16*おんがく
バルアトルケものがたりⅣ*16
セオナルドたちが村のお祭りで聴いていた音は、細い笛や、木で作った木琴、太鼓、まわりの石をたたいたり、といった身近なもので作る音でした。それらの音も大好きでしたが、アースの友達が練習している楽器は見るからにちがっていました。袋のようなものから笛が何本も出ていて、わきに挟んでいます。アースの友達は頬をおおきくふくらませて音を出しています。
その音は張りがあり、ぴんとして空の中を飛んでいきます。
音がみえるなんて、びっくりだ
セオナルドは思いました。パイプから発する音たちは意志を持っているようにそれぞれ空に向かって飛んでいきます。夢中になってその音の行方を見守っていると、その音のいくつかはセオナルドに向かって飛んできました。
わっ!ぶつかる!
思わずセオナルドは体を固くしました。しかし、音はすうっとセオナルドの体に入ってきたのです。体の中心がじわっと温かくなり、固くなったからだがゆるまるのを感じました。
音は次々に体の中に入ってきて、なんともいえない、いい気分になってきました。
隣にいるアリィは目を閉じて聴いています。ピリルはじっとみつめています。ルシスはピリルの背に腰掛けて聴いています。
セオナルドの足はいつのまにかリズムをとりはじめました。自然に笑顔になってきます。リズムをとりはじめたセオナルドにきづき、ピリルも足踏みをはじめました。ルシスがぽんぽんピリルの背の上で跳ねています。
その様子にアリィも気づき、ひざを楽器代わりに音をだしはじめました。4人は思い思いにリズムを刻みます。
沈んでいた気持ちはいつのまにかどこかにいってしまいました。
4人はおんがくにあわせて、リズムをとりつづけました。
パイプの音は空高く舞い上がっていきます。
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