近代美術とおばあちゃん

 先日、うちのお義母ちゃんを車椅子に乗せて、和歌山県近代美術館に連れて行きました。「こんなところ入るのは生まれて初めてや」と最初は喜んでいましたが、展示品を見てまわるうちに「こんなわけわからんもん・・・」と段々不機嫌になって来たのです。
 お義母ちゃんは声が大きいので、不満のつぶやきがあたり中に響き渡ります 笑
娘や孫がじっくり作品の説明を読んでふーんと感心しているのに「はよ、どんどん次に進もら」と私を催促する始末。これが世代の差というものなのか 笑


 じつは私も、わけのわからない「いわゆる芸術品」と称するものには少々反感を覚えるタイプなので「いいぞ、お義母ちゃん。庶民の声を言ったれ」と内心応援していました。(無責任なやつ 笑)


 話は変わりますが、先日、岩出市のある本屋さんで、子供たちを前に一人の中年女性がよく通る声で絵本の読み聞かせをしていたんです。
「紙芝居みたいで懐かしいなぁ」と私もその声に引き寄せられて近づいて行ったのですが、すぐに興味は、話している女性ではなく、聞いている子供たちに惹き付けられました。幼い子たちが、実にいい顔して聞いているのです。
目を大きく開いて椅子から身を乗り出すようにして、話に魂が没入しています。
その顔を見ているだけで感動してしまうのはなぜでしょう。
話に引き込まれている子の瞳にはワクワクそのものが映っていて、見る人を感動させるのです。「もしや、このワクワクこそ芸術じゃないのかなぁ。一般庶民やおばあちゃんをワクワクさせることが出来ない作品なんて、芸術の名に値するのだろうか・・・」なんて考えてしまいました。

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