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シューゲイザーバンドがマイブラを参考にしてはいけない理由。

初めて聴くのに懐かしいと感じる曲があります。昔聴いたことのある曲や、それらの曲に似てるから、というのではありません。人間はある種のメロディーに「懐かしさ」を感じるようです。不思議です。そして「懐かしさ」を感じることは人間にとって心理学的にとても良い効果をもたらすようです。落ち込んでる時、沈んでる時は「懐かしい」曲を聴いてみてください。

「懐かしい」メロディーはブラジルにあるようです。ブラジル語に「サウダージ」という言葉が有名ですが、「郷愁」のような意味合いで使われます。「のような」という言い方をしたのは、もっと微妙で繊細なある感情を意味する言葉のようだからです。「サウダージ」という言葉の本当の意味を知るにはブラジル音楽、特にボサノバなど「懐かしい」メロディーが豊富な曲を聴き続けるのが最も良いのかも知れません。

前置きが長くなりましたが。今日言いたいのはこれだけです。

広く浅く聴いてください。

かつてオルタナと呼ばれた音楽は今やポストロックだのマスロックだのシューゲイザーだのとやたら細分化されました。私があまり知らないヘヴィーメタルの世界でもマニアしかわからないジャンル名が次から次へと生まれてるようです。少し離れた位置からそのジャンルとやらを眺めてみてください。あなたが思うジャンルというのは小さな小さな世界を更に小さな小さな世界に別けることに他なりません。

例えばブラジル音楽を聴いてみてください。あなたの知らないメロディーがそこにあります。インド音楽でもアフリカ音楽でもクラシックでも良いですが、あなたの今まで馴染みのあまり無かった種類の音楽に触れてみてください。そこには多くのヒントがあります。

あなたのバンドの参考にするなら同じようなジャンル、例えばシューゲイザーバンドがマイブラッディーヴァレンタインを参考にしても彼らの劣化版にしかなりませんが、もしボサノバのメロディーを取り入れるとあなたのバンドに「懐かしさ」が生まれるかもしれません。アフリカンビートを参考にすると強烈なグルーヴがあなたのバンドに加わるかも知れない。クラシックの壮大なメロディーをサンプリングするとスケール感が増すかもしれない。

小さな穴を一生懸命深く掘る手を一旦止めて、遠くの地平に目をやって片っ端からスコップでサクッとすくってみてください。それを繰り返してるとやがて運命的な出会いがあるかもしれません。

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