2*サイン
バルアトルケものがたりⅤ*2
ふたりは森の奥の奥の大きな石の上に座りました。
空が青くひかって、ところどころに雲が浮かび、ゆっくりと流れています。
のどかな景色とはうってかわって、二人は真剣です。頭を寄せ合って話しをしています。
「そのゆめのなかは雪で真っ白だったんだ。ぼくは何かを探していたんだけど、何を探したのかはわからない。」
「雪かあ。ずいぶんと季節はずれだねえ。寒くはなかったの?」
ピリルの問いに、セオナルドは少し考えてから首を振りました。
「寒くはなかった。ただせわしなくて、はやく、はやくって思ってたよ。そのうち地面の一部がわかれて吸い込まれていって、ぼくは吸い込まれないようにがんばってた。。。」
セオナルドは、ピリルに話していないことを思い出して、言いました。
「その夢を見る前に、一回目が覚めたんだ。部屋の中がうすぼんやりと光っていて、見たこともない生き物がいたんだ!」
「へえ?どんな?」
「なんかひらべったくて、部屋にうかんでた。僕がみてるのに気づいたみたいで、ひらひらと飛んでから窓のところで消えたんだ。」
「ふうん なんだろう。ぼくおとうさんに聞いてみるよ。セオナルドもおとうさんに聞いてみたら何か知っているかもしれないよ。」
「うん。そうだね。今日の夜、聞いてみるよ。」
と、そのとき、ふっと光がかげり、ふたりは空を見上げました。太陽に雲がかかり、シルエットが透けて見えます。だまってみていると雲のふちが虹色にかわりました。
「わあ。雲のはじっこが虹色になってる。きれいだねえ。」
ピリルが歓声をあげました。
「虹って何かのサインなんだって。おかあさんが言ってたよ。何か起こるのかなあ?」
セオナルドは雲を見上げながら言いました。
「何か起こるにしても、いいことに決まってるよ!だってこんなにきれいなんだもの。」
ピリルが言いました。
「そうだね。いいことが起こるんだ。楽しみだ!」
すっかり気分がよくなったふたりは、そのまま森の奥の奥で夕方まで遊びました。
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