僅かでも体重が増加すると健康問題を増大させる

　最近の研究では、肥満と2型糖尿病の関連性が議論され、炎症、脂肪組織の機能不全、ホルモンバランスの乱れといった共通の病態生理学的メカニズムにより、肥満と糖尿病がしばしば共存することが報告されました。スタンフォード大学で行われた別の研究では、血糖バランスや腸の健康など、いくつかの重要な領域で体重増加が健康に及ぼす危険性が検討されています。研究者たちは、適度な体重増加であっても体全体に影響を及ぼすことを発見しました。その変化は分子レベル、微生物レベル、遺伝子レベルで起こります。しかし、良いニュースは、体重が減ると、これらの身体システムは以前の状態に戻るということです。

●体重増加は体内環境を変化させ、炎症を引き起こす
　スタンフォード大学の研究チームは、体重が2.7kg増えるだけで、基本的な生物学的性質が変化することを指摘しています。そのリスクは、糖尿病や心臓病の増加として顕著に現れます。この健康悪化の主な要因は、体内で起こる炎症の増加です。また、陰性で有害な細菌株も増加し、さらに、心筋内の細胞レベルで遺伝子の変化も起こります。
 
　この研究では、BMI（体格指数）が正常からやや高めの23人を調査しました。約半数は糖尿病またはインスリン抵抗性のリスクがありましたが、残りは正常かややインスリン感受性が認められました。また、タンパク質、細菌、分子に関する遺伝子発現の情報もまとめられました。
その後、高カロリー食を与えたところ、1ヵ月後には平均2.7kg 体重が増加しました。 参加者の生物学的プロフィールはかなり変化し、心臓病や糖尿病のリスクが高まることがわかりました。その変化は腸内細菌叢に顕著に現れ、免疫系と食物や栄養を代謝する身体の能力の両方に影響を及ぼしました。

　わずかな体重増加でも、身体にはストレスがかかるのです。過去の研究では、太りすぎや肥満が健康上の問題と関連していましたが、現在では技術の進歩により、人が体重を増やしたり減らしたりしたときに起こる具体的な変化を追跡できるようになりました。これらの技術は、文字通り何百万という血液分子の変動を測定することができ、研究者たちは、何が起こり、体重増加が健康にどのような影響を与えるのか、その核心を見ることができるのです。

ゲノミクスとプロテオミクス（タンパク質の研究）の研究は、人体がどのように機能するかについての多大な洞察を提供し、特定のライフスタイルや環境要因が健康にどのような影響を与えるかについての貴重な情報をもたらします。継続的な健康のために プロバイオティクスはあなたが考えている以上に価値があるかもしれません。この研究では、体重のコントロールに微生物が役立つことも示されています。 腸内細菌の理想的なバランスは、消化機能、ホルモンバランス、免疫系など、健康の多くの分野の基礎となります。一言で言えば、健康的な体重を維持するためには食事（オーガニック食品を摂る）と運動が重要であるということです。