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蔓延する化学薬品の有害性

 ダーティー・ダズン(dirty dozen汚れた12品目)と呼ばれる農産物のリストについて、おそらくほとんどの人が耳にしたことがあると思います。慣行農法で栽培された残留農薬量が最も多い12品目の野菜と果物です。
 
 EWG(Environmental Working Group)によれば、慣行栽培された果物や野菜で最も農薬が多いのは、イチゴ、ホウレンソウ、ブルーベリー、インゲン豆、サクランボ、リンゴ、ピーマンなどです。
 
 さらに非営利団体インターナショナル・ケミカル・セクレタリアト(略称ケムセック)の新たな調査によって、新たな「ダーティ・ダズン」リストが発表されました。今回は過フッ素化およびポリフッ素化アルキル物質(PFAS)として知られる有害化学物質の製造に大きな責任を負っている世界的企業12社のリストです。
 
●私たちの健康、子供たち、そして環境に害を及ぼす「永遠の化学物質」
 PFASは、幅広い製造業や工業プロセスで使用される合成化合物の一群であり、食品包装、防汚家具や繊維製品、消火用泡、家庭用洗剤、さらにはシャンプーやフロス、化粧品などのパーソナルケア製品など、私たちの多くが毎日使用したりしている身近にある驚くべき数の製品に含まれているのです。

 PFASは驚くほど分解が遅く、その結果、地下水、土壌、大気、雨など、環境のあらゆる場所に留まり続ける傾向があるため、「永遠の化学物質」と呼ばれています。 残念ながら、これはPFASが食べ物や水、私たちの体など、身の回りのあらゆるものに入り込みやすいことを意味します。
 
 問題は、PFASは人体に長期的な健康問題をもたらすことです。 米国環境保護庁(EPA)によれば、PFASがもたらす可能性のある健康問題には次のようなものがあります:
* 生殖能力の低下、その他のホルモンや生殖に関する問題
* 妊婦の高血圧の増加
* 特定のがん(前立腺がん、腎臓がん、精巣がん等)のリスクが高まる。米国国立がん研究所は、PFASに発がん性がある可能性があるとしている
* 低出生体重児、思春期早発症(早期)、問題行動など、子どもの発達の遅れ
* 免疫機能が低下し、ワクチンに対する反応や感染症に対する抵抗力が低下する
* 肥満や高コレステロールのリスクが高まる
 
 永遠の化学物質を環境に垂れ流している企業の調査を行った非営利団体ChemSecは、PFASの世界市場は2022年に280億ドルを超え、推定利益は約40億ドルと言われています。しかし、これらの化学物質の社会的コストに比べれば、「利益は微々たるものである」と指摘しています。

 実際、ChemSecによれば、PFASの世界的な社会的コストは年間16.9兆ドルにも上ると見積もられています。 またChemSecはその調査について、「もしPFAS製造者が自分たちが引き起こした汚染の代金を支払うとしたら、その多くは倒産するだろう」とも付け加えています。

 では、世界トップのPFAS生産者という不名誉な称号を得た、いわゆるダーティ・ダズン企業とはいったいどのような企業があるのでしょうか?
·        3M
·        AGC
·        Archroma
·        Arkema
·        BASF
·        Bayer
·        Chemours
·        Daikin
·        Dongyue
·        Merck
·        Honeywell
·        Solvay

 皮肉なことに、これらの企業の多くは、地球および人々の健康と幸福を促進する使命を謳っています。

●PFASを避けることが難しい世界で、できることは?
 家族がPFASによる影響を減らす方法については、次のような対策が挙げられます:

 例えば、ファーストフードやその他の加工食品の量を減らす、水をろ過する、防汚と表示された製品を買わない、プラスチック製ではなくガラス製やステンレス製の食品容器を使う、テフロン加工(焦げ付き防止)の代わりにステンレス製や鋳鉄製の調理器具を使う、などです。
 

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