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熱と静寂 モロッコ一人旅

6/13
 空港への電車が30分近く遅れ、荷物預けの締め切り時間にぎり間に合わず飛行機を逃す。搭乗時間前には着いていたのに。便を変更するための窓口で40分近く待たされ、差額は116€。なぜかクレカが使えずありったけの現金をかき集めて支払った。幸いcafのお金がフランスの口座に入っていたので現金を引き出すことができた(300€)
 普通のサンドイッチが高いので何年振りかのマックで小さいタコス(2€)を食べ、そのあと自販機でワッフル1€。糖分が体に染み渡ってすごく美味しく感じた。そのまま夜を空港で過ごす

6/14
 朝5:30-荷物預け。27kgだったので慌ててリュックに本を詰め込んだら23.5kgになって追加料金回避。ようやく7:15発のカサブランカ行きに乗る。機内食のサンドイッチ(トマトとチーズ)とマドレーヌ、コーヒーで生き返る。現地時間9:30着
 スーツケースを無事回収。マラケシュ行きの夕方の電車を事前にオンラインで買ってしまっていたが、よく考えたら空港の周りに何もないから事前に買わないほうがよかった(そのまますぐcasa oasisに出て街を見られたかも)。でもスーツケースもあるしどっちもどっちか 空港の外に出たり入ったりする時いちいち荷物検査があるのでとても面倒 タクシーの客引きすごい
 50€を両替し490.76madに。約6500円
 とりあえず空港内のカフェでサンドイッチ(40dh)と水(15dh)  店員さんはアラビア語と仏語両方話していたけど聴こえてくる言語はアラビア語の方が多い
 orangeでsimカードを買う。カード代50dhとインターネット代?50dhで100した。でも街で完全に迷ったら命の危険ありそうだから仕方ない。お店の人はフランス語で案内してくれたけど他の会話はアラビア語だった
 16:50発の電車でマラケシュへ。フランス以上に話し声が大きく電話での話し方もエネルギッシュで車内がやかまし過ぎる。車窓が曇っているのもあるけど全体的にくすんでいて茶色い感じ。観光都市じゃないところは廃墟みたい。土や砂の山、ごみの散乱、馬や牛がポツポツといたり、だだっ広い大地に胡麻粒のような人影があったり。規模が違う

駅からホテルまでのタクシー15€(150mad) 現金で支払い。ホテルの人じゃなくてホテルが手配したタクシー運転手だったよう。車とバイクと歩行者が入り乱れていてセンターラインも何もなくてぐちゃぐちゃの道路。運転手さんは感じの良いフランス語も話せる人だった
 ホテル(ドミトリー)のオーナーはTシャツ短パンの若いお兄ちゃんで英語のみ。旧市街のおすすめポイントや重要情報を教えてくれた。その場で宿泊料と一泊2日の砂漠ツアー(70€)を予約。エッサウィラの1日ツアーもあったけど自分で行った方が安そうなのでやめておいた。
46.6€+70€=116€   130€払ってお釣りをディルハムでもらった。計算をメモしようとかばんを探したらwhat are you doing て言われてちょっと怖くなったけどちゃんとお釣り計算してるのは確認したし悪い人では無さそう。

 ホテルから歩いてすぐ巨大な広場(jamaa el fna)に出る。道が細かく入り組んでいてどこも似たようなお店が並んでいるのでどう頑張っても迷う。22時近く、まだまだ人多く夜市は音楽や屋台で大賑わい。客引きが凄すぎて言いなりになっていると一軒一軒足を止めてるだけで夜が明けそう。毎日16時から夜中までは広場が夜市になってタジンやブロシェット、ラム、お菓子、フルーツジュースが並ぶ。政府のルールでどのお店も皆同じ値段らしい。タジンは40-80dh、ソーセージや海老揚げたやつなどのつまみは30-50dh。デフォルトで丸いパンと唐辛子ソース、オリーブがついてくる。ミントティーは無料らしい。パンが美味しい。日本人と聞いて出してくるネタが古い(そんなの関係ねぇ)。一軒目でラマダンスープというひよこ豆とスパイスの熱々スープ、2軒目で野菜のタジンを食べた(お代わり2回ももって来てくれた)。大体英語でまず話しかけて来て、私がちょっとフランス語を話すとフランス語話せる人は反応して切り替えてくれたり。お店の友達同士の会話はアラビア語

 ホテルの屋上に洗濯物を干し、ストレッチをする。モスクの明かりが綺麗。部屋は2段ベットが4台。他にスペイン人?

極甘ミントティー
ラマダンスープ
tajin légumes

6/15 
 朝ごはん ホテルの人が準備してくれる。他の宿泊客は皆カップルで今朝同時に砂漠ツアーに出発。一人長めに滞在してるイタリア人のおじさんがいて、朝ごはんを一緒に食べた。パン2種類と油で揚げた四角いナン(ムスンメン)、カップケーキ、目玉焼き、キャラメルクリーム、コーヒー(ミントの香りがほんのり)。Amulouというピーナッツと油と砂糖でできたペーストがとても美味しい。高級なものはアーモンドやアルガンオイルを使っているそう。おじさんはスークで買ったという大きなボトルを持参していた。
 街に出るも8時くらいだとまだどこも開いておらず、昨夜のお祭り騒ぎが幻だったかのように静まり返っている。荷物運びのロバがたくさんいる。本当に辛いのかは分からないけどロバってなぜこんな悲しげな表情なんだろう。広場の前には観光客待ちの馬車がたくさん待機している。台湾を思い出すスパイスの香りと、それ以上にトイレの匂いがところどころ強烈。 

 mosquée de la koutoubia 中は入れないが庭があるというので行ったけどただの公園。そのあとスカーフや絨毯のお店でおじさんに捕まる。いろいろ危なかったけど緑の民族服をプレゼントしてくれたり手織りの機械を見せてくれたり。もう一つのお店でも割と危ない目に遭う。でもどちらもちゃんと断って店を出ようとすると何とか出られるし道も一応正しいのを教えてくれる。 
 旧コーランの学校medersa Ben Youssef へ。中庭が綺麗。至る所にあるモザイク模様と配色が美しい。 
 スークを見ながら(通るだけで一苦労だから全く商品をじっくり吟味できない)、30分くらい歩いてjaridin majorelleへ。イブサンローラン美術館と同じ敷地だけど入場料が庭だけでも高いので館内はやめて庭だけに。フランス人やその他ヨーロッパ系観光客多し。イブサンローラン通りには観光客向けのモダンで洗練された雑貨屋さんが並ぶ。またスークに戻って歩いていたらモロッコ式蒸し風呂(Hammam)を見つけたので入ってみる。マッサージなしのコース45分くらいで150dh。パンツ以外脱いで貴重品と洋服を預け、タオルを巻いて蒸し風呂の部屋へ。担当のおばちゃんがお世話してくれる。まずお湯で体をざっと洗い流したらオリーブの石鹸のような香りがする茶色いジェルで全身をこする。次に垢すりの手袋でかなり強くごしごしと全身をくまなく擦る。洗い流したらまた別のいい香りがする石鹸で洗って何度か垢すりし、髪もシャンプーしてくれた。最後にお湯で流したらタオルを巻いて別の普通の部屋へ。熱々ミントティーが美味しい。
 スークで見つけた、緑とグレーの裏表で控え目にペイズリー柄が施してあるシルクのスカーフを100dhで買う。1軒目は最初300と言われて帰ろうとしたら150になったが2軒目は最初に言われたのが150。白人観光客の近くにいると声をかけられにくく唯一商品が見られる方法。友達か家族か数人で団体行動しないとスークは見にくい。その後歩いていたらヘナを入れるおばさんに話しかけられ、断りながらも相槌を打っていたらあれよあれよという間に腕に描き入れられる。色々交渉したが結局300dh以下にはさせてくれず。ディルハムがないと言ってもユーロでいいからと言われる。
 別の両替所で20€両替。レート前回より良い。2リットルの水買う。路地の角にあって気になっていた、パンにじゃがいもとゆで卵とスパイス(クミンと何か)を突っ込んで潰したものを食べてみる。作る人はアラビア語しかできなくて隣のお店の人が来てくれたが英語もフランス語もいまいち通じない。なんとか説明と値段を聞いてから買うことに成功。市場がうるさくて疲れたので宿の屋上に避難。そこそこ静か。 
 ドイツから一人旅で来た学生のハナが同室に。マラケシュ4日、このあとカサブランカに行くそう。

6/16 
 7時にホテルを出発し砂漠ツアーへ。車の集合場所までバイクの後ろに載せて連れて行ってもらう。常に振り落とされそうで怖楽しい。フランス人夫婦(昼食後別れた)、スペイン人カップル、アイルランド人カップル、シンガポール人カップル、フランス人イタリア人のカップル、ロシア生まれで8年モロッコに住んでいる写真家、ボリビア人、エストニア人の計14人。ところどころパノラマスポットや水分補給でとまってくれる。地球を感じる大地のうねりと迫力のある地層。
 最初の目的地はkasbah ait benhaddou (ベルベル人のお城跡)、英仏西アラビア語が話せるガイドさんに付いて歩いた。城跡には電気も水道もなく、今はベルベル人5世帯だけが生活している。映画でもたくさん使われた場所で後から作ったフェイクの塔もあるらしい。スカーフをうまく巻いて頭の上に水を溜めて涼むという技を披露してくれた。本物の質の良いスカーフは水に濡れても色落ちしないらしい。水は10km先からロバで運ぶ。お茶と砂糖、サフランを溶いた黄土色の水とインディゴの石の青で描いていた絵が美しい。 
 昼食はレストラン。セットメニューだと120dh、タジンやケフタなど単品が90-95dh。水やオレンジジュースは10-20dh。鶏肉とズッキーニのブロシェットと米、レンズ豆や野菜のスパイス煮込みが美味しかった。同じような砂漠ツアー観光客しかいない。 

 夕方ザゴラに到着しテントまで40分ほどラクダに乗る。犬が先頭を歩き、ラクダ同士は綱で繋がれていて先頭のラクダの綱をベルベル人の案内人が引く。テントにベルベル人が何人かいて、緑茶に砂糖を加えたやつ(美味しい)を飲みながら同じグループでおしゃべり。夕食は大きなタジンに人参じゃがいもズッキーニトマトレモンオリーブレンズ豆が煮込んであるものといつもの美味しい丸いパン(名前忘れる)。デザートにスイカ。シンガポールの人はロンドンで医学とエンジニアを勉強している学生、フランス人とイタリア人カップルはバルセロナの同じ大学で勉強していてスペイン語で会話している。ロシア出身で夫がモロッコ人の人はフォトグラファー。
 夕食後は大地に絨毯を敷いて寝っ転がり、満点の星空を見ながら伝統音楽や踊りを楽しむ。電気は小さいソーラーパネルの力のみで、スマホの充電とライト2つほどに足りる分だけの発電量。灯りよりも月が明るくて感動。夜中は何かかけないと寒いくらいひんやりとしている。月と星があまりに綺麗で寝るのが勿体無いくらいなのであまり寝なかった。ここで見た星空は本当に一生忘れない。降ってきそうで吸い込まれそうだった。宇宙を感じるくらいの静寂。無音。自分の呼吸音だけが聞こえる

6/17 
 6:30過ぎ、日の出と共に朝ごはん。見渡す限りの砂と空とぽつぽつとテントがあるだけで、空がすごく近いのに遠い。コーヒーがシナモンの香りたっぷりで美味しい。いつものパンにバターやジャムを塗って食べた。

 ラクダに乗って出発。ラクダと別れた後車でユダヤ人とベルベル人が暮らしていた旧市街へ。世界遺産に登録されており泥と藁?の壁を4年に一度作り直すルールがあるそう。かつてはユダヤ人街に通じる扉に鍵がかけられていてベルベル人と居住を分けられていた。次の目的地はサハラの女性支援協会の事務所兼お店で、ミントティーを飲みながら絨毯(女性の手仕事)の技術や歴史をきく。商品は全て手作りで、値段の全額が支援協会に直接使われるという。買うかずっと迷っていた銀のティーポットをさんざん交渉して350dhで買った。最初1500dhと言われたけど頑張った。日本円で4600円くらい。材質は銀と亜鉛と何か?レモンで拭き取ると綺麗になるそう。
 お昼は近くのレストラン。salade(レンズ豆、人参、マカロニ、ビーツ、きゅうり、米、じゃがいも)、Coucous maison légume、デザートにフルーツ(メロンとスイカ)とシリア系お菓子。じりじり照り付ける太陽の熱さのおかげでビールがより旨い。シンガポールのふたりは4日間のツアーに合流するため私たちとはここでお別れ。帰りの休憩場所でレーズンと牛肉のタジンをごちそうになる。レーズンくたくたで美味しい。油量はすごい。他の人たち、お昼大体何かしら残すのに休憩所で止まるとしっかりアイスやコーラを買うあたり、全くケチじゃなくて素直に尊敬する。
 19時頃jamaa el fna広場で解散。あっという間の濃い3日間で別れが寂しい。両替だけして宿に戻り、洗濯とシャワー。宿が騒がしい 今日の帰りの車くらいからwifiないとスマホが使えなくなった。あと2日だからそのまま耐えたいけど予想以上に容量少なかったんだな

6/18  
 今日は港町のessaouiraに日帰りで行く。朝ごはん急いで食べるが(日によって7時に用意してくれないことがある)、予定していた7:45のバスには間に合わず。広場からマラケシュ鉄道駅までのバスは10分ほどで4dh。そこから10分ほど歩いてバス会社ctmのターミナルへ。supratour(80dh-100dh)よりctm(76dh)の方が安かったので8:30のバスに乗る。11:40頃到着。スマホが使えないのでかろうじて事前に見ておいた地図の記憶を頼りに海沿いのビーチを30分ほど歩き、スークがある中心地へ。かもめがたくさんいて、生臭い釣りたて魚市場では魚やウニや貝類がたくさん。大砲台の跡や展望塔が残っている。 
 ここのスーク、客引きはあるものマラケシュより弱いのとお店の人より観光客が多いのと道が広めで避けやすいのとで圧倒的に買い物がしやすい。いつものスタンド(手押し車になっている移動式屋台)には丸パンの他に魚やエビを揚げたものが並んでいた。木細工が有名らしく木細工の箱やお皿などのお店が多い。アルガンオイルのお店は思ったほどそこらじゅうにあるわけではなく、オイルやsavon noir 系の商品専門のお店と他のものと一緒に売っているお店がある。ちゃんと専門のお店で買いたい。お店の前でアーモンドを手動や自動でぐるぐる挽いていて横にはamlouがたくさんあってとにかく香ばしい良い匂い。店内に入ると大体女性がすぐ出てきて、手の甲に色々塗ったりこすったりしながらフランス語と英語でペラペラ流れるように説明してくれる。・品質保証マーク・色が透明・消費期限(どこも2-3年)・100%アルガンで香料や他の油不使用・遮光瓶を確認し、4軒くらい回って値切りを3件くらいして、結局2軒目のところに戻って買った。ここのパッケージが一番良かった(他のはダサめのシールを雑に貼ってあったりベトベトだったり欲しい量の瓶がなかったり)、のとお店の人も一番感じが良かった。他のお店も見てから考えたいと言ったらあっさりokしてくれたので、自分の商品の品質と値段に自信があるものと捉えた。他店では帰ろうとするとなんで?としつこかったり、遮光について聞くと食用じゃないから遮光瓶じゃなくていいんだと言ったり。買ったのは遮光瓶30mlとプラ透明30mlの2点で60dh。元々は遮光瓶が50dh、プラが30dhだったので80dh→60dhに値切ったことになる。そのあとタジン鍋をざっと全体的に見て値切り2軒目で10dhで購入。マラケシュでも最安10くらいだったので満足。一軒目は最初25と言われて15までしか下がらず帰ろうとしたらあっさり帰れたのでそのまま買わなかった。2軒目はもの静かなおじさんで一切催促してこず、じっくり選びやすかった。種類も他よりあったし塗りや欠けに関しても質が良かった。
 最後にずっと食べたかったシリアのお菓子をまとめてコンビニ的なお店で購入。自分で好きなものを選んで箱か袋に入れでグラムで値段が決まる。10種類くらい食べたいものを満足に選んで28dh。全部油がすごいけどオレンジフラワーのいい香りやごま油、アーモンド、ピーナッツの香りがよくてカリッとサクッとしたのもあって美味しい。何なく一気に食べてしまう。海辺でのんびり食べていたら水を売りたいおじさんと物乞いのおじさんが寄ってきて一個ちょうだいと言われたけど逃げた。美味しいので本当にあげたくなかった
 17時発の同じバスでマラケシュに20時着。30分ほど歩いて広場に戻り、屋台で搾りたてオレンジジュースを飲む。生き返る。ジュースの屋台が同じ広場に数十店はあって(しかも全部隣同士)、前を通るだけで声掛けがすさまじいので気合で適当なところを選んで買う。普通のトールグラスに並々で4dh、よりでかいカップ(約2倍量?)で10dh。4dhで十分満足な量。


6/19 
 朝ごはんが急に貧弱に(アムルー目玉焼きフルーツなし)。alsaバスの人に聞きながら12番バスに乗ってjardin de Menara へ。池の水が汚く、パンフレットにあるような綺麗な反射は見られない。歩いてショッピングモール(Menara mall)へ。カルフールの商品はフランスと大体同じ、蜂蜜の種類豊富、スパイスやオリーブの量り売り(ナッツ系思ったより安くない)、食パンやチョコレートはフランスよりかなり高い。水はスークより安い(2dh)。フルーツは同じくらい。 
 スークに戻る。なぜかいつもより声がかけられにくい。最初に吟味した控えめなお兄さんのバブーシュ屋で金色の皮地に白いビーズ刺繍のバブーシュを購入。180と言われて100まで割とあっさり値切れた。底と内側の皮はラクダ、外の金色の皮はイタリア製。作られたのはマラケシュ。昨日食べて気に入ったシリアお菓子がまた食べたくてスークのおじいさんの所で3種類買ったら15dhした。前回のはコンビニの工場製だったから質が違うのかもしれない。デーツは種類によって値段が全然違う(25~140dh/kg)。よく見る茶色で少し透き通っている90dh/kgを10dh分買った(8個)。 
 一旦宿で荷造りし、屋上でお菓子食べる。昨日の夜からドミトリーにいるおじさんと話していたら、アガディールに住んでいる不動産屋だそうでアガディール来たら連絡して!とwhatsupを交換することに。不動産案内も宿紹介も君だけ無料でやるよと言われる。
 部屋は毎日掃除担当の女性が来てそこそこちゃんと掃除してくれる。
 再びスークを散歩。帰る日に鉄道駅まで行くバスの4dhだけ残した状態でどうしようか迷っていたが、空港で食べるものを今街で買っておいた方が安いと気が付き日本円1000円だけ両替する。すると受付の人が一万円と間違えたのか10倍のディルハムをゲットしてしまった。何回も確認したけどやはり向こうが間違えたラッキーのよう。ありがたくいただき、予定になかったちゃんとしたレストランで旅の最後を締めくくることにする。

 その後スークを歩いていたら初めてがっつり迷った。途中「ガイドじゃないから安心して、お金取らないよ」と言いながら広場に通れて行ってくれるというお兄さんがいて用心しながらついて行ったら、彼のお兄さんがやっているという糸染め工房に連れていかれ、そこまではいいのだが案の定そのお兄さんが染色の説明が開始するや否や当の本人は姿を消した。ささっとお礼を言ってなんとか切り上げて広場に辿り着く。気になっていた道端で売っているダクワーズみたいなの焼き菓子を一個買う(1dh)。スークの入り組んだ狭間に時々礼拝所への入り口が現れ、ちょうど祈りの時間の後だと人がぞろぞろ出てくる。おじさんばかり(女性いない?)。 
 奮発して入るレストランをいくつか見て回り、広場に面したzeitounという所に決めた。値段ではなく雰囲気や写真で決めたのは初めてくらいで幸せ。家族や友達連れ観光客が多い。接客も内装もクオリティが高く、今までいたのが同じ国とは思えない違い。デザートの前に机拭いてくれるしいかがでしたかとか聞いてくれる。
・オリジナルサラダ小 65dh
・tajin aux poisson d’Agadir 120dh10分ほどで両方一気に出てきた。サラダボリューム良。ズッキーニ茄子パプリカオリーブの素揚げマリネと葉っぱ、丸パンに羊チーズを塗って胡桃を載せたもの。タジンあつあつ。効きすぎなくらいの強いスパイスで白身魚とじゃがいも、パプリカ、トマト、ここにもオリーブ(しょっぱい)。魚の中までしっかりスパイスが染み込んでいて柔らかくて美味しい。周りに粒々(芥子の実?)がついた美味しいパンが2つついてきた。食べ応え満点で迷ったがお店気に入ったしせっかくだからデザートも。
・yaourt maison et briouates aux amandes 50dh
グラスに入った自家製ヨーグルトの上にキャラメリゼしたアーモンドがトッピングされたのと、briouate3個(甘いサモサ、中はよくわからないけど美味しいオレンジ花の香りほんのり)。さすがちゃんとしたレストランだった。

 また少しスークを歩いたがやっぱり客引きを避けるのに意識を使うせいであまり見られないし、これ以上道に迷っても困るので早めに帰る。風があってそこそこ静かで気持ちが良いので屋上へ。時々聞こえる爆音ラジオ的な音質の悪いアザーン、なぜかノスタルジックな気分にさせられる。宿の人(名前覚えられない)と少し話す。夕食を食べたか聞いたらお昼ごはんの時間だと笑われた(19時頃)。1日の流れはざっと7時前に起きて朝ごはんが10時、午後昼寝を2-3時間して何か食べ、夕食は夜中で寝るのは2-3時だそう。この宿は20年くらい前に始めた。同い年か少し上程度だと思っていたから驚いた(40歳にはとても見えないから言い間違えてる可能性すらある)。ヨーロッパ系の観光客は見た目でどの国出身か見分けがつくらしい。アジアの観光客は日本中国韓国よりもインドあたりの方が多いそう。 
 部屋に1999-2000年(自分が生まれた年なのでぐっと来た)の、バックパッカー向け仏語ガイドブックがあったので読んでみると面白い。当然フランだし、特にワインの説明がジョークだらけのセンスのある説明。プールから帰ってきたアガディール不動産おじさんにオレンジ炭酸飲料をもらう。




6/20 
 不動産おじさんは寝ずに何処か遊びに行っていたらしい。朝ごはんを一緒に食べながら話す。なんとなくフランス語が通じにくい&聞きにくい。両親がフランス人とイタリア人でアラビア語はペラペラではないそう。ベルベル語はアラビア語と全く違って、ベルベル人でない人で話せる人は稀。現在ベルベル人の多くは山に住んでいるが仕事のためにフランス語を勉強してマラケシュで生活している人もたくさんいるらしい。 
 9時ごろスークを歩くもまだ閉まっているお店が多く、一日の中で唯一静かな時間帯。広場のジュース屋台とミントティーの葉っぱ屋さんは開いてる。昨日のレストランでデザートに使われていた金の小皿が気に入ったので似たようなものを探し、3枚で150→90に値切って購入。手作りでステンレスではないことを確認、模様が一枚一枚違って美しい。お店の人は静かなおじさんで落ち着いて選べた。 
 宿の朝食ではすっかり登場しなくなったピーナッツクリームAmulouを最後に食べたくてアムルー付きのパンを買うため台車を端からアタックするが、アムルー無いと言われたり2dh追加だと言われたりで結局巡り合えなかった。台車で売っている丸パンは普通サイズ(手のひら)が1dh、小が0.5dh。台車によってはヌテラやチーズやペットボトルに入ったAmlouがあるが運が良くないと無い。

 荷物をまとめて宿を出てあとはバスで駅に向かうだけという時、ここで最大のやらかしに気が付く。ぎりぎりまでバスの分の5dhちょうどを残しておいたのに、最後の最後屋台でナッツを買う時に5dhのつもりが間違えて10dh使ってしまい、所持金が1dhになっていた。キャスターが1個壊れた30㎏近いスーツケースで砂利と石畳とボコボコの道なき道を引き返すのがかなりきつかったが宿に戻る。運ぼうか?と声かけてくれた客引きの人がいたが、新たなトラブルが怖くて断る。幸い宿の人に1€を5dhと交換してもらえたので、なんとかバスに乗って駅に到着。宿から広場に戻る時、スペインかどこかのツアーガイドらしき女性がスーツケースを一緒に持ってくれてとても助かった。空港までの電車はなぜか行きの2倍以上した(196dh)。11:50発。
 casa oasisまでの電車は指定席でTERと同じ8人席個室が並んだ車両。行きの蒸し風呂車内とは違って涼しい。何駅か停まる。割と混んでいる。めちゃくちゃ重い私のスーツケースを同室のおじさんが上の棚に載せてくれて降りる時も降ろしてくれた。14:20到着し50分ほど待つ。ホームでデーツとナッツを食べる。ナッツ胡麻たっぷりカリカリで美味しい。駅員さんもチケットコントロールの人も感じが良い。空港までの電車は自由席、とても空いていた。
 無事到着しすぐにチェックインと荷物預け。案の定27kgだったスーツケース、リュックに本を詰め込み24kgにする。最後日本に帰るときはドライヤーを置いていけば何とかなるか。パッキングが得意すぎて物理的余裕はあるのに重さだけがオーバーする。手荷物検査が面倒で、靴は脱がされるしリュックも止められてバブーシュや本を包んだ新聞紙をびりびりに開けられた。ビザチェックで少し引っかかったがスタンプもらって無事通過。余った1dhは募金箱に入れる。 
 air france機内食はサンドイッチ(胡麻付きコッペパンに茄子とパプリカの素揚げ、バター)、マドレーヌとコーヒー。隣の人が何故かサンドイッチを二つもらった上、ハイネケン缶とコーヒーを堪能していた。着陸直前、窓からエッフェル塔が見えてちょっと感動。仏時間22:55に到着。

はじめてのアフリカ大陸 今までに感じたことのない類の熱と、地の果てのような砂漠の静寂をいつまでも忘れない。

2022.06.21 完

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