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今、私の願い事が叶うならば翼が欲しい

 今、私の願い事が叶うならば翼が欲しい♪ と人は歌うけれど、ふと思った。翼を手に入れている鳥たちは毎日「翼だ翼だ、空を飛べるって嬉しいな♪」と感謝感激しているだろうか? いやそんなことはあるまい。毎日なんとも思わず、当たり前のように飛んでいるだけだ。むしろ他の生き物を見て「魚のように泳ぎたいな」とか「オオカミのような強い牙があつたらいいな」とか「人間のような器用な指があったらなぁ」とか考えているのではないか。

 多くの人は自分が持っているものの大切さには心を配らず、持っていないものをひたすら欲しがる貪欲な性質がある。

 例えば今の私は平凡な人間であり、走るのも泳ぐのも全然得意ではない。しかし、そんな私の境遇を羨ましがっている人はけっこうたくさんいるのではないか。目が不自由な人、ベッドに寝たきりの人、足のない人、声が出せない人、食べ物を口から取れない人な゛など・・・人は何かを失ってみて初めて平凡に生きていることの素晴らしさを実感する。

 私は一時、脳出血で入院し、その際、すべてのひらがなを忘れて書けなくなったことがある。魂消ると同時に「ああ、俺の人生終わったな」と感じたものである。そのときの状況から思えば、こうして毎日noteで好きなように文章を書いていられるというのは実に幸運なありがたいことなのだ。無いものを願うのもいいが、すでに持っているものを楽しみ、感謝するのを忘れたくないものだと思う。

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