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1*えがおのちから

バルアトルケものがたりⅤ*1

セオナルドは家を出てピリルの家に向かって歩きはじめました。じぶんの足元をみながら歩みに合わせじゅもんをとなえながら進みます。おかあさんが教えてくれたじゅもんです。

一歩足を踏みしめて

ガ・オ・エ!ハ~!

一歩足を踏みしめて

ガ・オ・エ!ハ~!

一歩足を踏みしめて

ガ・オ・エ!ハ~!


ハーツ!のところで空を見て、思い切り口を開けます。くりかえしているうちにおかしくなってきて、ハーッのあとにハハハと笑い声が自然に出るようになってきました。

ガー!オー!エー!!!   ワハハハハ!


10回ほど数えたところで、セオナルドはおかしくてたまらなくなり

空を見上げたまま笑い始めました。


「・・・・・セオナルド!どうしたの?」

ピリルです。

「あ、ピリル!おはよう!ぼく今日変な夢をみちゃって、なんだか落ち着かなくて。それでピリルに会いに来たんだよ。」

「ふうん。それにしても豪快にわらってたね。ぼく、セオナルドの声だとわかったから、走ってきたんだよ。」

「おかあさんが教えてくれたじゅもんを唱えてたら、おかしくなっちゃって!」

と、ここでセオナルドは気がつきました。

「ピリルこそ、こんなに朝早いのに、どうしたの?」

ピリルは頭を振りながら答えました。

「今日の瞑想のときに、とても悲しい気持ちがしていつまでもとれないんだ。なんだかいつもとは違うから、君に会いに行こうと思って歩き出したら君の声が聞えたんで走ってきたんだよ。」

「ピリルも?なんだろう?じゅもんをとなえたら気持ちは軽くなるよ。唱えてみる?それにしても何か理由があるのかな?」

「ぼくはセオナルドに会ったら大丈夫になってきた。一緒に理由を考えたいんだ。」

「それじゃあ、森の奥の奥に行って話をしよう。」

「うん!行こう」

ふたりは森の奥の奥に向かって歩き出しました。

読んでいただき、ありがとうございます。 これからも楽しんでいただけるようにお届けしていきます!