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暮らしってグルーブだった

 2ヶ月前からパーソナルトレーニングに通いはじめた。きっかけは友人の紹介。友人はテレワーク続きの生活で少し体調を崩したことからトレーニングをはじめ、同じくテレワークのぼくにトレーナーさんを紹介してくれた。

 社会人になってから何度かトレーニングジムに通ったことがある。その時はいくつかの本を読み、回数、フォーム、栄養などを自分なりに考えてトレーニングを続け、結果的に目標体重まで痩せた。しかし、また数年経つとストレスで食べる量が増え、トレーニング前より太る。そんなことを繰り返し、何度か大きく体調を崩すことがあった。

 それから更に数年が経ち、テレワークのご時世がやってきた。

 「外には出れんし、家でできるケアでもするか」と思い、自宅でストレッチや軽い運動、自炊の頻度を増やした。当たり前だが、適度の運動と過剰ではない食事をしていれば自然に体重は減る。もちろん名前の通り白米は大好きだから炭水化物を抜くことはしなかったが、それまでの夜中までお酒を飲んで、カップ麺を食べるような食事と比べれば格段に健康な食生活だ。同時に身体の不調も少しずつ減っていった。それから2年が経ち、ここ数ヶ月は停滞が続き、そろそろ筋トレするかなーと思っていたところに友人からトレーニングの話がやってきた。

 結果として今、過去最高に筋トレにハマっている。

 話は変わるが、トレーニングをスタートして1ヶ月ほど経った頃に3年ぶりにライブに行った。はじめて見るアーティストだったが、最高に踊って、騒いで、ライブに酔うってこんな感じだったなーと、学生時代のバンド活動や、ライブ通いをしていた頃の感覚を思い出した。

 その帰り道、筋トレと音楽は似ているなーと思った。

 筋トレは緊張と緩和。筋肉を正しいカタチで収縮させ、呼吸とともに負荷をかけ、開放するということを繰り返す。それは身体全体でどこの関節や筋肉が動いているのかということを自覚し、コントロールすることで、効果が最大化する。

 楽器の演奏にも緊張と緩和がある。正しいフォーム、呼吸(弦楽器打楽器にも呼吸はある)、筋肉の収縮によって、楽器をコントロールし、演奏に緊張と緩和を生み出し表現する。そしてこの表現が連なることで、音楽が出来上がる。

 さらに、音楽にはグルーブという概念がある。”高揚感”と表現されることが多い。ぼく個人としては「高揚の連鎖で生まれた一体感」とよく説明している。

 ドラムが鳴る、その上にベースライン、さらにピアノやギターの和音(コード)が乗る、そしてボーカルが重なり曲が高揚する。それを聞いた観客が高揚する。観客の高揚とともに会場の温度、香り、声、空気が高揚する。そこに照明や演出が合わさり演奏者は会場の変化を五感で感じ、また演奏が高揚していく、それを聞いた観客が更に高揚していく。

 重りのついたバーベルを持つ。手の角度を調整し筋肉が収縮する位置に固定する。一度持ち上げ、もう一度フォームを作る。各関節を稼働させ、呼吸を止め、筋肉に負荷をかける。一番負荷のかかる角度まで稼働させたら、ゆっくりと元のフォームに戻す。

 どちらも僕にとってはグルーブだった。

 グルーブに大事なものを考えると、基本のフォームと聞くことだと思う。カタチを知らないで演奏や歌を歌えば、体を壊すし、音も良くならない。それが筋トレであれば怪我をする。それは周りの音や身体の反応を聞くことで気づくことができる。

 それから、自分の暮らしの見え方が変わった。至るところにグルーブはある。食事も、仕事も、人間関係も、コミュニケーションにも「高揚の連鎖」が生まれれば一体感が出る。違いは変数だ。この変数が増えれば増えるほどやっかいだが、基本の考え方はどれも似ているなと考えるようになった。

 筋トレをしてよかったことは、健康になることだけじゃなかった。暮らしの見え方と、何かとグルーブは活かせるんだー。と気づくだけで少し暮らしが楽になった。

 最初に決めたトレーニング期間は3ヶ月。現時点で体調は良くなってるし、トレーニングはおもしろいし、トレーナーさんともごはん行ったり楽しいし、あと1ヶ月でトレーニングは終わるが、何らかの形でトレーニングとぼくの関係性は続いて健康が続くといいなと思う。

 そう考えると健康であるということは暮らしをグルーブさせるための基本のフォームなのかも知れない。

 グルーブっておもしろい。

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