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夢を買う世の中

 会社と家との行き来で1日が終わる。その疲れを癒すために休日は寝て過ごして1週間が終わる。そんな世の中で、せめて寝る間だけでも良い夢を見ようと世界中の博士たちが奮闘した結果、夢を買える時代へとなりました。最初は直接人体に関わることだからと嫌煙されていたものの、需要が高まり、供給も高まり、1回の値段がお手頃になったために、みんなの日課へと昇格しました。

 でもある日、そのみんなの日課が突然きれた時。人は自然と不安に飲み込まれます。今までの普通が普通じゃなくなった今、昔の普通に悩み苦しみます。

 牡蠣が大好きな少女がイキナリ大人に「牡蠣はたまにアタるから気をつけてね」と言われたようなものです。楽しみにしていたそれに、その瞬間からは恐怖がくっついてくる。

 夢を見るのが、寝るのが、どんどんと怖くなり、次は寝ないでも大丈夫なようにと、博士たちが奮闘しだしました。そのおかげでみんなが寝ない世界へと移り変わり、いつしか【夢】というものがなくなってしまいました。夢を見ていたあの頃をみんな忘れてしまいました。

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