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厚底シューズと故障の関係性②(ドロップ差とカーボンプレート)

先日twitterでこんなことをツイートしました。

前回の記事では、足趾の内在筋の機能低下による厚底シューズの弊害を書かせてもらいましたが、

https://note.com/gohshi0514/n/nba46a0d50d67

今回はカーボンプレートとドロップに注目して、

なぜ足底腱膜炎等の故障が増えたのかということを考察してみました。


〜ドロップ差とカーボンプレート〜

ドロップ差とは、シューズの踵の高さと爪先の高さの差を表します。

計算式で表すと(踵の高さ−爪先の高さ=ドロップ差)となります。

この差が大きいほど、シューズは転がるようになり、足が自然と前に出ていく感じが得られるのです。

ヴェイパーフライ→8mm

アルファフライ→8mm(キプチョゲモデルは4mm?)

アディオスプロ→10mm

カーボンX→5mm

メタスピードスカイ→5mm

メタスピードエッジ※未発売→8mm

メタレーサー→9mm

エンドルフィンプロ→8mm

主要の厚底レーシングのドロップ差は以上のような感じです。

8mmを超えると高ドロップなのかな?と感じます。

高ドロップシューズの利点としては、

✅ スムーズな体重移動が可能。

✅ 下腿三頭筋等へのダメージが少ない。

✅ 踵が厚いため、クッション性がある。

という感じです。

逆に低ドロップシューズは、

スパイクのように、薄くて下腿三頭筋等をガンガン使い、スピードが出せるという利点があります。

マラソンなどの長距離を走る上では、今現在では完全に厚底シューズの方が有利とされています。

これらのメリットデメリットを見ても、そう思います。

しかし、このドロップ差というものは同時に諸刃の剣でもあります。

こちらのツイートでも書いたように、

ドロップ差が大きいシューズや、爪先のそり上がりが大きいシューズは、

立脚中期から足趾離地(接地してから足趾が離れるまで)にかけて、

常に上の図の下のような状態になり、足底腱膜や足の指の関節に負担をかけます。

これはウィンドラス機構という現象で、本来であれば立脚中期にはそれほど働かず、足趾離地のみで働く現象になります。

足趾が反り返ることにより、足底腱膜の緊張を高めて足部の剛性を高めて、推進力の伝達効率を上げるという作用です。

これは裸足で歩いていても同じような現象が起こります。

厚底シューズではドロップ差とカーボンの形状を生かして、

このウィンドラス機構を、さらに促進させてより推進力を得られるようにしているのではないかと考えます。

また、ウィンドラス機構の逆の作用として、トラス機構というものも存在します。

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"足部.足関節理学療法マネジメント(メジカルビュー社)より抜粋"

トラス機構は簡単に言えば、着地時の衝撃を緩和させる働きです。

しかし、厚底シューズのドロップ差やカーボンの形状により、

本来自分の足で着地衝撃を緩和させるため行わなければいけない現象が、

無理矢理推進力を生むために強制的に真逆の動きをさせられてしまう。

というところに、高ドロップシューズが諸刃の剣になってしまう原因があるのではないかと、私は考えます。

また、アルファフライヴェイパーフライでは、比較的に前足部での接地を強要されるため、

初期接地が踵ではなく、前足部になるため、そもそもトラス機構が働かない場合が多いと考えます。

もともとフォアフットよりの着地で走る方は、そのための筋力や、周囲の筋ん等の柔軟性というものが揃っていても、

踵着地で走る方に取っては、より慣れない走りで足底腱膜や周囲の筋肉や関節に負担をかけてしまうとも考えます。

そして、ミッドソールの硬さとカーボンの形状も大いに関与してくるのではないかと思います。

ここはあくまで私の感覚になります。

ヴェイパーフライなどに使われているズームXは比較的柔らかいので、ウィンドラス機構を矯正されても、足が埋まり込む感じで後はプレートが助けるという感覚ですが、

アディオスプロに使われているライトストライクプロは、逆に結構硬く、

さらにはドロップも10mmと高ドロップなシューズです。

実は私も一時期アディオスを履いていたのですが、足底腱膜ではないのですが、足の中足骨の骨底というところに痛みを出してしまい、アディオスとはアディオス(バイバイ)しました笑

練習量の過多ももちろんですが、その時の原因は明らかにアディオスプロだと思います。

人によって関節の硬さや周囲の軟部組織の伸長性は全く違います。

ただし、ここだけは絶対抑えておきたいポイントがあり、

ここさえクリアできれば比較的、厚底シューズを上手く使いこなせると考えるのでご紹介したいと思います。

〜ポイント〜


①足底腱膜の柔軟性

②母趾(足の親指)の背屈(反りかえ)の柔軟性

③下腿の柔軟性(特に長母趾屈筋)と柔軟性

以上の3つを考えています。


①のテストは、ウィンドラステストとも呼ばれ、整形外科領域でもよく使われるテストです。

床に足をぺったりくっつけて、親指を上に反り返します。

この時に土踏まずが自動的に上がってくれば合格です。


②と③はほぼセットのようなものです。

①のように親指を上へ反り返しつつ、今度は足関節を背屈(アキレス腱を伸ばす感じ)させます。

この動作で右より左が詰まる感じがしたり、足の裏やふくらはぎの下の方がつっぱってしまう感じがあると、②と③が危うくなります。

もし厚底シューズを履いて、急に足底腱膜炎や足部周りの筋肉に痛みが出た方は、ぜひためしてみてください。

次回は実際に、

ご自身でもある程度ケアができるように、

"厚底シューズを履きこなすためのセルフエクササイズ"

をご紹介していければと思います。




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