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宅建士試験合格講座 債権総論 > 債権の消滅 #1

第2節 債権の消滅

■ 1 債権の消滅原因

不動産の売買契約は、売主が物件を引き渡し、さらに登記の手続きに協力し、これに対して買主が代金を支払えば終了します。つまり、お互いの債権が消滅するわけです。このように約束どおりに事を運び債権を消滅させることを弁済といいます。債権の消滅原因では宅建試験上、「弁済」「相殺」からの出題があります。大切なところなのでしっかり学習しましょう。

債権は、以下の原因で消滅します。

[弁済]
債務者が債権者に対して、債務の本旨(本来の目的)に従って、債務を履行し、債権を消滅させること。

[相殺]
2人が互いに同種の目的を有する債務を負担する場合において、双方の債務が弁済期にあるときに、当事者の一方から相手方に対する相殺の意思表示によって、各債務者が、その対当額について、その債務を免れること。

[更改]
当事者が従前の債務に代えて、新たな債務であって次の①~③に該当するものを発生させる契約をすることにより、従前の債務が消滅すること。
① 従前の給付の内容について重要な変更をするもの
② 従前の債務者が第三者と交替するもの
③ 従前の債権者が第三者と交替するもの

[免除]
債権者が債務者に対して債務を免除する意思を表示することにより、その債権が消滅すること。

[混同]
債権および債務が同一人に帰属することにより、その債権が、消滅すること。

■ 2 弁済

 弁済とは、債務の本旨(本来の目的)に従って、債務を履行することです。例えば、1,000万円の金銭債務であれば、1,000万円支払うことです。
 債務者が債権者に対して債務の弁済をしたときは、その債権は、消滅します。債務が履行されれば、債権はその目的を達するからです。

(1) 弁済者
① 債務者の弁済
 債務者による弁済は、当然に、有効です。
 
② 第三者の弁済
イ) 原則
 債務の弁済は、第三者もすることができます。したがって、第三者による弁済も、有効です。

ロ) 第三者の弁済ができない場合
(a) 第三者の弁済が債務者の意思に反する場合
 弁済をするについて正当な利益を有する者でない第三者は、債務者の意思に反して弁済をすることができません。ただし、債務者の意思に反することを債権者が知らなかったときは、この限りではありません。

弁済について正当な利益を有する第三者は、債務者の意思に反しても、弁済をすることができる。弁済について正当な利益を有する第三者とは、債務者の代わりに弁済をしないと、法律上の不利益を受けるおそれのある者であり、例えば次のような者である。
1. 物上保証人(他人の債務について自分の財産を担保として提供している人)
2. 抵当不動産の第三取得者(抵当権のついた不動産を売買などで取得した人)
3. 借地上の建物の賃借人

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