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ただひとりの誰かに向けて歌ってください。

レコーディングでもライブでもただひとりの誰かに向けて歌ってください。

あなたはひとりに向かって話すことと大勢に向かって話すことのどちらが多いですか?もちろんひとりに向かって話すことが圧倒的に多いはずです。

人間は大勢に向けて話すようには作られていません。そうして何万年も過ごしてきました。つい数100年の間に拡声器、マイク、そしてラジオ、テレビやインターネットというものが出現して多くの人に同時に話しかけることが可能になったばかりです。人間の歩んできた歴史を考えるとついこの前くらいの感覚です。

人間は一度に大勢の人に話すことにまだ慣れてないんです。

だから大勢の人を前にすると緊張したり言葉に詰まったり変な話し方になったりして思ったように気持ちを伝えることが出来ないんです。

ライブでは何百人、何千人を前にしてあなたは歌います。レコーディングでは音源として世に出た後、ネットを通じて地球の裏側のブラジルまで軽々と届けられます。大勢の人が同時にあなたの歌を聴きます。

人間には想像する能力があります。

それも人間に備わった能力で古代から存分に使われてきました。もちろんあなたにもあります。大きなライブ会場でもレコーディングでもたったひとりのあの人に向けて歌ってください。そうすると自然に歌えます。思ってることを上手く伝えることができるようになります。

たったひとりのあの人は大勢の中のひとりでも良いし想像上の人物でも良いしライブハウスのいちばん後ろの壁の更に向こう側にいる誰かでもかまいません。

たったひとりのあの人に向けて歌ってください。

私もたったひとりに向けてこれを書いてます。歌詞を書くときもこれが良い方法であることは言うまでもありません。

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