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16*洞穴の中では(5)

バルアトルケものがたりⅢ*16

アリィは薬箱を右手の手のひらにのせました。そして左手をおおきなドラゴンにかざして言いました。

「リスクルオナ リスクルオナ」

薬箱の色が光を発しながら変わり始め、紫色になり光が消えました。アリィは薬箱を開けました。中には、薄い紙の包みが入っていました。包みは透けていて、なかに粉の薬がはいっているのがわかります。

「これを飲めばいいんだけど・・・きみのおかあさんは目が覚めていないよね?どうしよう。」

「おかあさんを起こしてみる。ちょっと待ってて。」

アリィの言葉に小さなドラゴンは飛び立って、洞穴のさらに奥に入って行きました。

小さなドラゴンはすぐに戻ってきました。

「おかあさん、目が覚めたんだけど動けないみたい。お薬はどうやってのませればいい?」

「粉だから、お水と一緒がいいと思う。ちょっとまってね。」

アリィは巾着袋の中を探って、貝殻を取り出しました。

「この貝殻にお水をいれて、粉を溶かして飲ませてあげて。

セオナルドが水筒をドラゴンの首にかけてあげ、右手に薬の包み、左手に貝殻をもって小さなドラゴンはおかあさんドラゴンのもとへ戻って行きました。


「ドラゴンは大きいんだねえ。僕たちに見えているのは、背中だとおもうけど、ほんの一部分なんだろうね。」

ピリルが言い、セオナルドとアリィもあらためてドラゴンの背中を眺めました。


ズザザザザ!ドオーン!


大きな音がして、地面が揺れました。ドラゴンが動きだしたのです。向きを変えようとしているようです。

一番そばにいたピリルはあわてて飛びのき、壁側に寄りました。セオナルドとアリィも洞穴の壁にぴったりと身を寄せています。





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