闘争モナカアイス

僕の家の冷凍庫にはモナカが入っている。あずきモナカ。名前は、「黄金のモナカ」

かれこれ1週間前からこれはあるようだ。僕以外の誰かが買ってきたようだが、一向になくなるそぶりを見せない。

僕はアイスクリームが大好きなんだ。 週に何回かコンビニエンスストアに行き、5,6個買っておくのだが、1度食べ始めるとアイスが美味しすぎて3,4個はペロリ♪と食べてしまう。
そんな日は太るのを恐れて通常の何倍ものハードな運動をする。

僕は、誘惑に耐えていた。
そう、あの黄金のモナカは僕が買ってきたものじゃないんだ。 あれは、同居している兄のものなんだ。
だが。 なぜ兄は食べないんだろう?
もしかして、忘れているんじゃあないか? 
そう考えた途端、僕は悪い考えが思いついた。

食べても、ばれないんじゃないか。 いや、この際ばれてしまってももう良いんじゃないか。
あぁモナカが食べたい。黄金のモナカが食べたい。どう考えても美味しいんだ。冷えたものは大体おいしい。バニラと、モナカのあの黄金の壁。 そして小豆だ。 3種の神器だ。
きれいな3点倒立なんだ。あぁ、食べてしまいたい。もう食べて幸せになってしまいたい。後のことはどうでもいい。兄に怒られたって、信頼をなくしたって、これからは兄が自分の部屋に冷蔵庫を置くようになったって、自分のものには「兄のもの。勝手に食べるな」なんて書くようになっても、もうどうだっていい。 僕はもうゴールしたいんだ・・・・・

考えている途中で、僕は何か異変に気づく。
なんだか、口の中が冷たい。ナニカが僕の喉を通り過ぎた。なんだ? さっき、僕は冷凍庫に入っているモナカを眺めていた。
なのに、今目の前にはゴミ箱があり、その中にはモナカの抜け殻が入っている。
意味がわからない。一体、僕の身に何が起こったというのだ?

・・・・・・・・・・



ドピュッッッッッッ!!!!!!!

口にあるナニカの存在に気づいた瞬間、僕は醜くも射精してしまった。
誰だ、誰なんだ。食欲と性欲は両立しないといったやつは。 
僕は、勝った。 このモナカ闘争に勝った。
だがしかし。

それ以来、僕はモナカを見るたびに性的興奮を覚えるようになってしまった。
副作用として、モナカを人前で食べられなくなった。なんだかものすごく恥ずかしい気がするんだ。自慰行為をみんなの前でしているような、そんな感じが。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?