3千円の節約のために80キロママチャリを漕いだ話

高校1年生の終わり、その日もいつものように仲のいい友達と学校帰りにまっすぐバイトに向かっていた。

特別貧乏だったわけでもないが、レジ打ちに憧れて高校に入ってすぐ友達とスーパーに面接に行ったのだ。

しかしバイト生活も1年を迎える当たりで、学校とスーパーの往復生活に飽きてきた。

なんか楽しいことしたい、若さは有限なのに!!!そんなことばかり毎日考えていた気がする。

それは友達も同じだったようで、スーパーへの道中はいつも同じような会話だった。

あの日も友達がバイトへの愚痴をこぼしながら「楽しいことしてぇ…」と言ったので、私は特に何も考えもせずに「チャリで街いかね?」と言った。

街とは自分たちの住んでいるど田舎から約80km離れたところにある都会のことで、買い物と言えばみんなそこに行くのだ。

自分で言うのもなんだが我ながら楽しそうな企画を思いついたと思ったし、友達も意外とノリノリ。話はどんどん進み、お互いバイトの休みを合わせて来月街(80km)までチャリで行くことになってしまった。

親に内緒で出発

出発当日。親の登山用のリュックに2ℓのポカリとチョコレート5枚、お泊りセット、明日街に着ていくおしゃれなワンピースを詰め込み、朝8時にバイトへ行くと嘘をついて家を出た。

いつも通りの顔でちゃんと行ってきますと言えただろうか。もしかしたら楽しさ隠しきれず口の端が歪んでたかもしれない。

友達とバイト先のスーパーの前で落ち合い、いざ出発!このときが楽しさのピークだったと思う。

出発から5キロほど先にある高速道路までの道のりは、親に内緒ですごいことをしているという感情と、これから何が起こるかわからないワクワク感で、マリオでいうところのスターモードだった。

正直この時の会話はあまり覚えておらず、とにかく楽しいという感情だったことしか思い出せない。それほどに高ぶっていたのだと思う。

そしてスターモードの私たちは、そのまま高速道路へ入ろうとする…

のだが看板を見て唖然。どうやら原付とチャリはダメらしい。ここまでで一番のショックを受けた私たちは、しばらく固まった後「これからどうする?」という会議をするが、ここまで来たんだし(まだ5km)下道で行こうということに。

気を取り直して再びチャリを漕ぎだした私たち。30キロ先を目指し、友達の好きな人の話やバイト先に来る嫌な客の話をしながら必死にペダルを踏み続けた。

若さもあってか、思ってたより疲れることなくコンビニに到着。とりあえずお腹が空いたので、ミックスフライ弁当とソフトクリームを買って食べることに。(-1,000円)

コンビニの横の灰皿があるところに座って食べたミックスフライ弁当は、遠足みたいでほんとうに美味しかった。

「デザートにソフトクリームって最高」
『ね。大人の特権だわ』

なんて若さの塊みたいな会話をしながらあっという間に間食。実はこのとき、運動部でもなんでもなく体力のない私は、食べ終わるのが早すぎて本当はもう少しここで休みたい気持ちでいっぱいだった。

なによりさっきからほんの少しだけどお尻が痛いんだ。しかし高ぶる雰囲気を壊したくないので知らないフリをして出発することに。

このときはまだ私をあんな悲劇が襲うとは想像もしていなかった…

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