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バルト旅 ―ラトヴィア②

2月21日

 ラトヴィア2日目。旅で一番と言っても過言ではないほど楽しみにしている、ホテルの朝食を食べに食堂へ。もちろんオープン時間に一番乗り。

フランスに行った時のホテルでも同様に不思議だったのだが、他の宿泊客で朝食を楽しみそうにしている人があまりいない。それで足りるの?というくらい、コーヒー一杯にパンとオレンジひとつをぱぱっと食べてさっさと帰るような人が多い。ホテルの朝食を、旅という非日常を楽しむ重要な場のひとつと考えるこちらからすると、随分あっさりと小慣れた感じでむしろ憧れるのだが、真似はできない。普段から同じような朝ごはんだから特別感がないのかとも思ったが、自分が日本国内の旅行で旅館に泊まる場合を考えてみると、やはり朝食は楽しみだし存分に食べたい。食堂が開く時間を確認し、余裕をもって出陣できるように支度するのは当然のこと。こうなると、単に私が欲張りであるということになりそうだ。

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先に述べたフランスの旅というのは数年前のことで、ドイツとの国境にあるストラスブールという絶妙な規模感と雰囲気の街を訪れたのだが、そのホテルの朝食との共通点はヨーグルトがフレッシュで美味しいことと焼き菓子がたくさんあること、違う点はラトヴィアの方は魚料理が色々あることだった。ヨーロッパのホテルの朝食は概してチーズとハム・サラミが何種類もあって一切れのサイズも大きいというのが嬉しい特徴なのだが(概してと言えるほど旅したわけではない)、ここはさらに魚が豊富でどれも美味しい。バルト海で獲れた新鮮な魚だろうかと想像をめぐらす。

軽く火を通したところに味付けは塩胡椒とオリーブオイル、レモンと香草をちょんと添えてあるという潔さで、どれもクセがなく美味しい。すぐ横にはグリーンオリーブや、玉ねぎをビーツとヨーグルトのソースでマリネしたようなつまみまで置いてある始末で、朝から白ワインを飲めと言われているようなものだ。

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 次なる楽しみは朝の市場。特にここリガの中央市場は東ヨーロッパ最大級の規模で、なんでも1998年に世界遺産に登録されたという有名な市場なのである。現在市場として使われているのは、第一次世界大戦中ラトヴィア領内にあったドイツのツェッペリン飛行船の格納庫を移築した建物で、市場の歴史は1930年から続くという。

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外国の市場は、野菜や果物一つをとっても大きさや色や形が日本で見るものと違って面白い。下の写真は、バルト三国の特産である蜂蜜や蜜蝋のろうそく。日本で一般的な透明の蜂蜜よりも白濁したものや茶色が濃いものが多い。

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リガ中央市場は飛行船の格納庫だっただけにかなりの大きさで、写真以外にも肉や魚、食器、洋服、酒(ウォッカやブランデー中心)、ガラクタ(にしか見えないもの)などありとあらゆるものが並んでいた。

ひと通り見た後、旧市街を散策。この日の午後何をしたかあまり記憶がないのだが、多分何もしていないのだろう。気になるお店にふらっと入って、時々カフェで休んで、買い物をして、また歩いて、そうこうするうちに腹時計が夕食の時間を告げる。

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ブレーメンの音楽隊のモデルとされるのはドイツにもあるらしいが、これはその一つ。可愛げのないリアルな表情をしたクラシックな動物たちがまた良い。

バルト三国が美食の地であることはリトアニア編で既に語ったが、ここラトヴィアで食べるものも例外なくすべて美味しく、その確信を新たにする。東欧だからってじゃがいもとビーツとサワークリームばかりつついているわけではないのだ。確かにこの辺りの料理でこの三つを目にしないことはないのだが、調理方法や味付けが意外と洗練されていて(失礼)、複雑な味わい深さがある。そのテイストがまた何というか日本人好みなのだ。

もう一つ良いのは、まだ完全な観光地と呼べるほどには賑わっていないため、大抵の場所が空いていて居心地が良いことだ。

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柑橘系のホットワイン2種。スパイスが良い仕事をしていて身体が温まる。パンと小さな焼き菓子が可愛らしく、味はもちろん美味しい。

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すこし癖のあるチーズの香りが、ソースのコクと香ばしいナッツと絶妙にマッチ(よくある言い回しだが本当に絶妙にマッチしているのだから仕方がない)。

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じゃがいもとチーズ。詳細は忘れたが美味しい。

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冬の夜は早い。美味しい料理で温まった身体で旧市街をもうひと歩きする。写真はラトヴィアの老舗チョコレートメーカーLaimaの時計塔が建つ広場。


明日の朝、北隣にあるエストニアに向かう。


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