海外オーケストラリモート収録中の日本サイドの様子(動画付き)
海外のホールやスタジオでのオーケストラレコーディングを日本からリモートでモニターする収録方法は、出来ることは知っていても試したことがある人はそこまで多くないんじゃないかと思います。
そこで、実際に昨年チェコのホールでオーケストラを収録している時に現地からどんなデータが届いていて、日本側では何をしていたのかが分かる動画を作ってみました。
恐らく想像よりも地味で誰にでも出来そうな映像に見えると思います。なので、興味のある人は是非チャレンジしてみて欲しいです。
音声、映像について
この時はSource-Liveで音声のみが送られていましたが、スタジオやプロダクションによっては普通に映像を送ってくれることもあります。実際ブルガリアやモスクワで録った時は映像をもらえました。
Listentoのユーザーが昨年爆発的に増えた印象はありますが、今の所僕の知る狭い範囲ではSource Elements製品で配信しているところがまだ多いような気がします。
送られてきていた音声は恐らく録っている最中のPTのマスターバスの音で、レコーディングスタジオであればミックスバランスもざっくり取られた状態の音が送られてくることが多いのですがこの時はSpotのパンが全部センターだったのでほぼモノでモニターしていました。それでも演奏に関するジャッジは出来るので問題はありません。
ディレクションについて
海外収録であれば普通は指揮者がいるので、指揮者が譜面を解釈し表現を数テイクの中で仕上げてくれます。
それに加えHopeのケースではコーディネーターのShota Nakamaさんが的確な意見を出してくれて、正直僕はあまりやることがありませんでした。海外ではコーディネーターが音大の院卒みたいなケースは割とあるので、ただブッキングをお願いするだけでなく音楽的なところまでサポートを受けることが出来ます。今回の場合チェコ側で奏者を集めてくれた方はバスーン奏者としてオーケストラで10年演奏した経験があるプロだったため、譜面を理解した上で奏者を呼んでもらっています。
僕とShotaさんの間のやり取りはZoomを介して日本語で行い、現地とのコミュニケーションはSkypeのチャットでテキストベースで英語でShotaさんが行いました。これは複数人が口々にコメントして混乱が起きるのを避けるためです。
Source-Connect Now等で音声でフィードバック出来ることも勿論あるので、トークバックマイク的な環境はあるに越したことはないです。ただ、テキストでやり取りすることの利点としてオーケストラサイドの耳に日本語が入ることがない(知らない言語が沢山聞こえると何となく不安にさせてしまう)ことが挙げられると思います。
また多くのケースにおいて指揮者の手元にはSkypeの画面を表示するタブレットが置かれておりテキストでのやり取りが即座にオーケストラに伝わるようになっているので、配信に多少の遅延がある環境においてはいっそテキストの方が優位性があると言えるかもしれません。
作曲家(僕)は何をやったのか
譜面の誤りや変更点を見つけたら早めに伝えつつ、テイクノートをつけていました。テイクノートは日本語で書くと漢字の変換や英数入力との切り替えでもたつくので、文法がめちゃくちゃでも英語でつけた方が慌てなくていいと個人的には思います。後で意味さえ分かればOKです。
あとは、当日なるべく何もしなくても良くなるようにPTセッションや譜面をしっかり準備するのが作曲家の責任じゃないかなと思います。
出来上がった楽曲がこちらです。
こうした海外収録をする意味や成功させるための注意点については下記の記事をご覧下さい。
また、レコーディングに関するマナーはスタジオでもリモートでも何ら変わりません。より有意義に時間を使うために気をつけるべきことについては下記の記事をご覧下さい。
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