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5*秘密のスプーン

バルアトルケものがたりⅢ*5

アリィが住む海のそばの村は、セオナルドの家から歩いて半日ほどのところにあります。川や丘をいくつも越えるので、休みながら3人はすすみました。

セオナルドのおかあさんは、念のため、と言って2回分のサンドイッチを3人分とビスケットをたくさん持たせてくれました。セオナルドのバッグには、はいりきらなかったので、ピリルが背負ってくれました。

セオナルドのバッグには、小さなコンパス、双眼鏡、火をおこすための白樺の皮と火打石が入った皮のケース、ノートと筆記用具、着替えが入っています。

あともうひとつ、おかあさんが持たせてくれた小さな、木でできていて持ち手に彫り細工がしてあるプーンもバッグの内ポケットに入っています。セオナルドはまだ、自分のイメージで料理を出すことができないので、いざとういうときにはこのスプーンを使うのです。

使い方は昨晩おかあさんが教えてくれました。

「このスプーンを使うときには、感謝をこめて優しい気持ちで使うのよ。今の自分に必要な食べ物をだしてくださいってお願いするの。」

セオナルドのおかあさんはいいました。

「お腹がすいてやみくもに使おうとしても、スプーンにはわかる。ただ、食べたいだけの人にはこのスプーンは働かないのよ。」

「うん。わかったよ。おかあさんありがとう。」








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