糸島移住計画

先日、福岡県に帰省した。80代になった祖父母の現状が気がかりだったので、家族で様子を見に行ったのだ。

祖父母は80代にしてはしゃきしゃき話し、一見元気そうに見えたが、祖父は寝ている時間が以前と比べてかなり長くなり、祖母も家事の細かなところまでは目が行き届いていないようだった。

80代で介護施設にも入居せず、若い人の手を借りずに自立して2人で支え合って生活しているだけで十分だ。管理が行き届いていないところは私たちが面倒を見よう。

帰省のついでに、福岡県でリゾート化が進んでいる糸島をドライブしてきた。田舎なので車ありきの生活ではあるが、糸島の街は首都圏となんら変わらない店舗群が立ち並んでいた。

いや、建物が低くて海と山が近く、景色が良い分、都会よりもいい。空気も綺麗だ。特に海は磯臭さが全くなく、どこまでも透明な青が広がっている。この土地に住んだら、毎日こんな綺麗な海辺でアーシングができるのだろうか。夢は膨らむ一方だ。

例えば田舎暮らしを渋る人がいたとして、その理由について、不便さを上げる人がいるかもしれない。交通網は都会と比べたら発達していないし、首都圏には出店しているけれど、田舎にはない店もいっぱいあるだろう。

しかし、そういった購入選択肢の狭さの問題は、物流とネットの発達によりほとんど解消されたと言っていい。なければ取り寄せれば良いのだ。

糸島は確かに田舎だが、観光ビジネスが発達していることもあって、都会のサービスに引けを取らないカフェやリゾート地がたくさんある。

例えば大盛りの生クリームで有名なパンケーキ店「Eggs'n Things」は関東圏には17店舗あるところ、九州には鹿児島県に1店舗しかない。だが、これと非常によく似たパンケーキを提供しているHona Cafeというカフェが海沿いにある。しかも生クリームはおかわりし放題。田舎だからか盛りがいい。ブランドにさえ拘らなければ地方に住みながらもおしゃれなカフェやレストランを楽しむことができる。

さらに都会との違いを挙げるならば、都会の飲食店は「最先端」を売りにすることはできるが、良くも悪くも没個性化している。だから日本初上陸などのトレンドを打ち出すことはできても、産地や味で勝負するのは難しい。

糸島で目を引くのはどこのレストラン、カフェも糸島産の果物、野菜、肉、乳製品を使用している点だ。地産地消の地域社会の存在を強く感じる。

これからの時代はむしろ田舎の地域社会の方が強いかもしれない。地場産業のブランド化、移住の助成金、リモートワークの浸透。以前は都会一択だった私たち家族の住まいの候補地は今後は田舎に向くだろう。


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