女だけど女装する

 わたしはたまに女装する。普段は無造作なショートヘアに、体型を隠すためのダボっとした服装を着る。しかし本当ごくたまに、女になりたい時がある。好きな人とデートするわけでもなく、推しのコンサートに行くわけでもない。ただ新宿の生地屋さんに行く時などだ。女装するって言ってもそのまんまの意味で、ロングヘアのウィッグを被ってお化粧して、白いワンピースを着ることだ。自信がないとすぐ被りたくなるのが人間のサガである。なにか自分じゃないものを纏うことで、"他人が作った可愛くなれるもの"を身につけてるからと責任転換ができ、普段より3倍は堂々と歩ける。そんでもってナンパされちゃったら(でもこれカツラなんだよな〜!)とニヤニヤできる。性別の種類がグラデーションになった今、自分の性別はわたしにも分からない。でも、女装する女もなかなかに楽しんでいる。

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