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宅建士試験合格講座 宅地造成及び特定盛土等規制法 > 盛土規制法の目的等

 本章からは、例年1問出題されています。「宅地造成及び特定盛土等規制法」(以下、本章において「盛土規制法」という。)は、盛土等による災害から国民の生命・財産を守るため、土地の用途(宅地・農地・森林等)にかかわらず、危険な盛土等を規制する法律です。


第1節 盛土規制法の目的等

■ 1 盛土規制法の目的

 盛土規制法は、宅地造成、特定盛土等または土石の堆積に伴う崖崩れまたは土砂の流出による災害の防止のため必要な規制を行うことにより、国民の生命および財産の保護を図り、もって公共の福祉に寄与することを目的とします。

 

■ 2 盛土規制法の規制の対象となる「宅地造成等」

 盛土規制法の規制の対象となる行為は、「宅地造成等」です。 

(1) 「宅地」の意味
 
「宅地」とは、次の①および②以外の土地をいいます。

① 農地、採草放牧地および森林〔=農地等〕
② 道路、公園、河川その他一定の公共の用に供する施設の用に供されている土地〔=公共施設用地〕

 たとえば、ゴルフ場の施設用地は、上記①および②のいずれにも該当しないので、建物の敷地ではないが「宅地」になる。宅建業法の「宅地」と意味が違うので注意しましょう。

(2) 「宅地造成等」の意味
 「宅地造成等」とは、「宅地造成」、「特定盛土等」または「土石の堆積」のことです。

・宅地造成
宅地以外の土地を宅地にするために行う盛土その他の土地の形質の変更で、一定の規模のものをいう。
・特定盛土等
宅地または農地等において行う盛土その他の土地の形質の変更で、一定の規模のもの〔=当該宅地または農地等に隣接し、または近接する宅地において災害を発生させるおそれが大きいもの〕をいう。
・土石の堆積
宅地または農地等において行う土石の堆積で一定の規模のもの(一定期間の経過後に当該土石を除却するものに限る。)をいう。

(3) 「宅地造成等」となる盛土等の規模
① 「宅地造成」または「特定盛土等」となる盛土その他の土地の形質の変更の規模
 「宅地造成」または「特定盛土等」となる盛土その他の土地の形質の変更は、次のとおりです。

➊ 盛土であって、当該盛土をした土地の部分に高さが1mを超える崖を生ずることとなるもの
➋ 切土であって、当該切土をした土地の部分に高さが2mを超える崖を生ずることとなるもの
➌ 盛土と切土とを同時にする場合において、当該盛土および切土をした土地の部分に高さが2mを超える崖を生ずることとなるときにおける当該盛土および切土(上記➊または➋に該当する盛土または切土を除く。)
➍ 上記➊または➌に該当しない盛土〔=崖が生じない盛土〕であって、高さが2mを超えるもの
➎ 上記➊~➍のいずれにも該当しない盛土または切土であって、当該盛土または切土をする土地の面積が500㎡を超えるもの

 なお、「崖」とは地表面が水平面に対し30°を超える角度をなす土地で硬岩盤(風化の著しいものを除く。)以外のものをいいます。

「超える」という場合、基準となる数値は含まない。たとえば、切土をする土地の面積が500㎡で、切土をした土地の部分に生じる崖の高さが2mである場合は、「宅地造成等」には該当しない。

② 「土石の堆積」となる土石の堆積の規模
 「土石の堆積」となる土石の堆積は、次のとおりです。

➊ 高さが2mを超える土石の堆積であって、当該土石の堆積を行う土地の面積が300㎡を超えるもの
➋ 上記➊に該当しない土石の堆積であって、当該土石の堆積を行う土地の面積が500㎡を超えるもの

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