見出し画像

花は短命

5/1

5/2

仕事の合間に漫画喫茶で「ドロヘドロ」を読む。
現在十二巻。あと十巻あるのが信じられない。読んでも読んでも結末が分からない。

プール開きもする。

5/3


アイドルの方を撮影。
ドレスを着て頂き、公園で撮影をしていたら子供に囲まれていた。プリンセスだと思った。
友人のアイドルの方も来てくれて、三人で賑やかに過ごす。

5/4

アウトドアの日。
廃墟は私の心を掴んで離さない。

5/5
友人と撮影。
イベントではなかなかゆっくり話す事ができないため、撮影に誘って貰えて嬉しい。
午後は私が撮る方の撮影もする。GWなので街は人の出が多く、少しだけ疲弊した。

疲れを癒す為に甘い物でも食べようと思いコンビニに立ち寄った。私は滅多な事が無い限り自転車で移動をしている。自転車から降りる瞬間、何かを間違えたのだろう。そのまま地面が抜けたように足がつかない。何か変だなと思いながら落下を続けた。少し慣れて来て周囲を見渡すと、先程まで居たはずの通行人達が消え、やたらと大きな鳩だけが私の事を見ていた。いつか地面に当たるだろうと悠長に考え始めた途端、足がついた。いまだに落ち続けている感覚がある。道を踏み外すとはこの事かと体感する事ができた日だった。

5/6
一日休み。
図書館に行ったり昼寝をしたりして過ごす。
「バーバリアン」を見たのだが、途中で寝てしまう。私は昼間に映画を見ると、内容に関わらずほとんど必ず寝る。

その時は大抵夢らしい奇妙な夢を見ている。
ピンク色のラバランプの中の蝋の代わりに小さな兎が入っており、兎がぷかぷかと浮かんでいた。私は浮遊する兎を何とか捕まえようと必死になるあまり、ラバランプを倒して割ってしまう。
ピンク色の液体が床に広がるが兎は見当たらない。液体を掬って浴槽に溜めて入浴をする。体を動かした拍子に線が抜けた。私はゆっくりと排出口に吸い込まれていく。助かりたいので浴槽の淵に手を掛けるが、ラバランプの容器の破片を持った兎が現れて手を刺される。「痛い!」と叫ぶとその瞬間に完全に排水口に吸い込まれた。当たり前のように私はラバランプの中に収容され、蝋の代わりに浮かんでいる。

当然だが夢なんてものは起きた瞬間に忘れる為、上記の内容は今考えたデタラメである。

5/7

美術モデルの仕事をする。
半年間の固定ポーズが今月で終わる。何気ないポーズと衣装だが、妙に愛着のある巻になる。
午後は岐阜詣でをする。最近の昼食はコンビニのおにぎり一つとサラダチキンバー一つの事が多い。おにぎり二つでは多すぎて動けないし、おにぎり一つだけだと足りなくて動かない。そしてモデル中でも撮影時でも水を大量に飲む。3時間の撮影で一リットル程度を飲んでいる。

私は視力が普通程度に悪い。
眼鏡をかけて生活をしている。その為か私の頭が怠けている為か分からないが、眼鏡をかけていても全ての物が物凄くぼんやりと見える。色が薄く霧がかって霞んでいるといえば良いのだろうか。カメラで風景や人を撮ると、色が濃くて鮮明で驚く。自分の目で見た物とカメラで撮った物の差がありすぎて、吐き気がする事もあった。私の出す写真の色が滲んでぼやけているのは、実際に見えている様子に近づけている為だ。わかりやすいように誇張して出している。そしてそんな自分の写真を見ているととても落ち着く。

ちなみに今日あった事をその日の夜に書いているような様だが、これは5/4に書いている。私のレベルの嘘つきとなると、一カ月分の日記をあらかじめまとめて書けてしまう。そして書いたその通りに行動するのも朝飯前なのだ。

5/8
ここのところ食べる物への興味が消え失せている。
特に自宅で一人での食事はただの作業と化している。食事は楽しくない、つまらないのだろう。気合いを入れて調理をしていた頃と比べて、時間がかからなくなったので楽ではある。
そんな調子で味気ない毎日だが、唯一食べたいと思えるものがシュークリームだ。(以前も私は食に対して興味を失っていた。当時はじゃがりこばかりを食べていた。たくさん噛む為、顔が引き締まった。)

シュークリームに貴賎は無し、どんな物でも好きだ。今日はユーハイムのシュークリームを食べた。細かい味の事はわからないが、クリームが濃くて幸せな味がした。少量でも栄養価の高いこの食べ物のおかげで何とか動けている。

5/9

始発の電車に乗り空港へ。
今日から月曜日まで北海道で過ごす。

毎回恒例の、電車に乗る直前に自宅の鍵を閉めたかどうかが不安になり泣き出す。乗り換えナビを見て、今全力で自宅に戻りまた全力で電車に乗れば、なんとか飛行機には間に合う。でも、毎回確認しに行くのは良く無いと医者が言っていた・・・と涙の他にも汗を流しながら電車に乗った。生きた心地がしなかったし、旅行自体も後悔していた。私の妄想の中では、鍵を閉め忘れており、暴徒が侵入し、私のささやかだけれど大切な部屋に居座り、私が帰ってきたら残虐に犯され殺され、解体され、1ヶ月ほどかけて食べられ、残った骨は木曽川かどこかに捨てられるという事になっている。
こんな妄想をするのは普段から愛読している本の影響だ。もしかしたらこういう本を読まなければ私の病理も理解しやすかったのでは?いやむしろ単純なのか・・・こんなに影響を受けやすいなら、もっと為になる物を嗜んだ方が・・例に出そうとしても一つも浮かばないのだが。

考えすぎて疲弊している頃、何とも間の良いことに住居の管理人から業務連絡のメールが届いた。業務連絡を確認しつつ、私は頼んだ。
「鍵をかけ忘れた気がして不安なのでかかっているかどうか確認して頂けませんか?」
5分後に電話がかかっていた。今までと同じように、鍵はかかっていた。
私は週に3回は鍵がかかっているか、冬場はストーブを消し忘れていないか、朝ガスでお湯を沸かした後火を消したか等等、定番の物事に不安になり、確認をしに戻っている。私の想像が当たった事は一度も無かった。ちなみに管理人に頼むのは今回初めてだ。


その後は意気揚々と旅をした。新千歳空港でお寿司を食べ、道内を渡る汽車の車窓から鹿を見つけて大はしゃぎし、親戚夫婦に夜ご飯をご馳走になり、大浴場で入浴をした。

5/10

起きたら街全体が霧に包まれていた。
私は常に霧中な為、この景色が現実そのものだと思った。自分の空想が実体化したようで恐ろしいような嬉しいような。
しかし霧は瞬く間に晴れていった。すぐに何の変哲も無い過疎の都市の姿に戻ってしまう。途端に素敵な物には思えなくなり、とぼとぼと帰った。「パノラマ島奇譚」の人見の気分を束の間味わうことが出来たので良かった。
人見広介はパノラマ島でどんな朝ご飯を食べていたのだろう、と思いを馳せる。私の朝ご飯はいくらだった。

午後からは車を運転して山の奥へと向かう。
途中、鹿2匹、狐一匹、牛数えきれないくらい、牧羊犬一匹を目撃する。


道端で食べたソフトクリームが濃厚で幸せになる。


今回の第二の目的地、阿寒湖へ。
遊覧船に乗り対岸の方まで見に行く。人の気がなく、自我のある動物と人ではない生物の気配がした。

5/11

ふと目が覚める。カーテンを開け放して寝ていた。部屋の窓からは阿寒湖が一望出来る。朝の湖は彩度が低く水面が静かだった。
宿を出て散歩をする。静まり返った湖は怖かった。

自分の運転で遠くに行くのは楽しい。湿原の公園の駐車場に停めたら当たり前のように鹿が居て、ゆっくりと草を食べていた。
釧路から高速バスに乗り札幌へ。
全く縁のない道を走るので窓からの景色を楽しみにしていたのだが、ほとんどを寝て過ごした。札幌は人がたくさん居た。ついさっきまで鹿の方が多い場所に居た為に面食らう。しかも寝ていたので瞬間移動をしたようなものだ。

手慰みにジンギスカンを食べる。明朗会計ではなく、代金を見て面食らう。勉強代だと思って支払った。口コミを見てお店を選ぶのは好きではないのだが、観光地では調べた方が無難だと知る。

明日ショーをするさよさんと合流し、お寿司とパフェをする。

5/12
ショーをする日。

早起きをしたので北海道大学の植物園へ。楽しみにしていた温室は休館。
人はまばらで都会のオアシスだった。真冬に来たらどんな様子なのだろうか。

初めての会場も初めて会うお客さん、演者さん達が楽しくてきょろきょろしていたら出番に。
出番前におにぎりとシュークリームを食べたにも関わらず、終わった途端に空腹で目が死んでいた。

5/13

名古屋に帰る。
帰りの飛行機は隣りが空いており、爆睡する。座って眠り、目が覚めたら愛知県に着いていた。
数日ぶりの名古屋駅はゴミのにおいがしたがすぐに慣れた。

私は生まれて・生きてて良かったと思った事は一度も無い。
ただ、泣いたり笑ったりする瞬間を増やしていく事は出来る。

もっと適当な事を書いて5月前半の日記の締めくくりをしたかったが、嘘をつく必要がない日もある。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?