3*夜中から
バルアトルケものがたりⅤ*3
その日の夜中、アリィは目が覚めました。なんだか胸がむかむかして、頭もズキズキとしています。こんなに気分がわるいのは、かなり久しぶりです。すこしでも楽な体制をとろうと動いていると、物音に気付いたルシスが目を覚ましました。
ルシスは少しの間アリィの様子をみていましたが、具合が悪い様子なのを察してそっと声をかけました。
「アリィ、大丈夫?お水飲む?」
アリィは返事をすることもできずに、頭を振って、いらない ということを伝えようとしました。ルシスはベッドそばに来て、手のひらのすべすべのところをアリィのおでこにあてました。ひんやりとしたルシスのてのひらが気持ちよくて、アリィはため息をつきました。そしてそのまま、眠りにもどっていきました。
てのひらはすぐにアリィの体温で温かくなってしまったので、ルシスはかわりばんこに両方の手のひらをあて、朝までアリィのおでこを冷やし続けたのでした。
読んでいただき、ありがとうございます。 これからも楽しんでいただけるようにお届けしていきます!