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宅建士試験合格講座 土地区画整理法 > 建築行為等の制限・仮換地の指定

第4節 建築行為等の制限

 土地区画整理事業は土地の造成工事を伴います。すると、施行地区内で勝手に建築などをされると区画整理がやりにくくなります。そこで、土地区画整理法は、以下のように建築行為等の制限を定めます。

(1) 建築行為等が制限される期間
 土地区画整理事業の施行地区内において建築行為等が制限されるのは、土地区画整理事業の施行の認可等の公告があった日から換地処分の公告がある日までです。

(2) 建築行為等の制限
 施行地区内において、土地区画整理事業の施行の障害となるおそれがある次の行為をしようとする者は、国土交通大臣が施行する土地区画整理事業にあっては国土交通大臣の許可、その他の者が施行する土地区画整理事業にあっては都道府県知事の許可を受けなければなりません。

① 土地の形質の変更
② 建築物その他の工作物の新築、改築または増築
③ 一定の移動の容易でない物件の設置または堆積
※ 国土交通大臣以外の者が施行する土地区画整理事業であっても、市の区域内において個人施行者、組合もしくは区画整理会社が施行し、または市が施行する土地区画整理事業にあっては、当該市の長が許可権者となる。

土地区画整理組合が施行者である場合、原則として、許可権者は都道府県知事である。


第5節 仮換地の指定

■ 1 仮換地の指定

 たとえば、土地区画整理事業によって工事が行われる場所に誰かが住んでいると工事の邪魔になります。そのため、工事が完了して換地処分がなされるまでは、ひとまずどこか別の場所に仮住まいをしてもらわなければなりません。この仮住まいのための土地の指定を『仮換地の指定』といいます。仮換地が指定されると、住民は仮換地を従前の宅地と同じように使用できるのです。

(1) 仮換地の指定
 
施行者は、換地処分を行う前において、次のいずれかに該当する場合においては、施行地区内の宅地について仮換地を指定することができます。

① 土地の区画形質の変更または公共施設の新設もしくは変更に係る工事のため必要がある場合
② 換地計画に基づき換地処分を行うため必要がある場合

(2) 仮換地の指定の方法
 
仮換地の指定は、その仮換地となるべき土地の所有者および従前の宅地の所有者に対し、次の事項を通知して行われます。

① 仮換地の位置および地積
② 仮換地の指定の効力発生の日

(3) 仮換地の指定についての事前の同意等
 
施行者は、仮換地を指定しようとする場合においては、あらかじめ、その指定について、関係権利者などの同意等を得ておかなければなりません。

・個人施行者
従前の宅地の所有者および仮換地となるべき宅地の所有者の同意を得なければならない
・組合
総会もしくはその部会または総代会の同意を得なければならない
・都道府県・市町村など
土地区画整理審議会の意見を聴かなければならない


■ 2 仮換地指定の効果

 仮換地が指定されると、従前の宅地の所有者は、以後、指定された仮換地について「使用・収益権」を持ち、従前の宅地は「使用・収益」できなくなります。ただし、「所有権」(この場合は処分権のこと)だけは、従前の宅地に残り、従前の宅地を売却することやそれに抵当権を設定することができます。

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