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5*ふたりでランチ

バルアトルケものがたりⅡ*5

森の奥に着くと、ピリルが目を閉じているのが見えました。そばにピリルのおとうさん、おかあさんもいるのを見て、セオナルドは、静かに近づきました。おとうさんユニコーンとおかあさんユニコーンに目で合図をし、おとうさんユニコーンがうなずいたので、ピリルに声をかけました。


「ピリル!遊びに来たよ!」


ピリルは、めをつむったまま、答えました。

「セオナルド!ぼく待ってたんだ!ちょっとまってね。

おとうさん、もう目を開けてもいいかなあ?」

おとうさんユニコーンが笑って言いました。

「もういいだろう。これから毎日するんだぞ。」

ピリルは、目を開けました。

「セオナルド!勉強はどうだった?ぼく、君に話したいことがあるんだ!」

セオナルドも言いました。

「ぼく、サンドイッチを持ってきたから、一緒にたべよう!どこかいいところあるかなあ?」

「うん!じゃあ、僕のお気に入りの木のところにいこう!」

ピリルは答え、二人は歩き出しました。


ピリルのお気に入りの木は、ちょうど花がたくさん咲いていて、まわりにはいそがしそうにみつばちが飛んでいます。木の下にふたりは腰を下ろし、セオナルドはサンドイッチの包みを開けました。

セオナルドのおかあさんが作ったサンドイッチをほおばりながら、ふたりは話し始めました。

「ぼく、今日は食べられる植物と食べられない植物を習ったんだ。おかあさんのために食べられる草を摘んでお土産にしたよ。今日の晩御飯にしてくれるって言ってた。」

ピリルはもぐもぐ、口を動かしながら言いました。

「セオナルドのおかあさんのサンドイッチ、美味しいなあ!今日の晩御飯も楽しみだねえ。」


セオナルドも、サンドイッチにかぶりつきながら、聞きました。

「ところで、僕が着いた時、なんで目をつむってたの?これから毎日するの?」

サンドイッチのさいごのひとくちを飲み込んだ後、ピリルが答えました。


「そうなんだ。ぼくの「ちから」のために毎日することになったんだ。」




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