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血のつながり、という幻想。

養父や内縁の夫の悲惨な虐待事件を知ると憤りを感じる一方で、そこに行き着いた背景を知りたくなる。

真愛ちゃんに対する虐待の様子が携帯電話で撮影されていたことが岡山県警への取材で判明した。長い時には未明まで約6時間にわたり、鍋の中に立たされ続けていた。  両容疑者は2021年9月10~23日、真愛ちゃんを空の両手鍋の中に長時間立たせたり、裸で扇風機の風を当て続けたりした疑いが持たれている。真愛ちゃんは同25日、病院に搬送されたが脳死状態となり、22年1月に死亡した。

https://news.yahoo.co.jp/articles/cb2d6bb97916fb723fb32b78541a84a7b260d9d6


虐待の背景には、虐待ひとつひとつに、貧困、疾患、周囲からの孤立、加害者の生い立ち、福祉が届かない等、複合的な要因が絡みあっている。

背景を調べて報道してくれないと、養父や内縁の夫へのステレオタイプが社会にひろまってしまう。血のつながりがないから、こんな悲惨な事件がおきてるとミスリードされがち。

2019年におきた野田市小4女児虐待事件では実の父親が加害者ではあるが、7年間父子の交流がなかった。このことは報道が加熱していた当時、詳細に報道されていなかった。
子供にとっては突然見知らぬおじさんが父親として現れたケースである。
血がつながっているといっても現実的には他人同然であり、親子関係を構築することは簡単ではなかったのである。
 
虐待に限らず悲惨な事件の加害者の背景を知ることは、現代社会を知ることにつながる。

以下、時に世間を騒がす人権派弁護士 安田 好弘さんの 〜「生きる」という権利―麻原彰晃主任弁護人の手記〜 の前書き。

いろいろな事件の裁判にかかわって、はっきりと感じることがある。なんらかの形で犯罪に遭遇してしまい、結果として事件の加害者や被害者になるのは、たいていが「弱い人」たちなのである。私は、これまでの弁護士経験の中でそうした「弱い人」たちをたくさんみてきたし、そうした人たちの弁護を請けてきた。それは、私が無条件に「弱い人」たちに共感を覚えるからだ。要するに、肩入れせずにはいられないのだ。

「生きる」という権利―麻原彰晃主任弁護人の手記



この本を読むと誰しもが、悲惨な事件の加害者に転げ落ちる可能性があることがよくわかる。

繰り返すが、養父や内縁の夫へのステレオタイプ、血のつながりがないからこんな悲惨な事件がおきてるというミスリードが広がる社会は変えるべきである。

我々、ステップファミリー当事者が社会へ声をあげていく必要もある。

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