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2023年 心に残った新作映画10本

10本に絞り切れなかった…

2023年に観た新作映画で心に残った10本を選ぼう、とタイトルを「10本」にしたにもかかわらず、絞り切れず13本に…(笑)

嬉しいも悲しいも楽しいも辛いも。2023年はライフイベントが多くて心が揺れる年だった。映画館で一人で2時間座り、非日常の世界に浸ることで心癒された。

パーフェクトデイズ

毎日ルーティン生活のように見えても、1日として同じ日はない。
役所広司がひたむきに生きるトイレ清掃員の役でカンヌ映画祭で最優秀男優賞を受賞した話題が取り上げられるが、東京の街のなかでも豊かな自然や木や風が感じられるし、「木」「自然」の恵みを感じて人は生かされる。そこに気づかされる映画なのでは?

劇中で平山(役所広司)が眠りにつく前に毎晩読む文庫本は幸田文の「木」。「そんなに面白いの?」と素直に思い、仕事で「木」「木育」に関係していることもあり、さっそく読み始めた。
10代の時に「おとうと」を読んだ以来の幸田文。改めて文章の美しさに感嘆し、今は使わない言葉を調べながら読んでいる途中だ。

あしたの少女

ペドゥナのファンにとって2023年はこの映画が8月に日本公開、12月にハリウッドのSF映画「レベル・ムーン」が配信されて、全く違う2本の映画を楽しめて、お祭りみたいな年だった。

多分、ドゥナは手弁当で出演した「あしたの少女」は、PRも監督と一緒に自ら走り回っている感じも見どころたっぷりですが、逆に「レベル・ムーン」の予算がハンパなさそうなワールドプレミアでのセレブ感たるや!東京だロスだロンドンだ、毎日違うドレスで世界のあちこちを飛び回る。スターすぎてまぶしい。ファンながらちょっと引く~(笑)

バービー

「バービー」好きすぎて、マーゴット・ロビーとグレタ・ガーウィグの作品を漁ってる。

ぼくたちの哲学教室

「怪物」のあとに見たこのドキュメンタリーに衝撃を受ける。

北アイルランドのベルファストで1969年に起きたカトリックとプロテスタントの対立紛争。現在でも町の真ん中に平和の壁と呼ばれるカトリックとプロテスタントを隔てる壁が。そんな町のカトリック系の男子小学校の校長先生と生徒たち、同僚の先生たちのドキュメンタリー。

校門に爆弾を仕掛けられたり、今でもやはり荒廃している町と小学校。コロナ禍も影を落とす。「哲学」を必修科目として教え対話することで「暴力」と向き合う心を育てる校長先生の諦めない取組み。人によって違う「正義」があることを理解しようとする子どもたち。

日本の小学校の先生たちに見て欲しい。こんなに平和のために頑張っている人がいるんだと胸が熱くなった。

ちなみに「ベルファスト」見ていたから理解が進んだ。「ベルファスト」も大好きな映画のひとつ。

怪物

是枝信者なので公開されてすぐ見に行った。「アンコンシャス・バイアス?」と自分を振り返って、私も身に覚えがある気がしてちょっとつらくなった。

引っ掛かり続けたのが、隣の席のBLマンガ読んでた女の子。湊と星川君の関係に気づいていながらも嘘ついてしまったり、雑巾を投げつけたり。子どもと大人のあいだの揺れる時期。わが子や過去に出会った子どもたちのことが過ぎって胸が痛くなる。

すべてうまくいきますように

高校の時に「ラ・ブーム」を見て以来のソフィー・マルソー。びっくりする美しさ。ソフィー・マルソーも介護する年齢かぁとしみじみ。そしてフランスでも介護する娘の辛さ悲しさは同じだなぁと涙。

85歳の父親が安楽死したいと言い出して困り果てる主人公。しかも母はうつ病。妹と価値観が微妙ーに違い、親戚には大反対され、父の恋人には通報され?それでも父個人の尊厳を無視できない娘。自分ならどうする?自分が本人ならどうしたい?

別れる決心

パク・チャヌク監督が好きで、怖いキモいと涙目になりながら見てしまう…

今回はエログロ無しでホッとしますが、やっぱり人間のこだわり部分?がキモくて、殺し方死に方は変すぎる。中国人女優のタン・ウェイの色気と独特の言葉遣いに惹かれる。海と山へのこだわり、鏡や覗き見シーンなど凝っていて怖面白い。

フェイブルマンズ

ウーマン・トーキング 私たちの選択

この映画で感じるたくさんの感情を短く言い得ない。女性たちの対話と互いの感情を追っていくのが難しいせい?実は2010年に実際に起こった信じられないほど怖い事件が実話だと知ったから?もう一回見てみたい。

TAR/ター

ただただ、ケイト・ブランシェットが圧倒的で。女性はいつの間にこんな恐ろしく貫録を身につけてしまうのか?同じ世代の自分自身も怖い。

ロストキング500年越しの運命

中年の女性の仕事や生活のテーマの映画をたくさん見た。(同じ年代だから?)
女性の立場についていろいろ思うところはありますが、彼女が悪名高い「リチャード三世」にどんどんはまっていく姿は、とてもよくわかる気がした。


あまりよくない意味でも「心に残る映画」は忘れないことが多い。↓

レベルムーンpart1炎の子

大好きなペドゥナ、久しぶりのハリウッド作なので年末これを観てから映画のまとめやりたいと楽しみにして配信日に見たが、うーん。

どこから見てもカッコいいんだけどザックスナイダーの世界観がクセが強くて私は合わなかったかも。
ネメシスが蜘蛛女との対決やコラの仲間になる段階で、彼女がどんな人なのかよくわからないので、どうしてだろう?と理解しにくかった。
でも、そのあたりはパート2で語られるらしい(インタビューでドゥナ自身が語っていた)ので、期待している。

過酷なアクションや農業(!)のトレーニングを1年近く毎日続けたドゥナ様の筋肉は、ネメシス後は別人のようで表情もたたずまいもシャープに見えて感嘆。

またドゥナは新しいチャレンジをしてしまってんだな…


正直、見なければよかった。
やまゆり園の事件を取り上げて正面から向き合ったことには拍手を送りたい。

でも重度障害者施設を描かれ方があまりに前時代的で衝撃を受けた。(「50年前か!?」私が子どもの頃にはこの映画の施設ようなことがあったかも)

「社会のなかで見ないようにしていることを見ようとしなければ」

そこは共感する。しかし、当事者や実際に真摯に働いて向き合っている職員の方々、当事者家族はこの描かれ方を見て納得する?

ドキュメンタリーじゃ無くても、知らない方が見たら施設ってあんなに社会から切り離された怖い空間?てますます誤解や分断を生むのでは?

私は重度障害者のきょうだいなので気になるから映画も見るし、苦しくなる。映画館で、感動の涙ではなく悔しい歯痒い涙が溢れた。障害者ゆえにつらい思いをして来た私の家族にはこの映画は見てほしく無いと思っている。

それでも、宮沢りえ、オダギリジョー、磯村勇斗は日本の俳優のなかで好き。それだけはよかった。

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