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15*洞穴の中では(4)

バルアトルケものがたりⅢ*15

セオナルドはスプーンをもち、小さなドラゴンがお腹いっぱい食べて元気になる様子をイメージしてからスプーンに向かっていいました。

「ウトガリア ウトガリア ナンミセアワシ」

スプーンがピカッと金色にひかり、先から煙がでてきました。煙からいい匂いがしてきます。煙はうずをまき、スプーンの先で少しずつ大きくなり、サッカーボールくらいの綿飴になりました。綿飴が大きくなるのをやめてから、セオナルドはスプーンの先から取って、小さなドラゴンへ差し出しました。

小さなドラゴンは、綿飴を両手で持って、ゆっくりと食べはじめました。小さなドラゴンが食べ始めると、スプーンの柄が赤くひかり、つぎの綿飴ができ始めました。食べ終わる頃には、次のわたあめができる、ということをくりかえし、できる綿飴はどんどん小さくなっていき、5個目には、親指の爪ぐらいの大きさになりました。

小さなドラゴンが5個目の綿飴をひとなめで終えると、スプーンの柄はもとの木の色にもどりました。

「おなかいっぱいになったみたいだね?だいじょうぶ?」

セオナルドが聞き、アリィとピリルも小さなドラゴンを見つめました。

「おなかいっぱいになった。どうもありがとう!」

小さなドラゴンは答えました。ドラゴンの肌はピンク色に輝き、瞳にも元気が戻っています。


「おかあさんはどうしたの?話してくれる?」

ピリルが尋ねました。

「のどになにかがつかえてるみたい、と言っていた。はじめのうちは、ごはんもたべていたんだけど、食べられなくなってしまったの。」

そのことばを聞いてアリィは巾着袋から薬箱を取り出しました。

薬箱は緑色で、全面にアイビーの文様が彫ってあります。

「アリィ、どの薬を使うのかわかるの?」

セオナルドが心配そうに聞きました。セオナルドは今まで薬を飲んだことがないのです。

「だいじょうぶ。この薬箱が教えてくれるの」

アリィは笑ってこたえました。




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