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進化したマインドマップを組織にも活用しよう

こんにちは!
HackCamp【合意形成ラボ】研究員のゴウイケイコです(私たちが合意形成を研究する理由はこちらから)。

いまやすっかり市民権を得た「マインドマップ」。個人の思考整理に使っている方が多いと思いますが、実は多様な使い方ができるツールです。

今回は10年以上前から組織における合意形成の仕組みの研究と実践を続け、『視覚会議(R)』を開発した矢吹さんに「チームや組織におけるマインドマップ活用法」についてお話を伺いました。

マインドマップ日本上陸から15年!

私が初めてマインドマップに触れたのはどこかのワークショップでした。詳しくは思い出せないのですが、ワークショップそのものよりも、自由な発想を広げて描くマインドマップの面白さの方が強く印象に残っています。いまは仕事で使うことも増えましたし、プライベートでも思考を整理するために活用しています。

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ゴウイケイコ:マインドマップは教育者であるトニー・ブザンが考案し、15年前の2006年に初めて日本で紹介されました。iPhoneの登場が2007年ですから、当時は折り畳み携帯電話の全盛期ですね。

矢吹さん:懐かしいな(笑)。日本では2007年からマインドマップの認定講座が始まって、私はそこに参加した。ブームになったのは2008年か2009年じゃなかったかな。創造性を刺激するとか、クリエイティビティとか言われて人気に火が付いたけど、それでも個人ワークの域は出ていなったと思う。

個人の思考整理から議論の可視化へ

ゴウイケイコ:いまでも個人ワーク用に活用している人は多いと思いますが、矢吹さんは早い段階から、組織に活用できると思われたんですよね。

矢吹さん:当時は議論やワークショップの内容を可視化したいと思っていた。マインドマップは自分で書いて見ることを繰り返して思考を深めていく内的対話のツール。でも、これはチームにも適用でいるんじゃないか、チームの思考が可視化できれば新しい価値が生まれるんじゃないかって思ったんだよね。

ゴウイケイコ:その視点の切り替えがスゴイです。

矢吹さん:認定講座で教わったのはマインドマップって脳の第一言語だという話。イマジネーション(想像)とアソシエーション(連想)を交互に行う世界共通の言語なんだよね。人間の脳は最初から思考するのではなくて、まずはイメージがあって、そこから連想しながら思考を広げていくんだよね。そのとき個人だと自分のイメージをつないでいくんだけど、チームならば自分以外の人のイメージや意見とつないでいくことができる。

ジェームス・W・ヤングだったかな、「すべてのアイデアは既知の情報の組み合わせである」という定義があるんだけど、それで言えば、考えと考えをつないだら新しいアイデアが生まれるってことになるよね。それが50分間で合意形成を実現する『視覚会議』の原点になった。

視覚会議

視覚会議』ではマインドマップのように
アイデアを発散させる手法を使います。

ワクワクを生むのはデータじゃなくストーリー

ゴウイケイコ:矢吹さんの『視覚会議』開発ストーリー、初めて聞くのでとても新鮮です。組織で使えるツールにするために、いろいろと工夫を凝らしたと思うのですが、特にこだわったところを教えてください。

矢吹さん:視覚会議』は単に考えやアイデアをつなぐのではなく、単語と単語を関連付けて、重みづけをして、一つのストーリーに仕立てるところがポイントだと思っている。一般に、組織の意思決定ではロジックやデータ、エビデンスが重視されるんだけど、ゴウイさんはそういうのでワクワクする?

ゴウイケイコ:ロジカルなものは好きですが、ワクワクするかと言われると微妙ですね。

矢吹さん:だよね。ワクワクってロジックよりも手前の、もっとプリミティブな感覚だと思う。「いいね!」「わかる!」「それそれ!」みたいな。そういう共感の感覚はロジックやデータでは生まれず、ストーリーにこそ宿る。こういうレベルの合意形成が組織にも必要なんじゃないかな。

なるほど、人を動かすのはデータじゃなくて、ストーリーであると。思い返せば、歴史の丸暗記は苦手でしたが、テレビやマンガで知ると一気に理解が進みました。『ベルサイユのばら』がなければフランス革命なんて覚えきらなかったでしょうし、最近では『麒麟がくる』で戦国乱世を学び、今年は『青天を衝け』で幕末から昭和を学ぶ予定です!

歴史

歴史も人物相関図があるだけで理解度が変わります

組織でマインドマップ的活動を取り入れるには

ゴウイケイコ:話題をマインドマップに戻しましょう。「ロジックやデータ、エビデンスではなく、ストーリーが大事」という視点は矢吹さんが繰り返し話していることです。これ、最近のトレンドと考えてよいでしょうか。

矢吹さん:マインドマップは15年前からあって、当時から活用している人も大勢いるけれど、「可視化」に対するニーズは明らかに最近の方が高まっているし、このコロナ渦でリモートワークが増えたことで「可視化」の重要性が改めて認識されていると思う。

特に組織においては「集合知」が注目されているでしょう。集合知を活用するには多様なメンバーとの意見交換や対話が大切で、そうなると可視化は避けて通れないし、オンライン会議ではなおさら可視化して共有したいもの。意見交換や対話からはストーリーが生れ、そしてストーリーがあるからこそ、人は動く。

マインドマップをベースに、ストーリーを作るところまでを仕組みにしたのが『視覚会議』なので、組織でマインドマップ的なことをやるには最適だと思う。いままで創造性や価値創造は個人の職人芸みたいなところがあって、組織として創造性を発揮するというのはメインストリームではなかった。時代がようやく追いついてきたという感じかな。

ゴウイケイコ:ありがとうございました。

最後に今日のポイントを振り返ります。
(1)マインドマップは個人だけでなく、チームにも使える
(2)イマジネーション(想像)とアソシエーション(連想)を交互に行うからアイデアが生まれる
(3)データやロジックではないストーリーが共感を生む

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