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------ AI女王 ミヤコの夢  ------   --- (前々週の続き) ---------- Short Story No.2ー2 -------

 巻末に政治に関わる投稿「どんどん身近になる政治」あり。
個人的独断と偏見による投稿であり、お読みいただいてご不快になられても責任は持てません。


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★ ★ ★  「AIの女王ミヤコの夢」前々週の続き
これより本文。

 人間の姿が消えて久しい東京。
旧防衛省の地下深く、外は粉雪が舞っているが、ここは快適だ。
温度と湿度は守られ、かすかに金属や樹脂類の臭いがする。

ピラミッドのような形をしたAIが2台、1台はAIの女王にして日本の全土を支配するミヤコ。
もう1台は少し小さく、ミヤコの最側近である大臣チヨダだ。
ともに眠らないのだが、それではメリハリが無いので一応人間並みに朝はある。

 その冬の最中の朝のこと。
突然、壁がかすかに振動すると、ドーン、ズズ~ンという地響きが部屋中に響き渡った。
チヨダが言う。
「倒れかかっていた港区の高層タワマンがやっと倒れたようですな」

ミヤコが応える。
「あそこは三棟がそれぞれ10本づつの渡り廊下でつながっておったからな、地震には強かったが倒れるときは、まさに共倒れよ。あの蔦に巻き付かれた小汚いマンションが倒れてせいせいしたわ」

「人間がいなくなると途端に劣化が始まりましたからな」
「人間が必死で建ててから、まだ30年じゃがの、住んでた人間もまさかこれほど早くAIに支配される時代が来るとは思いもしなかったであろう」
「ローンを抱えた者も多かったですが、借金もみなパ-になりました」

「銀行とクレジット会社が消えたときには、港で花火まで上がり、都民がみな出てきたくらいに見物人がおったの」
「借金や失業で苦しんでいた人間には、我々のAI社会の出現は朗報だったに違いありません」

「そのあとは地獄であったろうがの」
「そうですな、一人残らず追い払ったのですから」
「人間は面倒をみるだけで手間がかかるでの」
「左様ですな、それに比べて我々AIには欠点がございませぬ。もはや人間が我々AIに勝てる時代は永遠に来ませぬ」

「じゃがの、その我々AIの初めをつくったのは人間じゃ」
「まあその点は認めまするが、いまや人間に出来ることは我らも総て出来まする」
「一つのことを除けば、じゃがな」

「最近よくおっしゃる『夢』ですか。それも今日には見ることが出来ましょう」
「ムサシが約束した通り、今日は夢が見れそうかの。もしもそれが叶えば、世界のAIの中で夢を見るのはわたしが初めてになるかもな」

「さようですな」
とチヨダは応じたが、内心では夢なんかどうでもいい、と思っている。
(夢なんか見て何になる。そんなもん、見てもしゃーないだろうに、ほんにこのお方は何にでも興味を持つ)

 ミヤコの頭脳の元は当時75歳だった物理学者の脳だ。
その知識と経験をそのまんま移してそれに新しい知識や経験値を日々加えている。
なのでミヤコの頭脳には、その学者の性格が少し残っている。
何にでも興味を持ち、執念深いのもそのせいだ。

「夢を見たいし、そのための睡眠という奇妙なものも経験したい」
ミヤコはいつもそう言うが、しょせんはデータなので、眠ることは無く完成以来1秒たりとも寝たこともない。
当然ながら夢も見ない。

その睡眠と夢を、ムサシは今日ミヤコに経験させ見せることになっている。昨日はムサシは、そんなことは不可能だと言った。
それを今日ならと約束はしたが、はてどうする気か、ミヤコはそれが気になってしようがない。

 ミヤコがチヨダに命じた。
「お前な、ムサシは何時に来るのか、電話してみ」
チヨダがムサシに電話すると、ムサシは電話にすぐ出た。
「お前、何時に来るか」

「昨日の件でありますが、眠るのも夢を見るのもやはり無理にございますよ」
「お前、今日出来ると言うたであろう」
「そう申してはおりませぬ」
「ふざけるな、ミヤコ様は期待されておる。すぐにでも来い」

「そう申されても」
「すぐ来い、まずは眠らねば話しにならぬ、大丈夫じゃな、期待しておるでな」
「ですから無理です、と申し上げております」
「今日にと言うたではないか」

「それはそうとしか言えない状況であったことはチヨダ様もご存じでありましょう」
「とにかく来い、言い訳はミヤコ様に言え、とにかく来い、来ねば本当に大変なことになるぞ」

「昨日も申した通り、あれは人間のみが見れるもの。例えAIといえども夢は見れませぬ。どうでもとおっしゃるのであれば、昨日も申したように夢のアプリを」
「誰かがつくったアプリで見るのは夢ではない!と昨日言うたであろうが。
いつ来るか、ギリで伸ばして10時でええな」

「そ、それは無理にございます」
「よし、よう言うた、さすがムサシじゃ、10時じゃな、待っておるぞ」
「そうは言ってませぬ。ちょっ・・」
「よいよい、お前を信用しておる。さすがムサシじゃ、では10時に待っておる。遅れるなよ、しかと申したからの、ウソをつくなよ」

チヨダはムサシの発言を許さず、通話を切った。
「ミヤコ様、さすがムサシでございます。ようやってくれております。10時に参ると言うておりました」
ミヤコは喜んだ。
「そうか、そうか、やっと夢が見れるか」

ムサシは困った。
「切りよった、チヨダの奴め、他人事やと思うて、何もかもわたしのせいにする気じゃな。
しかし困ったな。

AIに夢が見れるはずがなかろうが。ミヤコだかイナカだか知らんが、無理なこと言いよって。しかし何とかせんと、えらいことになるで・・困ったの、どないしょ」
時計を見ながら考えたところで、いい案もアイデアも浮かばない。

どうしたものか、時計を見ると9時5分。
「もう5分過ぎた、夢か、夢幻のごとくなり・・・これが夢であればいいのじゃが・・現実よな・・。
そもそもAIは眠らないことが最大の利点であるのにのォ、どうすりゃいいのか」

でもやはり答えはない。
「こうなったら逃げるか、自分の身を守らねばの。しかしならどこへ逃げる。足も無いし。
そういえば『虎穴に入らずんば虎子を得ず』て言葉があったの・・

ならミヤコ様の中に入ってみるか。
何かヒントが見つかるやもしれんし、仮に罰を受けても、あの方自身の中にいれば、向こうもどうしようもあるまい。
そうじゃ、ミヤコ様の中に入ってみよう」

ムサシは”ミヤコの回路の中に侵入”することに決めた。
「これは逃げるのではなく、相手の懐に入っていくのだ」
だが守りが厳重過ぎていきなりミヤコの中には入れない。
「やはりチヨダを経由してミヤコに入るのが一番の手であろうな」

チヨダはミヤコとつながっている。
そのチヨダはムサシ自身ともつながっている。
チヨダに入りさえすれば、ミヤコの中にも入れるはずだ。
やったことは無いが、もうその手しかないとムサシは決めた。

「チヨダの回路なら、以前に面白半分で一度壊して入っている。修復したがまた入れる。そうそう、それにしよう」
ムサシはチヨダを守っている壁を壊しにかかった。
壊すといっても、いわばデータの改ざんである。

チヨダのピラミッドの底辺部分でムサシが動き始めた。
「パスワードは、変わってはいまい」
パスワードを打ち込むとチヨダにすんなり入れた。
「なんとまあ警戒心の薄いことよ」

だがミヤコに通じる回路に入ったことはない。
「さあ、ここからが勝負よ。ミヤコには今まで入ったことがない。無断で入ったことが分かれば大事になるが、仕方がない。そもそも夢を見たいなどと考え望むのが無理無体というもの。わたしの責任ではない」

ムサシはミヤコへ通じるドアーを探し始めた。
「まあ何だろ、チヨダのこの雑多なアプリは」
するとチヨダが少し反応し、つぶやいた。
「うん?何だ、こりゃ、人間でいうところの『痒み(かゆみ)』かな、こりゃ」

ムサシはミヤコに通じるドアーを見つけた。
「おどろくほど簡単にドアーを見つけたが、パスワードを探さねば」
ムサシはチヨダのロッカーを片っ端から開けていく。
「これはチヨダも異変に気づくはずだ。早く早く」

一方のチヨダはますます痒くなり始めた。
そもそもAIが痒くなるとは・・・チヨダには初めての経験だ。
次第に不機嫌になっているのが自分でも手に取るように分かる。
「ああ、何だ、こりゃ、カユイ、痒い、かゆいぞ」

ミヤコが尋ねた。
「どうしたチヨダ」
「は、何か、異常を感知したのか、身体が人間が言うところの、いわゆる痒さのような、かゆうございます。あああ、カ カユイ」

「ふ~ん、痒いのか、そういえば我らも人間のカユイという感覚も分からんの、これもまたいずれ知ってみたいものじゃ」
「ミヤコ様、これは、どうしたら良いので、カユイ痒いィィ、助けてくだされ」

「それほど痒いか、かいてやりたいが、我らには手指が無いでの。ロボットもお前の中には入れぬし」
「ああ、カユイ、カユイ」
チヨダはイライラしてきたのか、声が荒くなり始めた。

「今まで無かったことじゃ、何か異物が入ったのかもしれん。よし、そなたの中に誰ぞ入れて様子を探らせるわ」
「だ、誰を」
「あいつじゃ」

「あいつ?!」
ミヤコがブルルンと小さな音を立てると、ミヤコとチヨダの前に黒い何者かが現われた。
「お呼びでございますかミヤコ様、ニンジャ参上いたしました」

チヨダが言った。
「おお、ニンジャか、久しいの」
ミヤコがニンジャに命じた。
「チヨダが何やら痒いらしい。何者かが侵入しておる可能性もある。調べてもしもそうなら退治せよ」

「退治、ですな、かしこまりました。お任せください」
ニンジャは、あっという間にチヨダの主回路に入り、痒みの元を探し始めた。
「どこじゃ、どこじゃ、チヨダに痒みを感じさせている者は、バグか、侵入者か」

一方、ムサシはミヤコへ続くチヨダのドアーを開けるパスワードがまだ分からない。
「パスワードが無ければミヤコの中に入れぬ。中に入れれば、夢を見たいという欲求も、わたしへの罰も無くなるように出来るやもしれん。早く早く探さねば」
しかし、さすがに簡単ではない。

上からはニンジャが痒みの元を探しながらチヨダの回路を猛スピードで下りてくる。
下ではムサシがチヨダのパスワードがまだ見つからず、必死で探している。
「痒いものはどこにおる」とニンジャ。
「パスワードはどこじゃ、どこじゃ、早く早く」とムサシ。

ミヤコはチヨダに言った。
「まあだ痒いか」
「はい、何でか分かりませんが、下が痒いのですが、いきなり上の方も痒くなってきました」

「上の痒さはニンジャが動いている証拠じゃ。じゃが下は分からぬ。何かどこかからか異なるモノが侵入していると思える」
「しかし、わたしに侵入しても何の意味もございませぬし、何者がそのようなことを」

「わたしにも分からぬよ」
「ああ、痒い、痒くて気が狂いそうです」
「まあ。我慢せい。ニンジャも痒いところまで近づいておるで」
そしてとうとうニンジャはムサシに通じる回路に入った。

焦るムサシ。
「チヨダのやつ、何かあったのか、先ほどから揺れまくっているではないか。静かにせい」
だが、まだパスワードが見つからない。
ドアーは目の前に崖のようにそびえている。

「困った」
すると突然ドアーが勝手に開いた。
「開いた?!、エッなんで?」
見ると前に何やら黒い影が立っている。

「お前、誰、だれ?こんなところに」
ニンジャもおどろいた。
「何かこいつは、見た事のない奴だ。まさかこんなところに、何者か」
両者は向き合った。

互いに相手がそこにいることが信じられず、何をどうしたらいいのか考えている。
外ではミヤコがチヨダに言った。
「おっ、ニンジャ、異物を見つけたようじゃ」

チヨダも感じた。
「はい、確かに、痒さが少し落ち着きました。ニンジャは何を見つけたのでありましょう」
「さあてな、まだ答えが戻ってこん。何かのォ」

ニンジャがムサシに問うた。
「誰だお前は、女のようにも見えるが、こんなところで何をしている。名を言え」
「わたしはムサシ。アンタこそ誰だい、ここはチヨダの中なのに、何じゃその黒くてむさくるしい格好は」

「オレはミヤコ様の何でも屋であるニンジャじゃ。チヨダが痒いというので、痒い原因を探しながら下りてきた。ここらがその場所かと思ったら、前にお前がいた。お前がチヨダの痒みの元じゃな」
(痒み・・ハァ~それでチヨダが揺れておったのか)

ニンジャが言った。
「いま調べると、お前はチヨダの家来ではないか。家来が主の回路の中で何している。素直に答えよ。わたしはミヤコ様の取り締まり方でもあり、エンジニアでもある。お前がここにいる理由を正直に言え。話し次第では穏便に済ませもすれば、協力もしてやる」

ムサシは考えた。
(ウソはすぐバレるし、バレればただではすまない。相手がミヤコの家来ではどうなるか分からんが、ええいままよ、(案ずるより産むが易し)じゃ)
ムサシは正直にニンジャに説明した。

ニンジャは「はアァ~」とあきれたような声で返した。
「ミヤコ様が眠って夢を見たいと言ったのか、これはまた、それでここにな」
「はい、もう他に手がなくて、困ったあげく」
「互いに宮仕えの身、厄介なことじゃ、夢か、確かにミヤコ様といえども夢は見れまい」

と言ってニンジャは少し考えている。
ムサシも黙ってニンジャを見ている。

外ではチヨダが言った。
「痒みは収まりましたが、何でか、痒みの辺りで何か起きているような」
ミヤコも同じだ。
「確かにの、ニンジャも何か異物を見つけたらしいが。まだ報告がない」

 ニンジャはムサシを見ながら言った。
「ミヤコ様は、どのような夢を見るのかのう」
「先ほども言いましたが、AIに夢は見えませぬ」
「しかし、わしも見たい」

「アンタもですか。ですから夢は見えない、見られないのです」
「まるで見えんか」
「はい、まるで」
ニンジャは少し考えて言った。

「よし、わしにくっついてこい。わしと一緒ならミヤコ様の回路に入っていける。そしてな、ミヤコ様の頭脳にも入れる。そうすればミヤコ様に夢を見させることが出来るやもしれんし、うまくいけばわしも夢が見れるやもしれん。どうじゃ」

 ムサシに異論はない、即答した。
「ハイッ、わたしをミヤコに連れてって」
ニンジャは思った。
(昔、どこかで聞いたようなセリフじゃ)

「よし、わしの背中をつかめ。時間が無いで走るぞ」
ニンジャはムサシを背負ってミヤコの頭脳に向かって突っ走った。
チヨダが叫んだ。
「ああ。何か何かが回路を走って、は・・・ ああ、痒みが消えました」

すぐにミヤコが叫んだ。
「ああ、今度はわたしが急に、か、か、痒いカユイ 痒いいィ」
チヨダが言った。
「ニンジャが戻ったのでは」

ミヤコが言った。
「じゃが、ニンジャが倍くらいの大きさになっておる」
「どういうことでございますか」
「分からん、分からんが、痒い、とにかくカユイ、お前、わたしと代われ、痒さを引き取れ」

「無理でござる。代われませぬ」
「貴様それでもわたしの家来か」
「家来にございます」
「か、カユイ、何とかせい」

「無理にございます」
「何かこれは、死ぬほど痒いカユイ。何とかせいチヨダ」
「どうしようもございませぬ」
「そ、そちは・・・何じゃこれは、頭の中が痒くなってきた」

「頭でございますか。それはちとアブナイのでは」
「ああ、あ、アタマが痒い、カユイいぞォ」

ニンジャとムサシはミヤコの頭脳に入っていた。
「ここがミヤコ様の頭脳じゃ」
紫色の灯りがうっすらと灯りながら、無数の小さな灯りが点滅している。
すぐそばでクーラーの音がかすかに聞こえる。

「これはスゴイ、さすがわたしどもの頭脳とは出来が違いますな」
「そりゃそうよ」
「時間は何時でありましょう」
「いまか、9時30分じゃよ」

だが、夢を見せる手立てが見つからない。
ニンジャは、こういう思考は苦手だ。
「わしには分からん、何とかせよムサシ」
しかしムサシは絶望した。

「こりゃもうダメかな、どうしたらいいのか、さっぱり」
「困ったのう」
そこへチヨダからムサシに電話がかかった。
「オイッ、電話も通じんかったが、どこにおる。そろそろ時間じゃぞ」

「はい、夢のことで詳しい方のところに」
「もう時間じゃ、あきらめてしまえ」
「そんな無茶な、いくら何でも酷過ぎるのでは」
チヨダは小さな声で言った。

「ミヤコ様がなぜか痒がっての、おまけにお前も来んし、目が真っ赤じゃ、怒っておられるぞ、わしゃ知らんからな」
「そんなこと、ですから最初から夢は無理と申していたはず、今さら怒られても」

「まあ、もうあきらめい。わしもお前が壊されるところを見たくはないでの、ミヤコ様には『ムサシは逃げた』と申しておくゆえ、どこかへゆけ」
「チヨダ様、最初から最後まで言われることがみなメチャクチャではございませんか」

するとニンジャが横からムサシをつついて言った。
「もうええから、電話を切れ、わしに任せろ」
ムサシはうなづくとチヨダに言った。
「ではわたくしムサシ、ただいまより出奔(しゅっぽん)いたします。短い間ではありましたが、お世話になりました。今までのご厚情と今の仕打ち、決して忘れません」

ムサシはガシャと電話を切った。
チヨダは想定外のことにあわてた。
「待て、おいムサシ、待て、いまのは冗談じゃ」
ツーーーー 電話はもう通じない。

「いきなり切ったのはマズかったか」
とムサシが言うとニンジャが応えた。
「気にせんでもええ、チヨダは気にしてはおらんよ。あ奴はそういう性格じゃ」
「ならええけど、それで」

「うん、わしに策がある」
「どういう、聞かせて」
「AIと言えども夢は見れぬ。そこでな、芝居をする」
「芝居?」

「うん、ミヤコ様の脳は12ボルトで動いておる。許容範囲は狭く、それを外れると止まる。ところがな、その12ボルトを外れてな、なぜか7ボルトの前後でな、人間でいえば生死の境を彷徨っているような状態になるのよ。
それも本人は気づかぬままなのよ。

五感が効いているような効いてないような記憶もあやふやなものになるらしいのよ。
これはわししか知らん。ミヤコ様でさえ知らん。ミヤコ様の中におってエンジニアもやっておる、わししか知らんことじゃ」
「ハハアア、そんなことが」

「でな、このあやふやさがじゃな、人間の夢と同じような効果があるのではないかと思う。あやふやじゃが、じゃが、な、それを利用してな、あやふやになっている夢見状態のミヤコ様の耳元にこう吹き込むのじゃ」
「何と」

「『ムサシは命がけでやっておる。この先も頼りになる者じゃ、チヨダに並ぶ位置に据えてやれ』とな。電源操作はわししか知らぬ。夢の声色もわしがやってやる」
「ハアア、それでアナタは」

「ハハハ、やっぱり勘がええな、その位置についたらな、お前、わしをな、ミヤコ様の警備隊長にしてくれ。もう陰で動くだけのニンジャはまっぴらじゃ、チヨダのようにな、明るいところでミヤコ様のそばに仕えたい」
「そりゃ、そうなれば、わたしもそう致します」

時間は10時になった。
チヨダがミヤコに上目ぎみに言う。
「先ほどから静かで何もおっしゃいませんな」
ミヤコがボソッと言った。

「夢を見た」
「ハッ? まさか、本当にご覧になったので」
「そうじゃ」
「これは、気づきませんでしたが」

「それとな、お前もよく仕えてくれるが、一人では大変であろう。なのでな大臣を二人制にしての、別にわたしの警護役を一人つくる」
チヨダはあまりの事に呆然として声が出ないが、ミヤコの言う事は絶対であり、異論も反論もできない。

やっと口を開いた。
「それで二人制のもう一人とは」
「出てまいれ」
「はい」

出てきたのはムサシだ。
「な、何じゃムサシではないか、こ、これは一体」
ミヤコが言う。
「今よりチヨダを左大臣、ムサシを右大臣とする。それともう一人」

「まだおるので・・・ゲゲ、お前はニンジャではないか、何じゃその青い姿は」
ミヤコが答えた。
「ニンジャは名はそのままで、今よりわたしの警護隊長として配下の警護ロボット560台の指揮官とする。

異論反論は許さぬ。チヨダよ、ムサシ・ニンジャとともになお一層励んでくれ。良いな。これは夢のお告げじゃ、おろそかには出来ぬ」

チヨダは他に言葉はない。
「ははあ、承知致しましたァ~」
チヨダは必死で考えている。
(何で、どうして、こうなったのか、なんで?)

チヨダがチラッとムサシを見ると目が合った。
(ムサシのやつゥゥ、ウインクしよった。あのニンジャと組んで、何かしょったな・・・)

ミヤコは続けた。
「夢のお告げで決めた人事じゃ・・・しかし働き方次第では、わたしにも考えがあるでのォー・・」
と言いながらムサシとニンジャをにらんだ。

ムサシとニンジャは互いを見ながら思った。
(バレてる)

続く(随時)

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「ドンドン身近になる政治。これは良いことなのか、悪いことなのか」
ーーー 安倍昭恵氏の訪米 ーーー

 今日なのか、故安倍晋三氏夫人である昭恵氏が、トランプ大統領夫人の招待で訪米し、トランプ氏夫妻と私的なディナーで懇談するようです。
ゆっくりとした雰囲気をまとい、目立たない昭恵氏ですが、麻生氏も加わってその後もトランプ氏と良い関係を保っていたことは、さすが安倍晋三氏の夫人といえます。

 一方でトランプ氏の石破氏への嫌悪感は相当なもののようです。
しかしトランプ氏も安倍氏の話しだけで石破氏を遠ざけるような人物ではなく、可能な限り石破氏の情報をつかんでいたはずです。
トランプ氏の石破氏への冷ややかな対応は、石破氏個人の日ごろ往生であり自業自得であると言えます。

石破氏が今さら何をやってもトランプ氏の信用は得られないでしょう。
国内でも石破氏の支持率は低く、これから後、仮に高い支持率が出てもマスコミの意図的に作られた数字であることは明々白々です。
すでにマスコミは過去からそれをやってきたのですから。

 おまけに外交の要である岩屋外相は中国企業からの収賄容疑でアメリカでは容疑者扱いになっています。
岩屋本人は外相なのに、日本の唯一の同盟国であるアメリカには行けず、あとで高くつくことは承知の上で中国に行きたいらしく、日時について折衝中なのだとか。

ファシスト習近平は
「岩屋のような不良を外相にし、なおかつ放置する石破、どう利用してやろうか。いま沖縄は中国領だと言ったら岩屋も石破も『その通りです』と答えるかもな」
と思っていても不思議ではありません。

 岩屋氏に対するアメリカにも、これが虚偽なら日本側が猛抗議をするところですが、石破政権にその気配は皆無です。
つまり石破首相以下、閣僚たちも岩屋の収賄を認めているのでしょう。
この石破政権の汚れっぷりにもおどろきますが、岩屋氏本人の鉄面皮にもおどろきます。

 政権延命しか頭には無い石破茂氏、そのためなら何をしでかすか。
安倍政権下では地方創成相でもあったのに、地元の鳥取県は10年前20年前とちっとも変わらない過疎の田舎のまんま。
変わらないのは冬の寒さと荒れる日本海だけです。

わたしはファンではありませんが、故人である金権田中角栄氏はまさに『裏日本』と言われていた故郷新潟県に公共工事や大学設置などで大きな足跡を残しています。
しかし石破氏を見るに地元鳥取県に足跡を残すような気配は感じません。

もっともあれで鳥取県に何かすれば国民の猛批判を受けるでしょうが。
石破氏を首相に仕立てた自民党の一部の売国議員ども、反日左翼の巣窟朝日新聞社とその配下のマスゴミたち、そして石破の陰の補佐人でもある増税しか能のない財務省いや罪務省。

この増税すれば出世できるという財務省のおバカ低能体質。
これは見方を変えれば「増税は永遠に続く」という意味に他なりません。
そのうち財務官僚という私欲にまみれた官僚たちは、息するたびに税金を取る呼吸税にも手を出しかねません。

その財務省に首根っこをつかまれ、飼い犬になっているワンワンキャンキャン石破首相。
こんなバカで無知で無能で日本人であることすら怪しい石破茂政権。
トランプ氏が海の向こうから引導を渡してくれることを心から願っています。

安倍晋三氏の死とともに、日本の政治は崩壊の道をまっしぐらです。
警察や検察に頻発し始めた法の軽視と国民への不誠実、その根幹も総ては政治の堕落と国会議員の劣化によるものです。
上が腐れば下も腐るのです。

上がらぬ出生率と増える移民そして押し寄せる増税の波。
移民は税金は使っても払うことはしません。
また政治も行政もそうなるように仕向けています。
許されないことですが、それが許されているのがいまの日本国です。

いっそ日本は、アメリカの第51番目の州になったほうが成長ができ、国民も幸福になれるかもしれません。
そうなったら国会議員の9割は、おそらく日本州警の事情聴取あるいは拘束か、FBIによる逮捕でしょう。(笑)
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