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宅建士試験合格講座 宅地・建物に関する税 > 所得税 #2

■ 4 税率

(1) 総合課税の税率
 
総合課税の課税標準である総所得金額に基礎控除などの所得控除を適用したあとの金額を課税総所得金額といいます。課税総所得金額に適用される税率は、課税総所得金額が大きくなるに応じて税率が高くなる、超過累進税率です。税率の最低は5%、最高が45%です。 

(2) 分離課税となる土地建物等に係る譲渡所得の税率
 
土地建物等に係る長期譲渡所得の金額および短期譲渡所得の金額に、3,000万円特別控除等があればこれを適用したあとの金額を、課税長期譲渡所得金額および課税短期譲渡所得金額といいます。これらには、原則として、次の税率が適用されます。

課税長期譲渡所得金額・・・15%
課税短期譲渡所得金額・・・30%


■ 5 税率の特例

(1) 居住用財産を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例(軽減税率の特例)
① 制度の概要
 個人が、譲渡年の1月1日における所有期間が10年を超える居住用財産を譲渡した場合は、特別控除後の課税長期譲渡所得金額のうち6,000万円以下の部分に、10%の軽減税率が適用されます。 

② 特例の適用要件(主なもの)
 この特例の適用を受けるには、次の要件を満たす必要があります。

(a) 現在居住の用に供している家屋やその敷地の譲渡であること
(b) 現在居住の用に供していないものについては、居住の用に供さなくなった日から3年を経過する年の12月31日までの譲渡であること
(c) 配偶者・直系血族・生計を一にする親族など、特別の関係がある者への譲渡ではないこと
(d) 居住用財産を譲渡した年の1月1日において、その所有期間が10年を超えていること
(e) 前年、前々年においてこの特例の適用を受けていないこと

【居住用財産を譲渡した場合の軽減税率】
課税長期譲渡所得金額のうち6,000万円以下の部分・・・10%
課税長期譲渡所得金額のうち6,000万円超の部分・・・15%

1. この軽減税率の特例は、「3,000万円特別控除」や「5,000万円特別控除」と併用することができる。
2. この軽減税率の特例は、「特定の居住用財産の買換えの特例」や「収用等に伴い代替資産を取得した場合の課税の特例」と併用することができない。
3. 3,000万円特別控除は所有期間に関係なく適用を受けることができるが、この軽減税率の特例は所有期間が10年超でなければ適用を受けることができない。

(2) 優良住宅地の造成等のために土地等を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例(軽減税率の特例)
 個人が、譲渡年の1月1日における所有期間が5年を超える土地等を、優良住宅地の造成等のために譲渡した場合は、課税長期譲渡所得の金額のうち、2,000万円以下の部分に、10%の軽減税率が適用されます。
 優良住宅地の造成等のための譲渡とは、例えば、国・地方公共団体等に対する譲渡や、収用交換等による譲渡などです。

【優良住宅地の造成等のために土地等を譲渡した場合の軽減税率】
課税長期譲渡所得金額のうち2,000万円以下の部分・・・10%
課税長期譲渡所得金額のうち2,000万円超の部分・・・15%


■ 6 税額の特例(住宅借入金等特別控除)

 納税者にとって、住宅ローンの負担は大きく、その負担を緩和するために、所得税額の計算上、一定の税額控除を設けています。
 金融機関などからの住宅借入金等(住宅ローンなど)を利用して、所定の要件を満たす住宅の取得または増改築等を行った場合に、住宅借入金等の各年末における残高に一定の率を乗じた金額について、税額控除を受けることができます。これを、住宅借入金等特別控除(住宅ローン控除)といいます。 

(1) 適用要件(主なもの)
 
住宅借入金等特別控除の適用を受けるためには、所定の要件を満たす必要があります。主な適用要件は、次のとおりです。

① 住宅取得者等についての要件
 (a) 住宅取得日から6か月以内に入居し、控除を受ける年の12月31日まで引き続きその住宅に居住していること
 (b) 控除を受ける年の合計所得金額が2,000万円以下であること
 (c) 一定の親族等からの取得でないこと
 (d) 借入金により住宅を取得または増改築等していること

② 適用対象住宅についての要件
 (a) 住宅の床面積が50㎡以上あること
 (b) 床面積の2分の1以上に相当する部分が、もっぱら自己の居住用に供されるものであること
 (c) 中古住宅の場合は、一定の耐震基準に適合するかまたは昭和57年1月1日以後に建築されたものであることこと
 (d) 一定の増改築等である場合は、工事費用が100万円を超えるものであること

③ 適用対象借入金についての要件
 (a) 住宅借入金等の償還期間が10年以上あること
 (b) 住宅借入金等が割賦償還(分割により返済されるもの)であること

 なお、令和5年12月31日までに建築確認を受けた新築住宅の取得等については、床面積が40㎡以上50㎡未満であっても、控除の適用を受けようとする者のその年分の合計所得金額が1,000万円以下であれば、住宅借入金等特別控除の適用対象となります。

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