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英国におけるCRISPR遺伝子治療のヒトへの認可に警鐘

 CRISPR遺伝子編集は、科学界や医学界を何年にもわたって騒がせてきました。 細菌の遺伝子断片を使用することで細胞を改変し、潜在的に病気を書き換えたり、病気を「治す」ことができる可能性があります。
遺伝子編集は、特にここ数年で大きな進歩を遂げたとはいえ、DNAを編集するという概念についてはほとんど研究されていません。 最近、鎌状赤血球貧血とサラセミアに対するDNA改変が認可されたことで、遺伝子編集に関する安全性の問題が再び議論されています。
 
●ヒトにおけるCRISPR遺伝子治療、それは名案か?
 鎌状赤血球貧血とサラセミアは、どちらも血液の病気であり、特に子供たちに広く苦しみをもたらしています。 CRISPR編集は基本的に特定の遺伝子のDNAを切り取り、その遺伝子をオフにしたりオンにしたりします。
これら2つの血液疾患の場合、特に遺伝子 BCL11A を編集すると、胎児ヘモグロビンの生成が開始されます。 もう一つの遺伝子編集は鎌状赤血球症やサラセミア患者で障害される成人ヘモグロビンの生産を止めるものです。 これにより上記の病気の影響を受けない必要な血液細胞の生産が可能になるのです。
 表面的には素晴らしいソリューションのように見えます。しかし、残念ながら調査もプロセスも100%信頼できるものではありません。

●CRISPR遺伝子編集の安全性に疑問
 遺伝子構造を変化させることの主要な問題のひとつは、本質的に遺伝子を傷つけていることです。 多くの場合、遺伝子は私たちの予想通りに振る舞うかもしれませんが、遺伝子に損傷を受けた細胞には、がんという別の結果を起こす可能性があります!
 遺伝子編集が計画通りに進まなければ、傷ついた細胞ががん化する可能性もあります。 また、CRISPRはがん治療に使われ、救命効果があると言われていますが、鎌状赤血球やサラセミアの場合、がんを作り出す可能性があります。また、より広い範囲のDNAが損傷し、別の問題を引き起こしたという科学的データもあるのです。

 この研究では、全参加者45人のうち29人を16ヵ月間追跡しましたが、長期的な追跡調査は行われていません。 この29人の参加者は遺伝子編集後1年間輸血を必要としませんでした。通常は3~5週間ごとに輸血を受けるはずです。 この結果は素晴らしいですが、長期的な研究がないという事実は疑問と懸念が残ります。

●遺伝子編集は安全か?
 CRISPR技術は、気候変動からがんのような遺伝病まで、その潜在的な解決策は歓迎されていますが、まだ初期段階にあり、重大な内在的リスクをはらんでいます。 動物や植物の遺伝子を操作することは危険性を免れるものではなく、最近承認された鎌状赤血球やサラセミア患者への遺伝子介入は深刻な懸念を抱かせるものです。

 現在のところ、既知のリスクの蔓延が定量化できないだけでなく、不注意による遺伝子の損傷や意図的な遺伝子編集によって、他にどのような長期的リスクがあるのか、まだわかっていません。
 
 鎌状赤血球とサラセミアは恐ろしい病気ですが、現在の技術で治療できることは注目に値します。 将来的には、CRISPR編集は人類にとってより良い方向に人生を変えるものになるかもしれませんが、現時点では過大な期待は禁物です。

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