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宅建士試験合格講座 建築基準法 > 防火地域および準防火地域内の制限(集団規定-5)

第8節 防火地域および準防火地域内の制限(集団規定-5)

 建築物が密集している地域では、火災発生の際に延焼が起こりやすく、被害が拡大しがちです。そこで、火災の被害拡大防止のため、地域全体での火災・延焼防止の取り組みが求められます。そこで、火災の危険を防除するため「防火地域」および「準防火地域」が指定されます。防火地域のほうが準防火地域よりも規制が厳しく、一般的に、防火地域は繁華街などの都市の中心部に指定され、その周辺部に準防火地域が指定されます。


■ 1 防火地域および準防火地域内の建築物

 防火地域または準防火地域内にある建築物は、① その外壁の開口部で延焼のおそれのある部分に防火戸その他の政令で定める防火設備を設け、かつ、② 壁、柱、床その他の建築物の部分および当該防火設備を通常の火災による周囲への延焼を防止するためにこれらに必要とされる性能に関して防火地域および準防火地域の別ならびに建築物の規模に応じて政令で定める技術的基準に適合するもので、国土交通大臣が定めた構造方法を用いるものまたは国土交通大臣の認定を受けたものとしなければなりません。
 防火地域内の建築物の壁、柱、床その他の部分および防火設備の性能に関する技術的基準によると、防火地域および準防火地域内に建築することができる建築物は次のとおりです。

(1) 防火地域内の建築物の規制
① 防火地域内にある建築物で階数が3以上のもの、または延べ面積が100㎡を超えるものは、「耐火建築物等」としなければならない。
② 防火地域内にある建築物のうち階数が2以下で延べ面積が100㎡以下のものは、「耐火建築物等」または「準耐火建築物等」としなければならない。

「耐火建築物等」とは、「耐火建築物」または「延焼防止建築物」(耐火建築物と同等以上の延焼防止性能を有する建築物)をいう。
「準耐火建築物等」とは「準耐火建築物」または「準延焼防止建築物」(準耐火建築物と同等以上の延焼防止性能を有する建築物)をいう。

(2) 準防火地域内の建築物の規制
① 準防火地域内にある建築物で地階を除く階数が4以上のもの、または延べ面積が1,500㎡を超えるものは、「耐火建築物等」としなければならない。
② 準防火地域内にある建築物のうち地階を除く階数が3で延べ面積が1,500㎡以下のもの、または地階を除く階数が2以下で延べ面積が500㎡を超え1,500㎡以下のものは、「耐火建築物等」または「準耐火建築物等」としなければならない。
③ 準防火地域内にある建築物のうち地階を除く階数が2以下で延べ面積が500㎡以下のものは、一定の技術的基準に適合する防火構造の建築物としなければならない。

(3) 防火地域および準防火地域内の建築物に附属する門・塀の規制
① 高さ2mを超える門または塀で、防火地域内にある建築物に附属するものまたは準防火地域内にある木造建築物等に附属するものは、「延焼防止上支障のない構造」としなければならない。
② 門または塀で、高さ2m以下のものまたは準防火地域内にある建築物(木造建築物等を除く。)に附属するものについては、①の規制は適用されない。

高さ2m以下の門・塀については、地域を問わず、規制は適用されない。


■ 2 防火地域内における看板等の防火措置

 防火地域内の看板等には、特別の規制があります。

防火地域内にある看板、広告塔、装飾塔その他これらに類する工作物で、建築物の屋上に設けるものまたは高さ3mを超えるものは、その主要な部分を不燃材料で造り、または覆わなければならない。

※ 不燃材料とは、建築材料のうち、不燃性能に関して一定の技術的基準に適合するもので、国土交通大臣が定めたものまたは国土交通大臣の認定を受けたものをいう。たとえば、コンクリート、れんが、しっくいなど。

看板等の防火措置について規制が存在するのは防火地域である。準防火地域に、同様の規制は存在しない。

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