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14*洞穴の中では(3)

バルアトルケものがたりⅢ*14

セオナルドとアリィは洞穴のいりぐちが見える、少し離れたところで待っていました。ピリルが洞穴に入って行ってから少したちました。

「入り口まで歩いて行ってみない?」

しびれをきらしたのか、アリィが言いました。

「そうだね。ピリルもでてこないし、物音も聞えないし。」

セオナルドは賛成し足元に置いていた荷物をひろいあげ、入り口に向かって歩き出しました。洞穴の入り口のわきに、大きな岩があったのでその大きな岩に身を寄せて待つことにしました。

10分ぐらい後(ふたりには長い時間が経ったように思えました)

ザッ ザッ ザッ

駆け足の音が聞こえ、ピリルが走りぬけて行きました。入り口の脇にいる二人に気付かず二人がいた辺りまで行ってしまい、きょろきょろしています。

「ピリル!!ぼくたちはここにいるよ!」

セオナルドは大きく手を振って、ピリルを呼びました。

ピリルは大きく首を振って、走ってセオナルドとアリィのところまで戻ってきました。

「洞穴の奥に大きなドラゴンがいるんだ。ちいさなドラゴンも一緒にいる。病気みたいなんだ。」

「わかった。助けてあげなくちゃ。」

二人はそろって言い、3人はピリルを先頭に洞穴へと入って行きました。

***************


3人が洞穴の奥に着くと、小さなドラゴンは起き上がりましたが、動こうとはせずにセオナルドとアリィを見ています。

「こんにちは。ぼくはセオナルド。」

「こんにちは。わたしはアリィ。あなたを見たことがあるわ。海岸で絵を描いているとき。」

二人の言葉に、小さなドラゴンはうなずき、ふうーっとため息をつきました。

小さなドラゴンの様子をみたアリィが言いました。

「お腹がすいていると思う。ビスケットとお水はある?」

セオナルドはピリルから包みを受けとって、ビスケットをドラゴンに差し出しました。アリィは水筒のお水をキャップに入れ、飲めるようにしてそばに置きました。

小さなドラゴンは、歩いてセオナルドに近づき、ビスケットの匂いを嗅ぎました。そして大きな口を開けた、次の瞬間にはビスケットは姿かたちもなくなっていました。

あまりの早業に、3人はあっけにとられたあと、吹き出しました。

「わ~はっは!見事な食べっぷりだ!これなら大丈夫だね。」

ピリルが言い、同じように笑いながら、セオナルドが言いました。

「ビスケットだけだと足りないようだから、今から君のために食べ物を出すね。」

セオナルドは持っていたバッグから木のスプーンを取り出しました。



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