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WWOOF 3 chez Michel

15240 Vebret, Cantal, Auvergne-Rhône-Alpes

*常に日記は書き続けていたが、この農家ではあまり良い思い出が無いのでnoteに残すか迷った。ただ無駄な経験ではなかったと思うので記録として書いておくことにする。
※ほとんど愚痴


7/15
  新しくて綺麗なバスで最寄りの駅Bort les orgues へ。23:20に着いてすぐ、車から降りてきた若い人がいたので名前を言ったらそうそうという感じですぐ乗せてくれた。が車中には他に若い人が2人いてMichelらしきおじさんがいないので戸惑う。私について何も聞かれないし質問しない限り自己紹介されないので誰だかあまりわからず。全然関係ない人たちで変な所に連れて行かれたらどうしようと不安がよぎるが、うち1人がMichelの息子さんだということだけ把握したのでそのまま乗り続けた。
 石窯のついた小さい小屋に到着。お腹の出たおじさんたちが猟で獲った雌鹿のジビエとラザニア、パンとチーズ(saler)、ロゼを楽しみながらおしゃべりしている所に放り込まれる。お腹の出たおじさんの1人がMichelだった。お母さんはどこにいるのか分からない(質問してない)が、迎えにきてくれた車にいた息子さん、石窯のところにいた高校生くらいの姉妹2人の計3人の子供がいる。何回か来ているウーファーのMargaux も今週末だけ来ているらしい。夜中だったがラザニアとチーズをいただいた。油の量がすごいけど野菜くたくたで美味しい。やはり堂々の飲酒運転で0時過ぎに家に着く。中型犬が4匹。家にも小さい石窯がある。

7/16 
 朝の搾乳は5:45に出発するそうだけど今日は休んでて良いよと言われる。目覚ましをかけ忘れて起きたら9:30だった。コーヒーとバゲットを食べ、車でRiom es Montagnesという街のマルシェへ。カフェでビールやらやジュースを各自飲んで涼み、メロンとチーズを豪快に買って帰る。メロンビールチーズパン、犬一匹(一番エネルギーがあるかららしい)を車に積んで山の上へお昼を食べにドライブ。絶景が望める木陰で食べる甘いメロン、ビール、パンとチーズ、自家製パテが美味しい。食後ぐるっと山周りを散歩。馬や羊や牛がところどころいて、農家や普通の家がぽつんぽつんとある静かな田舎街。石の家作りが素敵。 
 夕方家に着いて少し休憩し、17時から搾乳へ。家から100mくらいの所に12頭の牛と一頭の豚(自分やご近所さんで食べる用)と卵のための鶏がいる。小さいトラクターに2人で乗って(落ちそうでかなり怖い)牛を牛舎に追い込み、搾乳したらまた放す。豚には古いパンに水と牛乳をぶっかけてふやかしたものをあげる。空腹を訴える鳴き声が凄まじくて何とも言えない辛い気持ちになった。買ったばかりの私の帽子が牛の尻尾にはたき落とされて牛糞にダイブイン。すぐ洗い流して帰った後手洗いしたらシミは無くなって良かった。搾乳は拭く、機械装着、保護の薬塗るの順で12頭なのですぐに終わる。搾乳の時間も短いな気がする。牛自体も北海道で搾乳したホルスタインより若干小さめで乳房はもっと小さい。牛乳をたくさん出すように品種改良されてないからか?牛はジャージー(白/白に茶ぶち)とホルスタインの2種。一頭ずつ名前がついている。abricot, lunettes….牛乳は3日に一度業者が買いに来て、その他パン屋さんに直接配達もしているそう。両親もここで酪農家をしていた。 
 18:30頃家に戻ってシャワーを浴び、皆でまた街に出る。ワインやビールがたくさん置いてあるビストロでアペリティフ(白ビール、あぶりこジュース、生ハム各種とパン)。21時頃の家に戻ってごはん開始。昨日の石窯で作ったラザニアとビストロで買った赤ワイン、バゲットとチーズ。ラザニアをめちゃくちゃ食べてしまった。夕焼けが綺麗。


7/17 
 朝搾乳に行くつもりで目覚ましもかけたのに、最初に犬の鳴き声で起きたのが7時過ぎ、すぐまた寝て次にドアのノック音で起きたのが9時。それでも泥のように眠いし全身が疲れている。コーヒーを飲んで丘の上のチャペルまでハイキング。ちょっとした山道で道々に牛や馬、古いままの家などがあって面白い。チャペルからの見晴らしは最高。
 一旦戻って鹿のジビエを近所に住むいとことそのお友達たちの家にお裾分けしに行き(ロゼやらリキュールやらごちそうになっておしゃべり)、帰って皆でメロンとジビエ、パンでお昼。じゃがいもと玉ねぎにしっかり味が染みてて柔らかくて美味しい。日本と違って涼しいし湿気がないからか、チーズと赤ワインは一切冷蔵庫にいれていない。
 午後は搾乳までのんびり。娘ちゃんたちは今週の金曜からお母さんの家に行くそう(車で20分くらい)。上のお兄ちゃんとは異母兄弟?今の家を建てている時の写真を見せてもらった。夕食は今年1月頃に獲ったという豚のハムとジビエ。犬とちょっとあそんで寝る。


7/18 
 朝6時頃搾乳へ。歩いて牛を牛舎に入れる(割とすんなり)。一頭あたり一回の搾乳で取れる乳量は10-15ℓ、季節や食べる量によって変わるそう。鶏には朝だけご飯与える(小麦と古いパンふやかしたやつ)。午前はトラクターで草刈り。後ろに乗せてもらったら土埃で全身真っ茶色になった。
 お昼はパスタに瓶のボロネーゼ直ぶっかけとジビエの残り、生ハムにパテにチーズという肉食ぶり。野菜は食卓だけでなく台所のどこにも見当たらない。午後、朝刈った草を別のトラクター(ぐるぐる草を回して整える)で乾燥させる。明日さらに別のトラクターで干草ロールを作る。

 私の仏語レベルに問題があるのはもちろんだが、今までの受け入れ先の人たちに比べて会話のキャッチボールがうまくいかない。私が何か質問してもあまり膨らまずすぐ会話が終わる。姉妹ちゃんも優しいんだけど年頃と緊張(私も)からかすごく話しにくい。牛や農家の話もあまり膨らまない。酪農の仕事や動物への熱意はあまり感じられない。悪い人ではないけど でも、例えば日本の田舎のおじさんがいきなり来た外国人を迎え入れる状況を想像したらまあこんな感じだろうなとも思う。でもwwoofってこういう交流だとわかっていて受け入れているはずなのになあ。wwoofサイトの相互評価方法も少し改善した方が良い気がする。全員に見られる仕様でしかコメントできなくて滞在先の全体評価は顔文字の三段階のみ。Airbnbまでは行かなくても、回答者と運営だけが見られる設定で人柄・衛生・食・活動内容くらいの評価基準が欲しい。
 ドラマを観ながら夕食。白いんげんとゆで卵と玉ねぎに大量のオリーブオイルとバルサミコかけたやつ、パテ、ツナ缶、チーズ。20時過ぎでも日差しが強く暑い。今日の日中は38度だったがこれが夏の暑さ最高レベルくらいだそう。朝は涼しい。


7/19 
 搾乳の後そのままパン屋さんに牛乳配達に向かう。豚の餌用の古いパンが入った大袋をもらい、人間用のバゲット4本を買う。pain au chocolatを買ってくれた。帰り道々で友達に会っては話をし、9時前に家に着。
午前はトラクターで干草をまとめた。お昼は肉と玉ねぎとパスタの残りを炒めた油ぽいやつ。野菜果物は常になし。午後はお義兄さんと干草ロールをトラクターで回収。全部で10ロール、年に一度の作業なのでちょうど居合わせることができてラッキーだった。お義兄さんはチーズ(saleur, cantal)を作って業者に売っていたそう(今は退職)。夕方お姉ちゃんが甘いパンケーキ的なお菓子を焼いてくれた。
 夕食:昼の肉パスタに牛乳が加わって更に動物臭くなっていた。数ヶ月自家製熟成のチーズは割と美味しい


7/20 
 朝目覚ましで起きるも行きたくなさすぎて二度寝したら9時近くに起きた。雨が降りそう。ちょっと散歩して帰ってきたら鼻血が止まらない(7月頃からアレルギーと鼻血がひどい)。Michelとmalorieは野生の豚が出たという駐車場に向かって、帰りに買い物してきた。お昼はお肉屋さんで買ってきてくれたタブレと鶏肉のバスク煮込み(トマトとインゲン)。久しぶりの野菜が美味しい。午後は買い物(私のとドッグフード)。帰りにMichelがリノベーションを手伝っている別荘に寄った。
 搾乳の後、放牧地の傍らにある小さい畑でじゃがいもを収穫。じゃがいもだけ育ててるそう。夕食はそのじゃがいもとベーコンの味が完全に掻き消されるくらい大量の油で炒めたもの、トマトごろんと丸ごと。バゲットの端は硬いから豚用(生ごみ)だといっていてさすがに理解ができない。

7/21 
 搾乳後今日もパン屋さんに配達。クロワッサンを買ってもらう。Michelはすぐに豚屠畜へ。ナイフらしい。
 お昼はトマト、ツナ缶、パン(昨日の話があったからか、もう豚いないからとバゲットの端をくれた)、バスク煮込みソースの残り、パスタ、自家製チーズ。Michelにとってパンはソースや皿の残りかすを拭き取るための道具でしかないのか、拭き取ってそのまま生ごみにしてる(食べない)のが衝撃すぎる。パン自体の質も良くはないが、それ以上に食べ物に対する感謝や美味しさへの興味配慮が皆無。こういう人と食生活を共にするのはかなりのストレスで精神がすり減る。
 夕食はトマト、自家製豚ハム、白いんげんとエシャロットと玉ねぎにバルサミコとオリーブオイル大量ぶっかけ、昼の残りパスタに瓶のボロネーゼソース混ぜたもの。やっぱり食べ方や動作が雑で汚い。食後まだ西日が強く暑いが少し散歩。

7/22 
 午前は90kgの豚の解体。ハム用の腿、リブ、バーベキュー用のスライス(肋骨内側)、機械でミンチにしてパテ用の挽肉をつくる(切れ端や腎臓肝臓心臓)。大鍋で頭を煮詰める。パテは8kgの肉と100gの塩、胡椒10g、卵10個。 お昼はピクルスとトマトとパン、豚filet mignon ステーキとほうれん草と玉ねぎのクレームフレッシュ炒め(缶のほうれん草煮の変な苦味に動物の臭みが加わって×)。午後姉妹がお母さんの家に出発、私たちはお友達のJackyのお家に呼ばれる。2年前にミシェルと建てたという大豪邸。庭と駐車場がだだっ広く、奥さんがトマトやきゅうりやズッキーニやジャガイモやハーブ各種を育てている。トマトズッキーニ玉ねぎをいただく。外のパラソル席でコーヒーとクッキーをつまみながら車や物価の話をする。話しやすくて品があって久しぶりにフランス語で話すのを楽しめたし居心地が良かった。 
 夕方からお隣さんがアペロによんでくれた。普段はパリのベルサイユに住んでいるお母さんとその息子さん家族(夫婦と小さい子2人、犬の親子2匹)の別荘で、20年前に買ってMichelとお母さんがリフォームしたそう。プジョー2台持ち(日本ではプジョーは高級車だという話の受けが良い)。ロゼ、ジャガイモパセリエシャロットのマリネ、鶏もも肉やソーセージの炭火焼き、チーズ(saleur, saint necteur)、アイス。
 皆声が大きくてものすごい勢いで喋り続けるので、遮られても無視して喋り続ける力が嫌でもつく。他の滞在先でもそうだが、まだまだアジア諸国の区別がついていないことを思い知る。犬猫を食べるのかとか監視カメラだらけなのかとか。お母さんはベルサイユで医師助手的な仕事(看護師より資格がいらない、患者さんのお世話)をしていて月曜日には仕事に戻るそう。日本とフランスの車、コロナ、食文化、ヴィーガンベジタリアン、平均年収、少子化、英語能力などの話をする。ベジタリアンはいいけどヴィーガンはちょっと受け入れられない、という感じの考えで、極端なヴィーガン(酪農畜産漁業者をはなから嫌う一部の偏ったヴィーガン)を想定しているようで、日本よりずっとベジタリアンやヴィーガンが普及して社会的にも受け入れられているはずのフランス(やヨーロッパ諸国)ではちょっと意外な反応だった。私が普段そんなに肉食べないなどとても言える雰囲気じゃない。酪農畜産が盛んな地方であること、考えが偏りがちな田舎であること(これも失礼か)、ミシェルが酪農従事者であること、猟する人が多いことなども関係しているかも。私を日本人とわかった上で(だからこそでもある)「中国人は好きじゃない)」と言われてどうしようかと思った。曖昧な反応してやり過ごすことしかできなかった。こういう時どうすればいいんだろう、あと数日で立ち去る身だからこその難しさもある。


7/23 
 搾乳の後いつものパン屋さんへ。土曜午前は市場の日で、市場あるあるのダサい洋服屋さんと蚤の市があった。パンオショコラやクロワッサンはまだ焼けていなかったので、余った甘いアーモンド付いたクロワッサンとchausson au pommeを5-6個くれた。ちょうど焼きたてバゲットを買う。いい匂い。
 屋内食品市場で、小麦から栽培して粉挽いて窯で焼いてるパン屋さんで大きなパンドカンパーニュを買う(硬い皮嫌いなのにどうするんだろう)。大型動物製品店(ペットや家畜の餌、酪農製品、庭仕事用品など)で新しいリードと牛用の薬を買う。お店の人と長々おしゃべり。そのあと立ち寄った友達との会話でも、常に私にとっては同じ世間話を繰り返し話している。鹿ジビエを振る舞った話(鹿の重さ、ジャガイモうん10キロ、誰々がいた、いくら分だった云々、上品とは言えない話題チョイス) やっと10時過ぎに家に戻りパテやリエットを作る。運動量が足りないので散歩する。朝遅く油っぽいパンを食べたのでお昼はトマトと玉ねぎと朝買ったパンドカンパーニュのかけら。
 今日は別のご近所さん家でアペロに呼ばれる。他の人の家に行くと野菜にありつけるので有難い。家庭菜園のトマトとブロッコリーを丸齧り久しぶりの野菜の美味しさに感動する。パテやバジルペーストやフムスを手作りパンに塗ったもの、サラミ、オリーブ、ボルドー白辛口、ベルギービール、手作りクッキー。フランスで2度目、6歳くらいの子供にだけど目尻を指で伸ばすジェスチャーをされてショック。今時どこで教わるのだろう。全員そうとは限らない、顔のパーツの形は全部人によって違うよとだけ辛うじて言った。私がくっきり二重でも同じことをされるんだろうか、純粋に気になる。お父さんは中国に6ヶ月くらい留学してたことがあるそうで、その子が「中国と日本てめちゃ似てると思う」と言ったら両親とも「全然違うよ、そう思うのはあなたが知らないからよ」とすぐ否定していた。あとこれはお年寄りに多い傾向だが、未だに日本は天皇が国のトップで牛耳っていると思っている人がいる。他にもよく聞かれるのはカプセルホテルについて。めっちゃ狭い寝るだけのスペースしかない箱みたいなホテルあるんでしょ? ほかにも残業、有給休暇取る人少ない、従順な国民性、お店の入るとBienvenu!って言うんでしょなどなど。ある日本人youtuber(女性)の喋り方が声高くてかわいらしすぎる感じで可笑しかったという話もあって、それは同意。今は変わってきてるけど、昔は女性は男性に対して従順で可愛らしくて弱くあるべきだと考えられてた文化が影響してるかも〜と言っておいた。

朝焼けが毎日美しい


7/24 
 Françoise(牛)がいつも右後脚を庇って歩きにくそう(変な歩き方をしている)だし、牛舎に入れるときもなかなか立ち上がらなかったり坂道で滑ったりしてるので、獣医さんに診てもらわなくていいの?と何回か聞くがまたク゚聞き耳を持ってくれない。日頃の色々な雑さを見ていると、ただ面倒くさがっているんじゃないかと思ってしまい牛が心配だ。ただぽっと出の私が口出すことではないし知識もないしと思ってあまり主張もできない。Michelは蹄に問題があると言うが、関節や他の可能性もあるし診てもらった方がいいと思うんだけど、、搾乳の時の立ち方も他の牛に比べてX脚だし他の足に負荷かかってるから時々滑っている。 
 お昼はお兄さんの家でバーベキューと思いきや肉だけ外で焼いて雨戸を閉めきった室内で食べる。トマトと茹で卵とパセリのマリネ以外野菜はない。トマト普通に美味しいが、硬いだの熟れてないだの文句たらたら。ジャガイモグリーンピースにんじんの煮込み(バターとオリーブだくだく)、チーズ3種、デザートに焼き菓子(牛乳卵バター混ぜて焼いた重い感じ)、コーヒー。12時から16時まで、休みなく常に喧嘩してるくらいの声量と剣幕で全員が同時に喋るのでとても疲れる。ご近所さんでのアペロは若い人もいたし家族間じゃないからかもう少しマナーが守られていて話を楽しめたが、ここはそうはいかない。話題も常に”近所の誰々が〜誰さん家の〇〇ちゃんが〜”と人のうわさ話ばかり。


7/25 
 こんな感じで相性の悪いところだったので、予定の出発日より早めて別の農家に行くことにした。今日は最後の日。
小さな駅で二両編成の列車に乗り、次の農家に向かう。



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