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デイサービスでの看護業務について語る。

幼稚園で起きる問題はデイサービスでも起きる。デイサービスで起きる問題は保育園でも起きる。

 「近所にデイサービスがあるけど、何やってるの?」「デイサービスで看護師はどんな仕事をするのん?」と思っている方や実際にこんな業務をしている、こんな事を思っていた裏事情を書きました! 
 僕は老人ホームに併設されたデイサービス2ヶ所、障害者系のデイサービス などで看護職員として働いていた経験がありますので多少は話せるかと思います。

 デイサービスと保育園・幼稚園はとても似ている。あまりにも似ている事が多い。幼稚園で起きる問題はデイサービスでも起きる。デイサービスで起きる問題は保育園でも起きる。
 あるいは、養護学校や特別支援学級(障害児の学校)にも近い。

 保育園や幼稚園にも看護師がいます。保育園の看護業務とデイサービスの看護業務には類似点や重複する部分があります。

 前提として、自宅からデイサービスに来れるような人しか扱ってない。重症な人はデイサービスに来れない。入院してます。なので比較的軽症な事が多い。
 ただし、入院するほどではないが重い人でも扱うデイサービスや重症者が対象のデイサービスでは違ってきます。

 保育園は自宅から保育園に来れるような子供しか扱ってません。何らか障害がある場合には保育園に来れない。入院してます。
 ただし重症心身障害児、重い障害がある子供を扱うような医療色の強い施設では違ってきます。

 総じてデイサービスでは、そこまででもない。
 とはいえ、軽いから油断してると痛い目に合うのがこの業界の通例です。そんなデイサービスでの看護業務について説明します。

共通の看護業務

1. **健康管理・看護業務**
   - 利用者(子どもや高齢者)の体調の確認やバイタルサインの測定が求められます。
  ・血圧を測ったり、体温を測ったりします。
  ・子供も高齢者も突然に発熱をする事がある。

   - 薬の管理や配薬業務。
  ・薬を飲んでいる場合には対応が必要です。

2. **緊急対応**
   - 事故や緊急病状の際の対応、必要に応じた応急処置。
  ・幼稚園や保育園に通っているようなお子様だと、走り回ったりして転ぶ。その際の応急処置。
  ・デイサービスに来るような高齢者だと、筋肉が低下していたりして転ぶ。その際の応急処置。
  ・子供も高齢者も突然に発熱をする事があり、その対応。

   - 必要に応じての救急車の手配や医療機関への連絡。
  ・走り回って転んでしまい、頭部を強く打ち出血が多い。骨折の可能性がある。など、緊急事態が起きると即座に救急車で搬送する事があります。その際の救急隊への連絡や医療機関への受診準備や相談、場合によっては救急車への同伴を行います。

 余談ですが、保育園で子供が熱を出した場合、保育園が預かれないから引き取るように両親にお願いをされる事がある。
 だからデイサービスで発熱したり、緊急事態が起きれば引き取るようにお願いしても良いと思う。

3. **教育・研修**
   - スタッフへの健康管理や緊急時の対応方法の教育・指導。
   - 継続的な自身の研修や学びの推進。

4. **記録・報告業務**
   - 利用者の健康状態や治療履歴、薬の管理などの日常の記録。
   - 必要に応じた報告書の作成や関連するスタッフとの連絡や情報共有。
 ・要約すると事務処理と僕が訳しているものです。一般の方々には事務処理で良いと思います。具体的な名称を言っても通じないし、具体的な名称を知りたいと思ってないかもしれない。

5. **保護者・家族とのコミュニケーション**
   - 利用者の健康状態や変化に関する情報の共有。
   - 保護者や家族からの健康に関する相談や質問の対応。
 ・こういった事は介護職員や保育士で良いとは思いますが、看護師による説明が必要な時があります。
 ・「血圧が高いので、主治医に相談して下さい」「今日、転んでここに怪我をしてます」などは看護師が家族へ伝えた方が良い時があります。

看護業務 入浴処置

 デイサービスが保育園や幼稚園と違うところに、入浴があります。
 高齢となり足腰が弱くなると、普通のお風呂には入れなくなってバリアフリー加工された入浴設備がないと入れない。入浴目的でデイサービスを利用する方が多いです。

 また、入浴すると急激に血圧が変動して体調を崩す事がある。最悪の場合には血圧変動→脳出血での救急搬送もある。
 よって、健康上のリスクが高く看護師の対応が必要となります。

 入浴前に血圧を測って、問題なければ入浴となります。

<業界人向け>デイサービスの入浴

 さて、ここで業界人の方も見ている可能性があるので、業界人向けに追記します。
 僕が以前働いていたデイサービスのお話です。
 Aデイサービスでは「介護士が入浴前に全員の血圧を測り、看護部の許可を得てから入浴」となっています。
 Bデイサービスでは「介護士が入浴前に全員の血圧を測り、数値に問題がなければ看護師へ報告せずに入浴」となってます。

 Bデイサービスでは看護師に言わずに介護だけで勝手に入れている。でも特に問題はない。
 人間の血圧は調子が良い日もあれば、悪い日もある。
 入浴前に血圧値が問題なかったとしても、入浴した際に大きく変動して具合が悪くなる事がある。血圧値だけで判断できない。入浴中の様子も大事です。明らかに安定しており、血圧測定が不要だと思えるようなケースもある。

 急な血圧の変動で具合が悪くなった時の責任を問われた際に「事前に血圧は問題なく、看護師の許可を得てから入浴したが、具合が悪くなってしまった」といえば正当性が保証・担保できるから看護師の許可を得ている。
 法規的な要件や都合を満たせれば良いので、Bデイサービスでは看護師の許可があった事にしている。
 ただし、本当に問題のある利用者には看護師へ報告は必要。そもそも看護師どころか医師の許可がないとダメなケースもあります。

 なのでBデイサービスでは「介護士が入浴前に全員の血圧を測り、数値に問題がなければ看護師へ報告せずに入浴」となってます。
 あまり推奨される話でもない。入浴担当の介護士に相当な経験がないとトラブルになりやすいし、看護師がトラブルを未然に防げるようにしている必要があります。なので決して推奨できる事ではない。

 しかしながら、介護業界全体として看護師の仕事を介護士が行って業務改善。看護師の業務をしてるならもっと報酬が多くても良い。そういった流れが業界全体に必要だと思ってます。
 その一つが、この看護師の許可なしの入浴だと思ってます。
 しかし、決して推奨できる事ではないというジレンマもある。

入浴後

 入浴後に軟膏や貼付剤の処置を行います。
 入浴して体を綺麗にした後、傷や赤くなっているところへ薬をつける。高齢者は皮膚が弱くなって体が痒くなる事が多い。なので赤くなっているところや掻き傷に薬をつけます。

 貼付剤、湿布薬や貼り薬がある場合にはそれを貼付します。

 一般向けだとこのくらいの内容かと思います。
 何度も言う事になりますが、自宅からデイサービスに来れるような方です。重症な方はデイサービスに来てない。重症で時間のかかる処置や難易度の高い薬を扱うことは少ない。
 しかし、先週までは問題がなかったが今日は状態が悪い。次の日は入院。という事もある。

食事対応

 高齢者が餅を喉に詰まらせて救急車のお世話になる。良くあります。食事する力が弱っているから餅が喉に詰まってしまいます。
 餅のような難易度の高い食事はありませんが、食事する力が弱っている人が食事をする。それで看護師が必要となります。

 経管栄養(胃に穴を開けて栄養剤を直接胃へ流し込む医療処置)をしている方がいる場合にはその医療処置を行います。

 一般向けならこのくらいかなと思います。

デイサービスの方針による業務内容

 ここまではどこのデイサービスでも共通した内容です。
 ですが、デイサービスの方針や法的な区分により、業務内容が異なる事があります。
 例えば、幼稚園だと英語教育を熱心に行う事業所があります。自然教育を重視する、音楽やダンスに意欲的など、それぞれの幼稚園方針がある。
 自然教育、農作業体験を積極的に行う方針の幼稚園では、幼稚園の方針による看護業務があると思います。

 それぞれのデイサービスの方針によって看護業務があります。

<業界人向け> デイサービスの方針による業務内容

 リハビリに特化したデイサービスはリハビリ病院の延長のような場所です。リハビリ病院でするような業務に精神科デイケアに近い。法規による区分もあるので、他の一般的なデイサービスとは違ってきます。
 精神科デイケアと精神科の人が多いデイサービスが一緒くたに扱われてると思う事もある。

 ガンダムとエヴァンゲリオン、ゲッターロボ。どれもロボットです。一般人にはそれで良いと思います。ZZガンダムの3体合体とゲッターロボの3体合体について調べたくなったら調べれば良いのではと思います。

 僕は障害者系のデイサービスで働いてました。が、会社の名前は「障害者系」とも「デイサービス」とも書かれてません。
 要約すると「障害者系のデイサービス」と言った方が理解される人が多いので僕が勝手に言っているだけです。それに、日本に数件しかないタイプの事業所でしたし、法的区分とか色々複雑なのでこう言った方がいいと思ってます。
 ※個人情報保護、コンプライアンスのため具体的な会社名は書けません。

 事業所・施設は色々な種類や区分が多くて医療従事者や福祉従事者ですら全部把握しきってない事が多い。
 上記に挙げたリハビリに特化したデイサービスだと理学療法士などの配置が必要で、一般的なデイサービスと違う。この明確な法的要件を即答できる人もかなり少ないと思うんです。
 なので、法的要件のない方針とある方針をまとめて「事業所の方針」と要約してます。ガンダムがロボットと分かるだけで十分だろうと思って略しました。

まとめ

 デイサービスと保育園は業態が非常に近い。デイサービス看護師と保育園看護師の業務内容もかなり近い。
 利用者の健康管理、救急対応、事務処理、教育その他。これは共通しています。
 デイサービスには入浴対応、食事対応が増えます。

 それぞれのデイサービスによる方針の看護業務があります。
 あまり深く知ろうとすると法的要件などが難しい。業界人のみならず複雑すぎて法律を作っている人すら把握できているのか怪しいと思っています。

 そんなデイサービスのお話でした。
 ではまた!じゅわっち!

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