「なぜ」その駅で降りるのか

ご覧くださいまして、誠にありがとうございます。

電車に乗っている人は、降りる駅こそバラバラではありますが、そこで降りた先で何かをするという、目的を持っているのが一般的だと思います。

例えば、お気に入りの喫茶店に行くために、最寄り駅まで電車を使う。

あるいは、学校の登校日のため、最寄り駅まで電車に乗る。

もちろん出勤のため、観劇のため、温泉観光のため・・・。その駅で降りた先で、何かをするために、人は電車に乗って目的地まで向かいます。

ですので、「なぜ、あなたはこの駅で降りるのですか?」と質問をした場合、究極的には下記の回答に収束するものと推察されます。

「目的地の最寄り駅だからです」

ここまで読まれて、「当たり前のことではないか」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。

しかし、私は学生時分、下記のような思考回路で鉄道旅行をしておりました。

①鉄道に乗りたくなった(「旅行に行きたくなった」ではないことがポイントです。)

②所持金を確認する(例えば1,000円とします。)

③その金額を2で割る(上記の場合、500円になります。)

④③で求めた金額に、限りなく近い運賃のきっぷを買う(上記の場合は、例えば480円。510円は超過するのでダメ。)

⑤その駅へ鉄道で向かう

⑥改札を出たら、すぐに行きと同額のきっぷを購入する

⑦鉄道で速やかに帰宅する

私は鉄道の写真や、駅舎の写真などを撮影した経験が、ほとんどございません。(皆無ではないです。)

ただ鉄道に乗り、車窓からの風景を眺めていることで、充足感・満足感を得ることが出来ていました。

願わくば自分が満足するまで、何時間でも何十時間でも乗っていたい。

でも時間的制約・金銭的制約から、それは難しい。

そのため私は、所持金を2で割り、そのきっぷで行ける限界の駅まで行き、速やかに帰宅するという、なかなか客観的に見ると面白いことを続けていました。

そんなわけで、到着した駅に関する予備知識はゼロでしたし、そもそも到着した駅に用事はなかったのです。ただ行ける限界の駅が、そこだっただけなのです。

上記のような鉄道旅行が趣味だと話すと、「変わっている」・「途中で何かあったらどうするのか」と、肯定してくれる人は極めて少数派でした。

一人だけ、「面白いですね」と言ってくださった方がいらっしゃいました。

今の妻です。

ご覧くださいまして感謝いたします。誠にありがとうございました。

追記

妻は「このお店に行きたい」・「この施設に行きたい」と、自身の意見をしっかりと相手に伝えることが出来ます。

そのため夫婦旅行における私の役割は、妻の意見を可能な限り満たすプランを作成すことです。

学生時代のように、行ける限界まで行って帰るという行為は、全くやらなくなりました。でも不満は一切ありません。

愛する人が満足した顔を横で見ているとき、私は車窓からの景色を眺めているとき以上に、幸福感を感じているからです。

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