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映画「Taxi Driver」 考察

いきなりですが僕は映画は二種類にわけられると思います。何回も見る価値のある映画と、一度だけでいい映画です。これは、作品の優劣ではなくて、ただ純粋にもう腑に落ちたから観なくていいと思うからです。しばらくしてから、「そういえばあの映画の終わりってなんでこうなったの?あのシーンの意味は?」と考える余地のある映画は何回でも見るようにしてます。「Taxi Driver」はそんな映画の1つです。

軽く概要を説明すると、監督マーティンスコセッシ、主演ロバートデニーロの最強タッグで撮影された1976年の映画です。スコセッシの割と早い段階での作品になりますね。スコセッシといえばNetflixオリジナル「アイリッシュマン」がアカデミー賞にノミネートされたことでも有名です。そしてその映画の長さに耐えられない!という人も多いのではないでしょうか笑 平気で3時間映画とかつくってきますからね。それに比べるとこの映画は約2時間とふつーなので飽きずに観やすいかもしれないですね!以後は考察について話していくので、まだ観てない人は観てから読んでください

まず、初めてこの映画を観たときの感想は、どした?って感じでした。スコセッシの凄さもわからず、結末も納得いかずモヤモヤ。そして2回目観たときは主人公トラヴィスのミリタリーウェアにうっとり。余談ですがトラヴィスが映画の後半に羽織っているミリタリージャケットはM65と呼ばれるアメリカ軍が実際に来ていたフィールドジャケットになります。このジャケット例えば「クレイマークレイマー」という映画のなかでダスティンホフマンもきているのでミリタリーウェア好きな人、必見です。

さて本題にはいりますが、まずこの映画をどう理解しましたか?陰キャラでろくに女の子をデートにも誘えない気の弱い男がおかしくなってギャングを殺してしまう映画?あながち間違いではないかと笑 まずロバートデニーロ演じるトラヴィスは常に世の中に対する不満を鬱積しながら生活をしていました。こんなクズしかいない町を洗浄トイレのように洗い流せればいいのにとおもっていたんですよ。普通の人間になるのがいやだから、自分を特別視して、さらに女に振られると「あいつもあっち側の人間なのか。。」と合理化する。いや、厨二ですよ。多分元祖。そして、世の中を変革すべく次期大統領候補を殺害する計画を思いつくんですよ。入念な計画をし、いざ実行しようとした矢先あっけなくSPにばれてしまうんですね。そのあと、立ち寄った(ここの文脈はながいので飛ばしますが)売春宿で遭遇したマフィアを殺し、次の日新聞に載り、ヒーロー扱いされるというそれまでの映画にはないプロットですよね。この時、僕が思ったのは人ってのは結局、物事の表面しか見えていないということ。その出来事の文脈やバックボーンなんか見ようとしないんですよ。もしトラヴィスが次期大統領を殺害していたら、あたまのおかしい急進的なやつだからといったレッテルを貼られていたでしょう。たまたまギャングを一掃したために正義感の強いタクシードライバーとして世間には映ったわけですよ。彼にとっては次期大統領もマフィアも似たようなものだったわけですから笑 スコセッシはそういった皮肉さをこの映画で描きたかったのではないかと今回、合点しました。

ちなみに、映画評論家の町山さんいわく、このトラヴィスはマーティンスコセッシ自身の暴力的な一面と内気な心の葛藤が混在した人物だとおっしゃっています。きになる方はぜひこちらも観てください。

最後に「Taxi Driver」の一番すきなシーンをシェアしたいと思います。彼が鏡越しにマグナム44を構え、自分をみながら「Are you talikng to me?」とかっこいいセリフを反復練習しているところです。僕的には4回目のうしろふりかえりながら確認しているあれが好きです笑

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