冷たい贖罪
突然、凍てつくような水が身体を包む。
急激な温度変化に細胞全体が驚いて、これでもかというほど血管の中を血液が暴れ回る。
身体は冷たくなっていくが、頭はどんどん澄み切っていく。
彼女にしたことを考えれば、これが相応の罰なのだろうか。
罪悪感がおれを苛む。
だんだん感覚がなくなっていく。
手がかじかんで震えてくる。
このままおれが受け入れてしまえば彼女の気もいくらか晴れるかもしれない。
あのとき彼女は激昂して涙を流していた。
その原因を作ったのは間違いなくおれだ。
そうだとしても、
このまま大人しく受け入れるのはガマンできない。
冷え切った身体に活を入れて、閉ざされた扉をゆっくりと開く。
暖かい空気が冷たい個室の中に流れ込んでくる。
懇願する思いでおれは叫んだ。
「姉ちゃん!ケーキ食べたのは悪かったから、シャワーのお湯出るように戻して!」
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