宅建士試験合格講座 宅地・建物に関する税 > 登録免許税・印紙税
第3節 登録免許税
登録免許税は、不動産の登記を受けるときなどに国が課税する国税です。ここでは、不動産の登記を受ける際に課税される登録免許税のみを扱います。
■ 1 課税主体・課税対象・納税義務者
(1) 課税主体
登録免許税の課税主体は、国です。
(2) 課税対象
課税の対象は、不動産の登記です。
ただし、表示に関する登記については、分筆登記や合筆登記など一定の登記を除き、課税されません。
(3) 納税義務者
納税義務者は、登記を受ける者です。
当該登記を受ける者が2人以上あるときは、これらの者が連帯して登録免許税を納付する義務を負います。ただし、国や地方公共団体などが自己のために受ける登記については、登録免許税は課されません。
■ 2 課税標準
登録免許税の課税標準は、登記の種類により異なります。
所有権の保存の登記や所有権の移転の登記に係る課税標準は、不動産の価額とされ、原則として、その不動産に係る固定資産課税台帳の登録価格が用いられます。
抵当権の設定の登記に係る課税標準は、債権金額(根抵当権の場合は極度金額)です。
所有権の保存の登記や所有権の移転の登記に係る課税標準は、その不動産に係る固定資産課税台帳の登録価格である。実際の取引価格ではない。
■ 3 税率
登録免許税の税率は、登記の種類により異なります(税率について、詳しくは、下記の表を参照)。
■ 4 税率の特例
(1) 土地の売買による取得に係る税率の軽減
個人または法人が、土地の売買により所有権の移転登記を受ける場合は、登録免許税の税率が1.5%(1,000分の15)となります。
(2) 住宅用家屋の取得に係る税率の軽減
個人が、所定の要件を満たす住宅用家屋を取得(新築を含む)した場合は、その所有権の保存登記、所有権の移転登記および抵当権の設定登記に係る税率が軽減されます(軽減税率について、詳しくは、下記の表を参照)。
この税率の軽減措置のおもな適用要件は、次のとおりです。
① 取得した個人の自己居住用の家屋であること
② 家屋の床面積が50㎡以上であること
③ 家屋が中古住宅である場合は、一定の耐震基準に適合するか、または、昭和57年1月1日以後に建築されたものであることこと
④ 取得後1年以内に登記を受けること
⑤ 所有権の移転登記の税率の軽減を受ける場合は、売買または競落による取得であること
1. この特例の適用対象となる住宅用家屋は、それを取得した個人の自己居住用のものに限られる。したがって、家屋を法人が取得した場合や、家屋が貸家住宅の場合は、特例の適用を受けることができない。
2. この特例の適用対象は、住宅用家屋であり、その敷地には適用されない。
3. 家屋を共有で取得した場合であっても、家屋全体の床面積が50㎡以上であれば、軽減措置の対象となる。
4. 所有権の移転登記の場合は、家屋を売買または競落により取得した場合に限られる。したがって、家屋を贈与などで取得した場合は、特例の適用を受けられない。
5. 以前にこの特例の適用を受けたことがあっても、新たに住宅用家屋を新築・取得した際に、特例の適用要件さえ満たしていれば、再度この特例の適用を受けることができる。
※ 税額が、1,000円未満の場合は、1,000円を最低税額とする。
第4節 印紙税
印紙税は、契約書や領収書といった課税文書の作成者に国が課税する国税です。
■ 1 課税主体・課税対象・納税義務者
(1) 課税主体
印紙税の課税主体は、国です。
(2) 課税対象
課税の対象は、課税文書の作成です。課税文書とは契約の成立等の一定の事項を証する書面であり、主なものは、次のとおりです。
① 不動産の譲渡に関する契約書(土地・建物の売買契約書・交換契約書・贈与契約書など)
② 地上権・土地の賃借権の設定・譲渡に関する契約書(土地の賃貸借契約書など)
③ 消費貸借に関する契約書(金銭消費貸借契約書など)
④ 請負に関する契約書(宅地造成工事請負契約書・家屋建設工事請負契約書など)
⑤ 売上代金に係る金銭の受取書、その他の受取書(売買代金の領収書など)
4. 受取書は、記載された受取金額が5万円未満の場合や、営業に関しないものである場合は、非課税文書として、印紙税が課税されない。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?