見出し画像

「FC Basara Mainz インターン生 山極智季さん」インタビュー記事 インタビュー日2019年10月25日

こんにちは。インタビュー記事第二弾になります!今回は日本代表岡崎慎司選手がアドバイザーを務め、ドイツのマインツに本拠地を置きます「FC Basara Mainz」で、インターン生として活動をされている山極智季さんにインタビューをさせて頂きました。実を言うと智季君と僕はケルンの語学学校で出会った間柄で、今回インタビューの話を持ちかけたところ快く受けてくれました。インタビューとはいうものの会話の感じは普段通りなので、特に智季君の人間性の部分も感じ取ってもらえたらなと思います。インタビュー記事を読む前にバサラマインツのwebサイトとSNSを少しでも見て頂けるとより一層理解しやすいかなと思いますので是非↓

Website: https://basara-mainz.com/

Facebook: www.facebook.com/basara.mainz/

Twitter: @fc_basara_mainz

Instagram: fc_basara_mainz

バサラマインツについて

・マインツという町はどうですか?
「ちっちゃいけどめっちゃ綺麗。あとはのどかな感じかな。おれが住んでるHauptbahnhof(中央駅)らへんは週末とか特に若い子が騒いでる感じの音が聞こえるけど、例えばチームがあるBretzenheim(ブレッツェンハイム)は人気な街なんやけど、そこはめっちゃ静かで、そういう静かなとこは多いかな。マインツは小さい町やけど家賃は若干高いな。そんなにすることは正直ないけどその分治安は良いから住みやすいと思う。まぁおれはどうしてもケルンと比べてまうからな。でも日本人選手はみんな治安良いとか住みやすいって言ってる」

・選手、スタッフ構成を教えて下さい。
「選手はトップとセカンド合わせて大体50人くらい。スタッフは会長兼監督が1人、コーチ兼スタッフ兼選手が1人、おれの他にインターンの子がもう1人、デュッセルドルフから月に1回くらいホームの試合のときに来るチームドクター的な人が1人、後はボランティア的な感じのドイツ人が2人で、その人たちはチームで飲みに行ったりとかゲームしたりとかを企画してくれて、ホーム戦の運営を手伝ってくれたりもするかな。だからスタッフは一応7人ぐらいやけど、常にいるのは会長、スタッフ、おれとインターンの子が基本集まってて、試合になったら他の人が来る感じかな。日本人選手が10人くらいいるから全体の1/5くらいだね」

・今のチーム事情を教えて下さい。
「ドイツ6部のSüdwestっていう地域だから南西って感じか。そこで16チーム中9位で、一応昇格組だね。今シーズンは序盤良くて1回3位くらいまで上がったんよ。でも今3連敗してて上とめっちゃ離れてしまって、今はちょっと難しい状況かな(12節終了時点)。とりあえず折り返すまでは負けたくないかな」

・現在のチームのサッカーの特徴は?
「とにかく守備から入って、全員で連動してって感じ、色々決めてさ。例えばハーフェーラインあたりから相手のセンターバックにプレッシャーかけに行って外に外に追い出す感じ。で、サイドバックのとこではめるとか。一応選手は繋ぎたい感じだけど、効果的な縦パスが入らへんから途中からロングパスで裏抜け出してセカンドボール拾ってって、足速い選手が多いから、特に日本人とかは。だから守備でボール取って繋いでってやりたいねんけど、試合になるとできなくなっちゃってロングボールが多いかな。今だったら4、5人の日本人が試合に出てるかな。他の人は今はセカンドだったり。で、練習は結構見てて面白い。リーグ始まる前はずっと守備の練習で、どこで誰が行く、誰が守備のスイッチを入れて、どこではめるっていうのを誰がどこのポジションで出てもできるよう意識してやってたかな。リーグ始まって点が取れないとか別の課題が出てきたら、サイド攻撃とか裏抜けのパターン練習したりとか。でもドイツ人でもパスサッカー好きみたいな人がうちには多いかも。技術的に厳しいんだけどね」

・日本人選手は前線の人だけですか?
「いや、後ろも全然いる。センターバック、サイドバック、ボランチもいるよ。今3-5-2でやってるけど、この前の試合だったらセンターバックとボランチと両サイドは日本人だった」

・サッカー関係なく、チームの特徴や雰囲気、他のチームとは異なる点は何ですか?
「全員めっちゃ良いやつ。特にドイツ人はとにかく良い人。例えば日本人が1人でドイツのチームにいたら、多少コミュニケーション取れるにしても、ドイツ人がその人のことを可愛がるって感じはないと思うねんな。外から来た人間なんやから自ら寄ってこいよ的な。今バサラにいる日本人ってまじドイツ語喋れへんのよ。3、4ヶ月いるのに喋れないとか余裕であって。でもドイツ人優しくて、喋れなくても分かりやすいドイツ語と身振り手振りで教えてるから、そういう風景って他のチームではないだろうなって。まぁもちろん自分たちが勝ちたいって気持ちもあるんやろうけど。外国人特有の負けず嫌いはすごくあるから。でもその代わり優し過ぎる感じもあるかな。サッカーするときもめちゃくちゃ潰す感じはなかったり。だからおれらのチームはちょっと大人しいドイツ人が多いかも、そういう意味では。『盛り上がってんのかなこれ』ってたまに思うときはあるかな。すごく良いやつなんだけどね。まぁこれは完全にないものねだりやな」

・日本人選手が多くいるからこその特徴や強みっていうのはありますか?
「サッカー的な強みは正直分からへん。よくさ『日本人の方が技術はある』って言うやん。でもそんなこともないなって今の選手を見ると思っちゃう。だからサッカー的なことで言うなら日本人はめっちゃ守備頑張るかな。体は張れへんけど走るとか、言われたこと忠実にやるっていうのは特徴かな。試合に出てる日本人でドイツにもう5年くらいいて、その前にモンテネグロとかセルビアでプロやっててドイツにプロ目指して来たけど5部とかまでしか行けなくて、今はプレーしながらセカンドキャリアを探してる感じの人たちがいるんやけど、その人らは日本人やけど海外のサッカーにも慣れてるから、献身性もサッカー的な知識も両方持ってる感じがしてすごいなって思う。体大きくはないんやけど、体の当てるタイミングとか細かな駆け引きがうまい。でも昔のバサラではやっぱり日本人すげえって感じだったらしい。例えば9部とかのときは、まぁおじさんとかも多かったし、その中でプロとか目指してる人が日本から来るわけやから日本人の方がうまかったみたい。でも今はそれが逆転してきてるというか、日本人同士だから息ぴったりってわけでもない。まぁでも初めて来る人たちにとっては良いプラットホームにはなってるかな。やっぱバサラっていうのがあるだけで、海外がちょっと身近になるとは思う。日本人の監督やコーチがいて寮があって同世代の日本人選手もおって、それに甘えてしまったらアカンけど、何かあったときとかの安心感はあるから、そこは強みというか良いなとは思う」

・逆に日本人選手が多いからこその難しさはその甘えれちゃうとことかですか?
「やっぱそこやな。サッカーでもさ、喋れんでもやれないことはないやんか。普通にサッカーはできるやんか。喋れんでも生活できてまうんよ。日本人の家に住んでて別に買い物くらいお金さえあればできるし。常に日本人といる感じもあるし。練習も一緒に来て、練習前も日本人同士でボール蹴って、ドイツ人が声かけてボール回しとかやってもそこでも喋ったりとかはないから。今シーズンきた選手が積極的にドイツ語喋ってるとこはほとんど見たことないな。もちろん良い環境なんやけど、本当にその人次第かな。足引っ張りあっても意味ないし」

・チームが目指しているところ、あり方は?
「日本人が成長できるところっていうのはやっぱ1番目標としてるかな。もちろんステップアップっていう意味だけど。サッカー選手としても人間としてもバサラに来て成長できるっていうとこを基本としてて。それで世界で活躍する選手を輩出するのが目標なんやけど、結局日本でプロになれなかったって人たちが、ドイツでプロになったりもしくはそこからJリーグへってなれるように。ここに来て、足りなかったものを補えたり、見つけたり、そのきっかけになれるようなチームを目指してるのかな。ドイツは実力があればステップアップできる仕組みになってるから、バサラが5部にいれば3、4部のチームのスカウトとかも見に来るやろうし、3部のチーム行ければもうプロやしな。そういう風に日本人がバサラで活躍して上のカテゴリーに行けるようにってのはあるかもしれんな」

・今後のチームとしての課題は何ですか?
「サッカー的な面は昇格しなきゃって感じ。今は6部の技術に追いついてないから、そこを賄っていかないといけない。とりあえず勝たないとね。あとチーム的にもっと露出して行かないといけない。例えばサッカーしてる人は『バサラマインツ知ってるよ。岡崎慎司のチームでしょ』とはなるけど、それ以上の情報は調べなきゃ何もないと思う。チームがどれだけみんなに見てもらってるかって大事で、テレビ出るとか記事にしてもらうとかしないと、チームとして大きくならへんのかなって。あとはファンの獲得も大事で、日本に向けて発信はするんやけど、結局試合を見に来てくれるのはドイツ人やから、もっと地元に根付いてってのは必要やな。サッカークラブってそういうもんやんか。選手の家族とか近くに住んでる人でバサラのファンとかもおるけど、いうてその数は知れてるからな。そこはおれの仕事なんやけど、広報して試合時のグラウンドにもっと人を増やしてバサラカラーを増やさないとな。ファンがいっぱいいて見られてれば選手もモチベーション変わるやろうしな。だからSNSで日本に向けて露出もするんやけど、地元のファンっていうのも大事なんやろな」

・町との関わり方はどうですか?
「去年か一昨年に市から小さい簡易的なベンチをもらったり、コンテナ買ったときも町からの了承が必要だったけどOKもらったし、だから設備的な部分での町からのサポートは、少ないんやけど良好な関係になってるとは思うな」

写真撮影をする様子

インターン生としての活動について

・主な仕事を教えて下さい。
「練習時はちょっと早めに行って、おれは選手全員と挨拶したくて、帰るのも1番最後まで残ってみんなとバイバイして。練習中は動画撮ったりして、最終的にチームのために動画作って、クリスマスパーティーのときとかに前期のスーパープレー集とか作って見せたらおもろいなって。チーム紹介の動画とかも作ろうと思ってるから練習中も動画は撮ってる。一応マネージャーみたいな感じでボールも拾いつつ動画も撮りつつ。まぁ広報スタッフは練習には出なくてもいいとは言われてるけど、練習も見てた方がSNSとかも書きやすいからな。ホーム戦は始まる2、3時間前に行って本部設置して簡易的なベンチ置いたり、スポンサーの旗立てたり横断幕を張ったりとか、ちょっとした売店もやってるからその準備したり、そういうことをおれを中心にやる感じ。試合中は基本写真撮って速報をSNSに上げてる。動画を撮るのは他の人なんやけど、それをYouTube Liveに繋げて放送してってやってる。アウェイは写真撮って速報流してってくらいかな。月金の朝にスタッフミーティングがあって、1週間の流れ決めたり、報告とかして、広報スタッフの仕事としてはSNSがメインなんやけどWebサイト、Twitter、Instagram、Facebookの4本柱を投稿して多くの人に見てもらえるようにフォロワーを増やすってのをやってて。今年からYouTubeでも企画物とかハイライトとかドイツ語教室始めたりとかしてるんだけど。動画編集も一眼レフもど素人なりに使ってやってるんだけどね。まぁ下手なりに一生懸命やってる感じ。営業とかもメール送ったりとか。今はドイツの水の会社にメール送ったり。自分でこの会社面白そうってとこにアプローチしてみたりっていうのもSNS以外の仕事かな。基本はパソコンと睨めっこしてっていう仕事だね」

・仕事の上で監督からよく言われることは?
「行動することやね。チームが小さいから決まった業務っていうのが正直なくて、だから自分で考えて行動してやらないとってのはめっちゃ言われる。逆に強みとしてはやりたいことをやれる。結構何でもOK出してくれるから、それはやりやすいなって思う。ポスター作るのも、自分でデザインして自分で作ってそれをコピーして、その枚数も自分で決めて、自分で配りに行ってって感じだから、結果も求められてるんだけど挑戦と行動ってのはめっちゃ言われるね。『死ぬ気でやってるか?本気でやってるか?』っていつも言われる」

・自分からプラスアルファで取り組んだことは具体的に何ですか?
「ポスターは作ってって言われてデザインから全部やって。マフラーも新しいデザイン作ろうってなったからそれもデザインから自分でやって。YouTubeは自分から使いましょうって話出して、ドリブルチャレンジとかドイツ語教室やったりはしてる。あとはInstagramでThrow backやったり、プレビューは今シーズンからやってるね。ドイツの6部のことなんて誰も知らないだろうから、対戦相手のことを書いたりとか、前半戦の結果書いたりすればストーリー性出ておもろいかなって思って。今は今度試合でイベントやろうかなって思ってる。他の会社とかチームよりは新しいこと沢山できてると思う」

・仕事をするうえで楽しいことは?
「シンプルにサッカー好きやから、サッカーのことばっかやってられてるのはあるね。試合も毎週近くで見れて、勝ち負けで一喜一憂もできて。自分がやった企画とかでフォロワーが増えたりいいねが沢山来たら嬉しいし。人が少なくて新しいことを行動に移しやすい分、評価してもらいやすいし、結果が目に見えやすい。うまく行ったらめっちゃ嬉しいし、逆に音沙汰なかったら悔しいしって感じ」

・仕事をするうえで困難なことは?
「人が少ないし皆んなが手伝ってくれる訳ではないからね。ドイツ語教室を撮りたいんだけど、皆んな全然協力してくれなくて。ドイツ人はそういう義務的じゃないことには積極的ではないからな。わざわざプライベートを削って時間を作ってくれたりはしないし、バサラは趣味だからって。そういう難しさはあるね」

・仕事をするうえで自分が意識していることは?
「結果を出さないとなって思ってる。サッカーでもそうだけど試合にずっと出てる得点とかアシスト0の選手より、出場時間短くても沢山点取ってる選手の方が欲しいってなるでしょ。だからおれの場合だと、まず目に見える結果を出す。アマチュアリーグのチームでSNSのフォロワーを1000人増やしましたって見せつけれればアピールになると思うんよな」

・選手との関わり方はどうしてます?
「おれはドイツ語喋りたいからドイツ人の選手とは結構喋ったりはしてる。日本人選手にはドイツ語の勉強の仕方聞かれて答えたりとかはあるけど、どうしてもスタッフだからな。困ってたら話聞いたりもするしサッカーのこともそうじゃないことも話してるな。ドイツ人選手ともそういう感じやな」

・ここで働くことの意味や得られるものは何だと思いますか?
「ただただインターンしに来ても何も得るものはないけど、やる意義があるのは例えば自分で0から考えたことに取り組むことができて、それが上手く行く行かないっていう経験ができる。だから行動力がつく。何もしなかったら1週間なんてすぐ過ぎるけど、自分で覚悟決めて目標持って率先してやれば間違いなく行動力は身につくね」

・個人的な将来への見解を教えて下さい。
「どうなるか知らんけど、この1年はバサラでやって、その間にブンデス1部〜4部くらいまでのところにメールを送り続けて、上のレベルのところで働けたらなって。でもそう思う反面、バサラで続けてもいいのかなとも少し思ってる。もし雇ってもらえたり何か残れるような手段があればの話だけどね。やりがいはあるから。自分も海外に出て活躍したい日本人の中の1人として、他のそういう活躍したいやつらをサポートするのもいいなって。そういう人を増やせれるようにするのも1つなのかなって。サッカー目の前で見て自分が関わってるチームだから徐々に愛着湧いてきてるし、好きなチームで働けるって楽しいと思うから。特に昇格を経験できたりしたら面白いなって思う」

・これから来る選手やインターン生に今の自分の立場から言えることは?
「おれは勝手に思ってるだけやけど、楽しんだもん勝ちやと思う。特に選手とかめっちゃ悩んでて『全然試合中上手くいきません』とか『今までやってきたプレーが1つも通用しません』とか。そうなのかもしれへんけどとりあえず楽しんだらええやんって思う。今しかできへんことやってんやからさ。もちろんやることはやらなあかんけど、面白くなさそうな顔したり、だるそうな風にやってるのは勿体ないなって思うな。あとは語学は絶対に大事かな。喋れない状態でこっち来ても全然いいけど、こっちの人とコミュニケーションとって喋れるようには絶対なった方がいいと思う。考え方とか見方とか変えられるし。こういう考え方の人もいるやんって視野が広がって色んな国の人知れば、人間としても成長できると思う。でもやっぱ1番は全力で楽しくかな。楽しんだもん勝ち」

ポスターを配る広報活動をしている様子

インタビューは以上になります。ドイツへのサッカー留学を考える際にバサラマインツの名前は多くの人が聞くと思いますが、例えそこにどんな環境が用意されていようと結局は自分次第なんだなと改めて思いました。またそれは選手だけでなくどんな立場の人にも言えることです。そしてここに書いてあることも一部の情報に過ぎません。もしバサラへのインターンや海外挑戦を考えている選手がこの記事を読んでくれた際には、現状として起こっている良い面も悪い面も踏まえた上で、自分の意志で決断して欲しいと思います。なにより1人でも多くの人がこの記事をきっかけにバサラへの興味を持って頂けたら僕も嬉しいです!投稿や企画など面白いので是非SNSのフォローなどもよろしくお願いします!今回も読んで頂きありがとうございました!

Tschüs 👋


少しでもより良いものを作っていきたいので、「スキ」や「コメント」もお待ちしています。