある場合は除く)
心身ともにデリケートな妊婦さんを、妊娠8ヶ月まで働かせるとか控えめに言って頭おかしくないですか?
そんなの無理→だったら辞めるしかという流れに
ここで、
ここでキャリアが断絶するなんて考えられない!
的な仕事大好きワーキング妊婦さん
出産予定日が近くなるまで働いてでも
お金を稼いでおきたい!という堅実派妊婦さん
その他、なんらかの理由で産前休業の制度を
絶対に利用するんだという意志を持った強靭な妊婦さん
以外は、妊娠8ヶ月まで働かないと産前休業の制度が利用できないことを知った瞬間に膝から崩れ落ちることになります。
※繰り返しになりますが、ホワイト企業にお勤めでストレスフリー環境下で働いている方はこの場合に当てはまりません
甘いこと言ってんじゃないよ!と思われるかもしれませんが、一度でも妊娠出産を経験したことがある方なら多少はおわかりいただけるかと思います。
妊娠8ヶ月半ばなんて、あとほんの2~3週間で「いつ生まれてもおかしくない時期」に突入するような時期、段階なんです。
今はネットショッピングなんかも利用できますし、働きながらの少しずつの出産準備も可能になってきているのかもしれません。
でも、生死をかけた出産という一大イベントに備えるための期間が、もしかしたら2~3週間しかないかもしれない(予定日超過の人もたくさんいますが)……と考えると、不安が増幅しませんか?
お腹の赤ちゃんがいつ生まれ出てくるか、正確な日は誰にもわからないんです。
そんな予測不可能な、個人差のあることなのに、一律「産前6週間」はあまりにも短すぎませんか?って話です。
「産前6ヶ月」でもいいくらいだと私は思いますけどね。
少子化を憂うのなら、保育施設や保育士を増やすことももちろん大事ですが、このあたりの法制度を見直すことも肝要かと思います。/2213文字
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