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追憶旅日記① 旅立ち

0.はじまり

当時、わたしは大学3年生だった。
英語はもう飽きたからいいや、何か新しい言葉が学びたい。スペイン?へえ、シエスタ(昼寝)の文化があるの?なにそれ素敵やん。
それぐらいの気持ちで進路を決め、不勉強なわたしは必修のスペイン語の単位を落としながらもなんちゃってスペイン語学科の学生をしていた。

周りの友人たちが続々と、大学が夏休みに行うメキシコへの交換留学に申し込む中、わたしはスペイン本国への留学を希望していた。同じようにスペインへ行きたい友達と一緒に行く約束をしていたのだが、生まれ持ったルーズさから友達には愛想を尽かされて単身で飛行機を申し込み飛び込むことになった。同じような状況の方のために言っておくと、HISへ行けばだいたいのことはできるので大丈夫です!

どうせならロンドンも行っちゃおう。
乗り継ぎするならヘルシンキも見ちゃおう。

こうして、わたしのロンドン→バルセロナ→ヘルシンキの旅がはじまった。


1.中部国際空港からヘルシンキへ

高校2年の冬にニュージーランド、3年の夏にオーストラリアへホームステイしていたので海外旅行は初めてではない。しかし、単身となると話は別で、初めての一人旅にわたしはかなり浮き足立っていた。

中部国際空港にて

窓にへばり付いてこれから乗るであろうフィンエアーの飛行機を激写しまくった。海外旅行初心者あるあるだが、行きの飛行機の写真の枚数は異常。

稀に「機内食はクソまず」とのたまう人がいるが(旦那はこのタイプ)、わたしは機内食だいすき人間です。なんなら毎食楽しみだし、記憶にある限り残したこともない。クソまずと罵倒する人たちは家でいったい何を食べてんの?

フィンエアーの機内食

フィンエアーの機内食はこんな感じ。
和洋折衷していて好感度高し。
このよく分からない食感の米(タイ米?)もすきです。
米の上のレーズンが良い味出してます。

以前、北京からニュージーランドへ向かう飛行機の中で(たしかキャセパシフィック航空)、夜中に起きている乗客へハーゲンダッツが振る舞われたことを憶えていたので、夜になって消灯しても映画を観ながら目をギラギラさせて待っていたのだが、フィンエアーは特にそういうサービスはなかった。

余談だが、前の席にシスターが乗っていた。
映画の中でしか見たことがないあの格好だったので、話しかけたところ、イタリアへ帰国する途中とのこと。かなり高齢のシスターだったが、毎年夏は地元へ戻るそうで、隣には付き添いの方がいた。


2.ヘルシンキからロンドンへ

何本か映画を観て寝て起きたらヘルシンキ到着。
初のフィンランド!
俄然やる気が出てそわそわし始める。

ヘルシンキの空港で驚いたのはトイレの個室のデカさ。日本でも空港はわりと個室は広く取られていると思うのだが、その比ではない。シングルベッドが一台置けるんじゃないかというレベルで広かった。体格差のため?それとも心のゆとり?

あともう一点。
なんと同じ大学の一学年下の女の子が同じ飛行機に乗っていた。
彼女はロンドンへ短期で語学留学する途中らしく、少し会話してLINEを交換した。
では大学でまた〜的な別れ方をしたのだが、その後関わりはない。あの時の彼女ー!お元気ですかー!

そうこうしているうちにロンドン、ヒースロー空港行きの飛行機に搭乗。
待ちに待った機内食タイム!

なんだこれ

お分かりいただけるでしょうか。
これはいったい何事か?
左はパン、分かる。
右はチーズ、分かる。
真ん中の丸いの・・・なんだ?

食べてみるとボソボソしていて、なんかツナのような魚のすり身のような何か。ちなみにチーズの横のソースはタルタル的な感じだった。後にも先にもわたしが違和感を持って食べた機内食でおそらくこれの右に出るものはないはず。

ロンドンの食事に、一抹の不安。


3.ロンドン到着

ロンドンはヒースロー空港に到着!
荷物が到着する場所に見当たらなくて焦ったのだが、係の人に確認すると、わたしのスーツケースはベルトコンベア上で誰にも回収されなかったため移動されたとのこと。奥から出してきてくれた。

空港を出たら事前に予約してあるユースホステルへ向かう。宿に関しては、日本にいるときに安くてアクセスの良さそうな場所探したのだけど、なんせ初のお一人旅なので準備が甘かった。

持っているのは宿の周辺が印刷された地図のみ。
幸い駅名はメモしていたけれど、駅からどう行けばいいのか謎。

とにかく人に聞きまくった。そう、旅の恥はかき捨てなのだ。駅で待っているマダムに聞き、高級そうなホテルのフロントマンに聞き、交番のマッチョな警官に聞いた。マッチョな警官に向かって、印刷された頼りない地図を見せていると「こんなの要らない!もうすぐそこなんだ!見えるか?この坂を登ってけばいいだけだ。Can you here me?(オレの声が聞こえるか!?)」とキレ気味に言われたので、かなり心臓が縮んだ。

交番の前の坂

しかし、登れど登れど宿らしきものはない。というか突き当たりには門があって、閉まっている。呼び鈴もないし、ここからは入れないのでは・・・と心配になり、来た道を戻った。さすがに再度マッチョな警官に尋ねる勇気はなかったので、通りすがりのサラリーマン風の男性に声を掛けた。

男性も警官と同じく坂を登るように伝えてきたが、身振り手振りで門が施錠されていることを伝えると、一緒に坂を登って来てくれた。「ああ、こっちの門は何故か閉まってるんだね。まわって別の入り口から入ればいいよ。暗いし案内するから」と納得して歩き出す男性の後ろ姿に英国紳士のジェントルマン魂を感じつつ着いて行く。ヒースロー空港に着いたのは昼過ぎで、ホテルの最寄り駅に着いた時にはまだ明るかった空も、迷いに迷っているうちに夕暮れ時に差し掛かっていた。

そして無事にホステル到着!
なんとそのユースホステルは四方を公園に囲まれており(というか公園の中に位置する)、公園自体も広大なため、辿り着くのはかなり難易度の高い立地だった。
※一番分かりやすい坂を登るルートはわたしが行った時間帯は夜間で施錠中だったらしい。

フロントにいる初老の男性に名前などの情報を伝えると、部屋番号が伝えられる。当たり前だが男女で部屋は分かれており、それぞれの部屋にシャワールームとトイレが備え付けられていた。ベッドは二段ベッドで上下を選ぶことは出来ず。わたしは下の段だったが、上のベッドの住人は大きめの荷物を残して外出していた。

最寄駅の花屋

とりあえず、夜が深くなる前に食料を!と思い立ち、スーパーへ出かけた。ポケットWi-Fiなどレンタルしていなかったので、Wi-Fiが入りそうなスポットを探して彷徨う。最寄駅で幸いWi-Fiが使えたので、スーパーの場所を検索。

ところで、わたしは海外のスーパーが大好きだ。まず置いてあるものが何もかも違うし、見たこともないパッケージを眺めているとかなり興奮する。何時間でも潰せる自信がある。

正直言って、ロンドンで行ったこのスーパーの名前も雰囲気もよく覚えていないのだが、当時の画像を漁っていると食べたものの記憶が蘇った。

これは一体・・・

この、真緑のサラダらしき物体。
ロンドンに付いて初めての食事がこれ。

理由としては、まず、わたしは怒涛の機内食ラッシュでフレッシュな野菜に飢えていた。続いてロンドンの物価はかなり高かったのだ。翌日の朝ごはんも買っておこうと考えた結果、このよく分からないグリーンサラダと値引きされた袋入りのスコーンを買った。

ケチりすぎなのでは?と思われるかもしれないけど、当時わたしは世間知らずな貧乏大学生だったし、日本にいた頃は食事付きの寮暮らしだったので食べ物の値段など理解していなかった。寮のご飯がない休日は、カップ麺やマクドナルドを主食としていたわたしにとって、通貨換算アプリで叩き出されるポンド→円の価格はかなりの衝撃だった。

この日は疲れ果ててシャワーを浴びて爆睡。計画など皆無なので明日の予定もないまま、日記をつけて泥のよう眠った。

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