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「スポーツとエンターテイメントとプロ」についてアントニオ猪木さんのコラムから考えてみた

元気ですか!(猪木調)

スポーツと法律、アスリートと著作権に関するインプットを続けるうちに出会った一冊『Q&Aスポーツの法律問題―プロ選手から愛好者までの必修知識』に、アントニオ猪木さんが寄稿したコラム「プロレスはスポーツか?」がある。

2012年に書かれたこのコラムがとても良い内容だったので、自分なりの考察も交えて今の日本スポーツ界及びアスリートへの提言として紹介したいと思います。


コロナ禍の興業スポーツ

かつてのようにファン・サポーターが会場に集い・騒ぎ・空間を共有することが難しくなった。

現状維持を続けていては、チケット収入減に端を発するグッズ収益、スポンサー収益並びに放映権収益の減少は避けられず、興業としてのスポーツはまさにビジネスモデルの転換を迫られている状況にある。

この中断期間、各クラブ・運営団体が様々なオンライン施策に取り組み、新たなファンとの接点・キャッシュポイントを作ろうと試行錯誤を繰り返してきた。現状、あらゆるステークホルダーが最適解を模索している最中ではあるが、興業としてのスポーツが存続していくためには、新しい仕組みを(早急に)デザインしなければならない状況にあると思う。

そんな中で、アントニオ猪木さんのコラムは「スポーツとは何なのか?」をその根底から問いかけます。


コラム|プロレスはスポーツか?

元気ですか!

プロレスはスポーツですか?プロレスは台本が決まっているんでしょ?と質問を受けるけど、その質問に対し私は、プロレスはエンターテイメントだと答えているんです。

一方で私は、スポーツとは何ですか?と逆に質問するのですが、それに対する明快な答えはないですね。

そこでスポーツとは何かと考えてみると、いろいろな方面で考える必要があるんだよね。試合をやっている当事者の関係でいえば、勝負だから、相手には勝ちたい。しかし、格闘技も喧嘩じゃなくルールがある、しかもプロの場合、お金を出している観客がいて、観客を楽しませる責任もあるので、一方的に勝つだけでは良くないのです。常にエンターテイメント性が求められる。

「スポーツとは何ですか?」

この問いに対する答えはスポーツへの関わり方の数だけ存在し、コレと定義することが難しい。しかし、プロの場合は常にエンターテイメント性が求められるとアントニオ猪木さんは主張します。

この部分僕はすごく納得で、会場に足を運んでいた観客はこれまでスポーツ観戦のどこにエンターテイメント性を見出していたのか、スポーツ関係者は今一度考える必要があるのだろうと思います。

真剣勝負だけがスポーツかといえば、ちょっと違うのではないかな。

プロレスは、文字どおりプロのレスリングだけど、レスリングがスポーツであることは誰も否定しないと思うので、問題はプロとは何かだよね。

これがまた難しい。私は、プロとはエンターテインメントだと思うんです。

いずれにしても、プロレスはスポーツと言ってかまわないと思うけれど、あえてエンターテインメントだとしておくよ。(アントニオ猪木)

コラムの後半は「プロとは何か」に関する内容。

レスリングはスポーツ、プロレスはエンターテインメントであるというアントニオ猪木さんの論理構造をお借りすると

サッカーはスポーツ、プロサッカーはエンターテインメント
野球はスポーツ、プロ野球はエンターテインメント

というように、どの競技に当てはめても「◯◯はスポーツ、プロ◯◯はエンターテインメント」と言い表すことが出来ます。

興業スポーツはこれまで「会場での試合観戦」を中心にデザインされてきました。プロスポーツは、現地でしか得られない非日常体験をファン・サポーターに提供することでエンターテインメントを成立させてきたからです。

しかし、コロナ禍においては「現地でしか得られない非日常体験」をかつてと同じ強度で提供することは、すごく難しい。

観客動員数に制限がかかる上に、会場に足を運んだとしても一定以上の距離を置いたガラガラの客席。VIPルームも人数制限がかかるそうです。(Danさんのツイートにもあるようにスタンドに選手が近づかないような配慮も)


・・・じゃあ、どうすればええんや!

と言われると、絶対解は正直分かりません。

だけど、アントニオ猪木さんのコラムを読んで「プロスポーツはよりエンターテインメントにならなければ」ということを改めて強く感じました。


もう、これまでの前提は変わってしまったのだと思います。

Jリーグのチケットの売れ行きが芳しくないことを考えても、これまでの(多くの)プロスポーツの在り方ではエンターテインメントをファン・サポーターに届けられなくなっているのかもしれません。

問題はプロとは何かだよね。

アントニオ猪木さんが問いかけるこのフレーズは、自分も含めて日本のプロスポーツに関わるあらゆるステークホルダーが真正面から向き合わなければならない問いなのではないかと、コラムを読んだ勢いそのままにnoteを書いてみました。

新たにオンラインで持続可能なキャッシュポイントを作ることが出来れば、それは興業としてのスポーツを拡張することになる一方で、プロスポーツそのものがよりエンターテインメントとして面白くなることを抜きにして、本質的な解決は難しいのではないかと個人的には感じています。


最後に

日本スポーツがより良くなるよう、僕は僕でアスリートやスポーツクラブの皆さまと一緒にコンテンツを作り・ストーリーを紡ぎ・広く深く届けることでスポーツのエンターテインメント化に貢献していきます。

コロナ禍におけるRIZINの動きから考察するつもりが、アントニオ猪木さんのコラムにすり替わってしまいました(笑)でも、書きたかったことは同じです。

最後までお読みいただきありがとうございました!


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著書『アスリートのためのソーシャルメディア活用術』http://urx.red/Fh0w|Revive Inc. PR manager◁電通ライブ・電通テック◁東京学芸大学蹴球部 学連/全日本大学サッカー選抜主務|日本に40人の苗字、ゴカツデです。#アスリートSNS本









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