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【ゴルフ】ボールは曲げて打つ~いつでもスコア80台への道#5~

橘です。スコア90台は連発できても80台であがった経験のないアナタに金言をお届けする本コラム。今日のテーマは「ボールを曲げよう」です。誰しもがボールを曲げたくないと考えがちですが、残念ながら曲がるもの。それをコントロールすべきですよね、という話です。

「真っすぐ打ちたい」というワナ

スイングおじさん

今日は後輩に誘われてのラウンド。やってきたのはパー3です。距離は150Y。ピンは前後左右ほぼセンター。確実にパーを取りたいサービスホールです。ここで後輩が放った一言がこれ。

後輩「真っすぐ打ちたいなぁ~」

いやいや、無理です。ボールにはディンプルという凹凸があり、空気抵抗を受けて上下左右にスピンがかかります。そしてプロでも左右のスピンを0にすることはできません。必ず右から左か、左から右への回転がかかります。そしてその回転によってボールは曲がる。これは物理の問題です。

案の定、後輩のボールは右に曲がります。転がってグリーンを外れ、バンカーにイン。まぁまぁ深い。脱出に2回。2回目はグリーンに乗せることができましたが、2パットでダボ。素ダボ。私は彼に言いました。

「右に曲がるなら、左向けばいいだけの話なんだけどね。ひょっとしていつもピンに向いて真っすぐ打つつもりなの?」
後輩「はい。おかしいですか?」

はい、おかしいです。私は後輩に永久シード選手である片山晋呉プロのパー3における考え方について説明することにしました。

片山晋呉プロのパー3における考え方

ある年、片山晋呉プロはショットがシーズンを通じて絶好調だったそうです。ところが思うような成績が残せませんでした。翌オフシーズンにスコアを集計したところ、パー3における平均スコアが前年より大幅に悪くなっていることが分かったそうです。原因はシンプル。ショットの調子が良すぎてついついピンに向かって打ってしまい、ちょっとした風や傾斜、ミスでグリーンを外すことが多く、結果、パーが取れていなかったそう。そこで彼が選択した攻め方は以下の図。

グリーン

ピンの右へ打つ。ボールには持ち球であるフック回転がかかっているから、ちょっとしたミスがあったとしても結果ピンに寄る。

なんだか消極的に感じるかもしれません。でも、ゴルフを極めた永久シード選手ですら、こういう選択をするのです。そして最も重要なこと。それは「ミスしたとしても左に曲がる」こと。曲がる方向が一方だからこそ、可能な攻め方であるといえます。ひるがえって私たちアマチュアはどうでしょうか? 練習場で真っすぐ打つ練習に終始していませんか? そしてラウンドでは右に曲がり左に曲がり「今日はうまくいかなかったなぁ」といってコースを後にする。そんなラウンドを続けていませんか? 

そこで提案です。練習場でボールを一定の方向へ曲げる練習をして、その球筋をコースで生かしませんか?

ボールが曲がるとラウンドが整う

ではなぜボールを曲げる必要があるかを確認しましょう。ゴルフコースは幅に過多があるにせよ常にゆるやかなカーブしており、フェアウェイにも私たちの行く手を阻むワナがあります。例えば大きな木。邪魔だなぁ。

打ち分ける例

アナタが常にスライスする人であれば、木の左側から巻き込んで攻めることができます。フックする人であれば、当然右側から。このように目の前にある障害を避けることができますよね。

ティーショットでもそうです。目の前に障害がないとしても、左に曲がる人は右へ打つ。右に曲がる人は左に打つ。これによってフェアウェイキープ率を高めることができます。フェアウェイかラフか、どちらがセカンドショットが打ちやすいか、これはいうまでもないことですよね?

しかしここで問題があります。「いやいや、そうはいうても、右にも左にも曲がるんだよね」。それはそうです。ここは練習するよりありません。でも一方でこうもいえます。「アナタは一方に曲げるボールを打つ練習をしてきましたか?」。やってきていないのであれば、やる価値はあります。そしてそれって思いのほか難しいことではないんです。

長いクラブ基準で曲がる方向を決める

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さて、アナタはボールを曲げて打つことに興味がわいてきました。ここで次にぶつかる問題。それは「右に曲げるか? 左に曲げるか?」。言い換えれば「スライスを打つか? フックを打つか?」となります。まずはとにもかくにも、この点についての基本方針を決定しなければなりません。そこで基準にしたいのはドライバー、フェアウェイウッドです。

考えてみてください。アナタは100切りで苦労するようなレベルではありません。90台でラウンドする実力のある人。であれば思い当たることがありませんか? ドライバーはスライスしがちだな。ヒッカケ気味のフックが多いな。そう。もともとアナタには一定の曲がる方向があるはず。左右に曲がるといっても、そのどちらか、回数的に多いほうがありますよね。スライスする回数が多い人は、本質的には右曲がりを得意とするスライサー。フックを打つことが多い人はフッカーです。そしてその傾向を踏まえた上でその傾向をしっかりしたものとしていきたいと思っています。

大切なことなので改めて申し上げます。スライスする人の目標は、常にスライスし続けること。フックする人は、常にフックするボールを打つ。そのほうがゴールが近んです。確かに女子プロのようにフック回転のドローを打てればランが多く飛距離も稼げます。しかし女子プロのそれは生活をかけた職業としての技です。アナタの目標はあくまで「常に80台でラウンドすること」。持前の傾向に磨きをかけたほうがゴールが近いんです。

ドライバーで曲がり幅を操る

ボールを曲げるためにまず最初に取り組むこと。それはドライバーで曲がる方向を一定にし、さらにその曲がり幅をコントロールすることです。アナタがスライサーとしてティーショットで30Yもスライスしてしまっていては、さすがにつらいですよね。そこでまずボールがどのように曲がるか、その傾向を確認しましょう。

球筋の種類

ボールの飛び方は、程度の差こそあれ、この9種類しかありません。いわゆるスライスは【1】【4】【7】。フックは【3】【6】【9】です。まずアナタのドライバーの球筋がどれに該当するか、確認しましょう。

打ちたいイメージ

もちろんアナタはこんなイメージで振っていますよね。でもこんなことにはなりません。まずスライスを打つ人がどんな傾向にあるか分析します。

スライスの軌道

上記は【1】のパターン。最初から右に飛び出し、さらに右に曲がってしまうパターンです。実は日本人の約75%、4人のうち3人が【1】【4】【7】のスライス打ちだといわれています。アナタもかつて100が切れない時代に大きなスライスで悩んでいたのではないでしょうか? スライスが起こる基本的な構造。それは当然、ボールにスライス(左から右への)回転が起こっているにほかなりません。ではなぜスライス回転がかかるか? ヘッドが飛球線に対して外から入るアウトサイドイン軌道であること、さらにヘッドのフェイス面が返らない(閉じない)ことが主な原因です。アナタがもし大きなスライスが起こり続けているのであれば、アウトサイドイン軌道をストレートに近づけること、フェイス面を返していく動きを身につけていくことが必要となります。最終的なゴールは【7】ですね。

フックの軌道

図は【9】の球筋の人に見られる傾向。最初から左に飛び出し、さらに左に曲がっていくフックです。ナチュラルにフック傾向にある人の動きは、要するにスライスと逆です。ヘッドがインサイドから振れる。ヘッドが返る(閉じる)動きが強い。スタンスが最初から目標に対して右を向いていることもフックになる原因の一つです。ボールが右に飛び出すかもしれない、スライスするかもしれないという意識があるから、ヘッドを急激に左に返してしまう。身体をうまく回転させることができない人もフックの傾向にあります。身体の左サイドが止まり、やはり同じようにヘッドが急激に返ってしまうのです。フックする人の最終目標は当然【3】。すこし右に出て左に曲がっていく。そのためにインサイドから入れ過ぎない、ヘッドを返しすぎない、この2点を意識しながら、曲がり幅をコントロールできるよう練習を続けていきましょう。

スライスの人が自然とフックが打てるようになる。フックの人がナチュラルに右に曲がるボールを打つ。これは正直しんどい。プロに教わりながら時間をかけてゆっくりと取り組む必要があります。相当な努力です。でもそんな努力はおすすめしませんよ。自然にある動きを整えるほうが、80台でのラウンドのためには絶対に近道です。まずドライバーの曲がり方を把握してそれをいい感じに整えていきましょう。

あえて逆玉を打つ練習も必要

ドライバーやフェアウェイを基準に曲がる方向を決めました。そして次にやることは、その方角にユーティリティ、アイアンを打つことです。続けることによって、その球筋がアナタの「持ち球」になります。そしてその持ち球どおりにラウンドすればいいのです。

しかし、どうしてもコースにおいては、自分の持ち球では攻めきれないシーンが出てきます。

打ち分ける例

再びこの写真を見てください。アナタがスライサーだとして、木の左にボールがあれば持ち球通りの攻め方でグリーンに向けてボールが打てます。しかしボールが木よりも右にあった場合、どうしますか? ここはフックを打ちたい! そんなシーンが1日に何度か訪れるはずです。いや、フックなんか打てないしとあきらめるもの有効な手段です。それでも80台でラウンドすることは十分にできます。でもここでフックを打つことができれば、80台の前半も夢ではありません。

スライサーのアナタにとってフックの球筋。これを「逆球」といいます。当然、逆玉を打つのには、それなりの準備と練習が必要です。しかし練習さえすれば不可能なことではありません。

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ただし、ドライバーやフェアウェイウッドで逆球を打つのは難度が高いのも事実。まずはユーティリティでトライしてみましょう。

インテンショナルフック

普段スライスの人が無理やり【9】のフックを打つ方法。まずボールをいつもより右に置きます。右足を5cm程度引きます。ただし肩のラインは飛球線に対して平行のままに。クラブをテイクバックするときにインサイドに引きやすくするためです。フェイス面は飛球線より左に。極端に。これでハーフショットより少し大きい程度に振ってみてください。クラブは低く左に振り抜くのがコツです。出玉が右に出てから左に曲がれば最高です。スイングを徐々に大きくしていってください。

インテンショナルスライス

普段フックの人が無理やり【1】のスライスを打つ方法は、さきほど紹介したものの逆。左足をひいてフェイス面を右に向けて、クラブを極端に外にあげてフェイス面を返さないように振ります。最初は小さなスイングで。大きく振ると曲がり幅が少なくなると思います。

そして重要なこと。フック、スライスともに逆玉を打つときは、大きく飛ばすことを目標とせず、極端にやることです。持前の球筋を殺して打つわけですから、極端なぐらいのイメージが必要だからです。

曲がるじゃない、曲げるんだ

いかがでしょう? ボールは曲がるもの。だから曲がる方向を整えてコースを攻めるべし。ご理解いただけましたでしょうか? すでに90台でラウンドできるアナタにとって難しいことはなにもないと思います。次回のラウンドや練習のヒントとしていただければ幸いです。

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橘ダイスケのマガジン一覧

一度100切りを達成しても、毎回100切りとはいなかいアナタのために、クラブセッティングや練習方法、マナー的なことからコース・マネジメントまで、さまざまな角度からご紹介している橘のメイン・マガジンです。

スコア80台達成となるとちょっとした工夫が必要になってきます。ただし技術的に90台で回れているのであれば、ほぼコース・マネジメントで80台は可能と思っています。上記マガジンを卒業された方はこちらをご覧ください。

橘が愛してやまないコースと練習場をご紹介するマガジン。対象エリアは埼玉がほとんどですが、ときどき地元・京都や滋賀からもピックアップしています。

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記事本数も増えてきたので、それらをまとめたリンク集記事です。クラブセッティングや練習場など、マガジンとは違う観点で記事を分類しております。

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最後まで読んでいただき、ありがとうございました。私自身は単なるサラリーマンでしかないのですが、アマチュアなりに気が付いたことやレッスンプロに教わったことを噛み砕てまとめさせていただいております。引き続きのご愛顧、よろしくお願いいたします。

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