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宅建士試験合格講座 都市計画法 > 開発許可制度 #2

■ 4 開発許可の手続

(1) 開発許可の手続きの概要
 
開発許可手続の概要は、次のとおりです。

(2) 開発許可の申請前の手続
① 開発行為に関係がある公共施設の管理者の同意

開発許可を申請しようとする者は、あらかじめ、開発行為に関係がある公共施設の管理者と協議し、その同意を得なければならない。

② 開発行為により設置される公共施設の管理予定者との協議

開発許可を申請しようとする者は、あらかじめ、開発行為または開発行為に関する工事により設置される公共施設を管理することとなる者等と協議しなければならない。

③ 開発区域内にある土地の権利者などの相当数の同意

開発許可を申請しようとする者は、あらかじめ、開発区域内の土地またはその土地にある建築物等の権利者の相当数の同意を得ておかなければならない

 開発許可の申請者は、開発区域内の土地のすべてを所有していなくても開発許可の申請をすることができるが、その場合は、関係権利者の相当数の同意を得ておかなければならないということです。 

(3) 開発許可の申請書の提出
 
開発許可を受けようとする者は、次の事項を記載した申請書を都道府県知事に提出しなければなりません。

① 開発区域の位置、区域および規模
② 開発区域内において予定される建築物または特定工作物(予定建築物等)の用途
③ 開発行為に関する設計
④ 工事施行者
⑤ その他国土交通省令で定める事項

 申請書には、開発行為に関係がある公共施設の管理者の同意を得たことを証する書面、開発行為により設置される公共施設の管理予定者との協議の経過を示す書面、開発区域内にある土地の権利者などの相当数の同意を得たことを証する書類など、一定の図書を添付しなければなりません。
 上記③の設計に係る設計図書は、開発区域の面積が1ha以上の開発行為に関するものである場合は、一定の資格を有する者の作成したものでなければなりません。一定の資格を有する者とは、一級建築士の資格を有する者で、宅地開発に関する技術に関して2年以上の実務の経験を有するものなどです。

(4) 開発許可の審査の基準
 都道府県知事は、開発許可の申請があった場合、その申請に係る開発行為が、一定の基準に適合しており、かつ、その申請の手続が都市計画法等の規定に違反していないと認めるときは、開発許可をしなければなりません。審査の基準のうち、主なものは次の通りです。

① 用途地域等の用途制限への適合
② 道路・公園・広場等についての基準
③ 排水路など排水施設についての基準
④ 水道など給水施設についての基準
⑤ 地区計画等への適合
⑥ 地盤の安全性等についての基準
⑦ 開発許可の申請者の資力・信用についての基準
⑧ 工事施行者の能力についての基準
⑨ 開発区域内にある土地の権利者等の相当数の同意

1. 上記の基準のうち、②④⑦⑧は、自己の居住用住宅の建築の用に供する目的で行う開発行為には適用されない。
2. 地方公共団体は、良好な住居等の環境の形成または保持のため必要と認める場合においては、一定の基準に従い、条例で、区域、目的または予定される建築物の用途を限り、開発区域内において予定される建築物の敷地面積の最低限度に関する制限を定めることができる。このような条例が定められている場合は、制限の内容を満たさない開発行為は許可を受けることができない。
3. 市街化調整区域については、上記の基準に加えて、さらに厳しい基準が適用される。

(5) 許可または不許可の処分
① 許可・不許可の処分
都道府県知事は、開発許可の申請があったときは、遅滞なく、許可または不許可の処分をしなければならない。

 この処分をするには、文書をもってその申請者に通知しなければなりません。 

② 建築物の建蔽率等の指定
 都道府県知事は、用途地域の定められていない土地の区域における開発行為について開発許可をする場合において必要があると認めるときは、当該開発区域内の土地について、建築物の建蔽率、建築物の高さ、壁面の位置その他建築物の敷地、構造および設備に関する制限を定めることができます。

市街化区域は必ず用途地域を定めることになっているので、市街化区域内において、この建蔽率等に関する制限を定めることはできない。

③ 開発登録簿
 道府県知事は、開発登録簿を調製し、保管しなければならず、開発許可をしたときは、次の事項を開発登録簿に登録しなければなりません。

1. 開発許可の年月日
2. 予定建築物等の用途
3. 公共施設の種類、位置および区域
4. その他開発許可の内容
5. 建蔽率等の建築物の敷地、構造および設備に関する制限の内容
6. その他国土交通省令で定める事項

 都道府県知事は、開発登録簿を常に公衆の閲覧に供するように保管し、かつ、請求があったときは、その写しを交付しなければなりません。

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